『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

辺野古から、動く、動かす力!

2015-04-11 19:55:50 | 日記

● 寺島実郎×翁長雄志 「沖縄はアジアと日本の架け橋となる」
          『世界』5月号 から                         須山敦行                      〔p37〕

◎ 今回の、辺野古問題の推移、翁長知事の当選、その後の闘いが、全体として、歴史が現実が大きく変化していく、今までにない新しい動きの、重要な一歩を踏んでいることなのだ、と、「あれが転機だったのだ」というような、重要な変化であることに、目を開かされる対談だった。

◎ 時の人、翁長知事は、何を考えているのか、マスコミの報道では分からないレベルのことが、深く突っ込んで語られていて、それを聞き出した、寺島氏にも称賛を送りたい思いだ。

◎ しばらく前まで、沖縄独立論に対して、ちょっとそれは恐ろしいものと受け止めていた自分だが、この事態の中で、それを学ぶ?ことの中で、それくらいの変化も視野に入れて沖縄のことを見るような度胸が据わるような気がした。
  これを機に、いくらか沖縄理解が進んだ。日本全体で、これを機に、沖縄理解をどれだけ進められるかにも注目したい。

◎ 歴史的な、日本の沖縄に対する差別の存在。それは、朝鮮に対する差別と類似したものである。このように、沖縄と朝鮮が並列されることに、一種の違和感を持ったが、それが現実だという面がある。

◎ 日本の侵略戦争の歴史さえ、真っ直ぐにそれを見ることを拒否したい現政権であるが、沖縄の歴史を真っ直ぐに見つめることができるだろうか。
  沖縄は、目の前に基地を見ている。だから、歴史の現実を見ている。歴史を見ないようにしようとする現政権。歴史から学ぶことができない現政権。歴史から未来を見ようとする沖縄。沖縄が、私たちに、現実、歴史、未来を見る目を与えてくれる。

◎ 沖縄から基地をなくすこと。日本が本当の平和国家になること。平和国家としての日本が世界の平和のシンボルとして力を発揮すること。それこそが、本質的な意味で、軍事で世界を動かそうとする野望に勝つことであり、中国などの軍拡の脅威に勝つこと。

 

《 本文からの「抜き書き」 》


●寺島 「世の中には代替案を出せ、辺野古がだめならどこか別のところを出してみろと言う人がいます。私はその議論をやめろ、と言っているのです。それは、普天間の安全性を毀損した米国に、検証して代案を提示する責任があるのであって、日本側がどこかで引き取ってもらえないだろうかと持って回るような類いの、迷惑施設の立地問題と全然違う。」

●翁長 「私は、『振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくして下さい。そのかわり基地は返してください。国土の面積〇.六%の沖縄で在日米軍基地の七四%を引き受ける必要は、さらさらない。いったい沖縄が日本に甘えているんですか。それとも日本が沖縄に甘えているんですか』と言ったのです。」

●翁長 「四七都道府県の中で、沖縄には日本国から来た在沖縄大使がいらっしゃるのです。」

 ※ それは、驚きだ!

●翁長 「外務大臣も防衛大臣も、結局何をおっしゃるかというと、『アメリカが後ろで反対するんだよ』。そうすると、もうアメリカと対話するしかないのか、ということなんですね。」
    「アメリカという国の底深いところに私たちはもっと足を踏み入れて、議論もして、事態をつき動かす可能性もあるのかなと思っています。」

●翁長 「辺野古について再考することが、日米関係、日米安保体制を問い直し、さらには米中、日中関係を、尖閣問題をどうするかという、たくさんの課題を整理し改善していくことにつながる。だから私は、まず基地問題に取り組んでいきたいのです。」

●翁長 「沖縄は、あまりにも中国に近すぎて、ミサイル数発で普天間と嘉手納が吹っ飛んでしまう。………アメリカは沖縄にいる米国人のことを心配していて、もしも中国との関係がもっとややこしくなってきたら、いつの日か突然、沖縄から出て行くのではないか、とまで私は思うのですが。」

●寺島 「変化していく事態、状況に対して、私たちは何もたじろぐことはない。」

●翁長 「安倍首相は第一次内閣で『美しい日本』と、そして今回は『日本を取り戻そう』とおっしゃっています。即座に思うのは『そこに沖縄は入っていますか』ということです。そして『戦後レジームからの脱却』ともおっしゃいますね。しかし、沖縄に関しては、『戦後レジームの死守』のような状況になってしまっています。そしてそれは、アメリカが離さないのではなくて、どうも日本がそのような状況を変えないぞと言っているように、沖縄からは見えるのです。」

●翁長 「沖縄の基地問題の解決は、日本の国がまさしく真の意味でアジアのリーダー、世界のリーダーにもなり得る可能性を開く突破口になるはずです。
 辺野古の問題で、日本と沖縄との関係は対立的で危険なものに見えるかもしれませんが、そうではないのです。
 沖縄の基地問題の解決は、日本が平和を構築していくのだという意思表示となり、沖縄というソフトパワーを使っていろいろなことができるでしょう。様々な意味で沖縄はアジアと日本との架け橋になれる。」

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「安全神話」は打ち砕かれたか

2015-04-11 15:18:07 | 日記

「砕かれた『一〇〇ミリシーベルト以下は安全』神話」 まさのあつこ を 再読、精読する

                                            須山敦行

『世界』四月号を読む会で、

 Y君は、「最も良かった」文章として評価した。
 ところが、M君は、「文章が良くない」という評価。
 一方、私は、「読んでも神話は『砕かれ』なかった。疑問が沢山残った」と、批判的な見解。

 ここから、にわかに(口角泡を飛ばす)論争(口論)に。
 初参加の康君は、目を白黒?

 私の印象では、「低線量被曝を巡る健康問題」になると、見解の相違が、意見の対立になり、その上、「本当の所はどうなんだ?」。「どう対応するのがいいのだ。」、「もっと分かりたい」という気持ちになる。
 誰かに答えを求める気持ちが強くなるのだ。

 Y君やM君に、「お前は分かっていない」と、かなり強く批判?されたこともあり、もう一度読み直してみる。
 精読するつもりで。

 再読しながら思う。確かにわかりにくい。M君の言うように、「文章が悪い」、と思ってしまう。何度も読み返して考え直さないと文意が伝わらない。「自分には分かる」というレベルの書き方か、(つまり、本人が思った以上に専門的知識が深い)とも思う。

 しかし、ことは、当事者達(福島の人々など)にとって、分かりやすいことである必要がある。

 私としては、最大の精力を注いで読み進む。

《 安全神話1 「一〇〇ミリシーベルト以下は安全」 》

 昨年2月の環境省と福島県立医科大学の共催した「放射線と甲状腺がん」をテーマにした東京での国際会議を取り上げる。
 山下俊一長崎大学教授の閉会前の議長サマリーが、一方的に、安全神話を語り、政府はそれでお墨付きを得たような対応をしている。
 しかし、その会議で日米共同研究機関「放射線影響研究所」のロイ・ショア副理事長は「二〇ミリシーベルト」での影響について危惧している発言をしている。
 (※ でも、これが認められたのか。これを否定する意見はなかったのか。皆、同様の発表をしたのではないだろう)
 はるか昔に、イギリスのアリス・スチュアートは、1958年に、低線量被曝とガンの因果関係を研究している。
 (※ これを押すような意見もあり、否定するような意見もあるのではないか)
ということから、
 一〇〇ミリシーベルトよりも低い被曝線量で影響が出ることは世界の常識である
と言って、安全神話1は否定されたと書いているようだ。

 私には、これだけで、何かが分かったような気にはなれない。
 ある意見がはっきり否定される根拠を示されたようには思えないのだ。
 何となく、政府の思惑や、それが通される道筋があるように思えるが、はっきり「どうだ!」と否定しきれる根拠にはなっていないと感じる。

《 安全神話2 「一〇〇ミリシーベルト以下と推計されたから影響はない」 》

 安全神話1の下で、
 子どもの測定が十分に行なわれないという結果を招いたという説明である。
 とても、わかりにくい説明であるが、精読して理解してみると、
 高線量地域では、測定機が230㎏という重い物であって、正確な測定ができる低線量の適地をみつけることが困難だったことや、一桁間違えるミスを犯したことなどが、原因して、3月24日~30日に測定した、飯舘村、川俣町、いわき市の1080人分しかデーターがない。
 低線量地域の汚染は、測定されなかった。
 安全神話1がなければ、
 高線量地域から住民を避難させ、極低線量下で全員の測定を、続行させたのではないか。という主張である。
 そうだろうが、安全神話1の他に、「神話」というべき内容が2として加わったようには思えない。

 いずれにせよ、測定線量データの不足が結果したことは、問題であろう。
 (チェルノブイリでさえ、データは四〇万人分蓄積されている)

《 安全神話3 潜伏期間は四~五年
  安全神話4 増加はスクリーニング効果 》

 チェルノブイリの結果から
 幼児は放射線による甲状腺の影響をより受けやすいが、(福島のデータは10台以上の者に出ており)、潜伏期間は四~五年であるとされているが、
 チェルノブイリでも、四年目までは、一一歳以上の発症が多いデータがあり、
 ロシアでは、ソ連崩壊までは(五年目)甲状腺の調査そのものが実施されていなかった、とかを言って、潜伏期間は四~五年説は、「神話」である、というのであるが、
 何とも、わかりにくい。
 筆者は、さらに、米国では子どもの甲状腺がんの潜伏期間は一年であるとする論文が発表されている。と、紹介して、論拠としている。が、そういう論文があったということでは、説得しきれないのでは。

 スクリーニング効果によるという、安全神話4には何の説明もない。
 が、近藤誠の『患者よ、がんと闘うな』、『あなたの癌はがんもどき』などでは、小児へのガン検診の結果と、ガンの死亡率の変遷について、スクリーニング効果の意味を説明していて、説得力がある。

《 安全神話5 「過剰診断」論 》

 最後は、東京大学大学院の渋谷健司教授による、「過剰診断」論である。
 県立医大の鈴木眞一教授との間で、繰り返し、論争されたことが紹介されている。
 筆者は、渋谷教授の「過剰診断」論を「珍説」と言っているが、説得的な論拠はあげていない。

 そして、文章は一挙に結論へ。
 神話は「砕かれた」として、
 津金氏が紹介した、小児甲状腺ガンの六〇倍余の多発を説明するのは、「二〇一一年以降に加わったなんらかの要因」に帰結するのだ、と、自説が証明された気分で文章を終えている。

 結果、私には、安全神話は困ったことだが、もっとしっかり打ち砕いて、私の頭をスッキリして下さい、という、不満が残った。
 事の本質は、小児甲状腺ガンの原因を覆い隠し、責任を逃れようとしている、政府、東電に対する告発の必要性だと思うが、一方で、それでは、実際に危険性はどの程度で、何を基準に、これからの生活の場の構築を進めていけばいいのか、悩みの渦中にある、福島の人々に、リアルで説得力のある情報を示せないものか、と、頭をスッキリ出来ない、イライラを抱え込んでいるのが、私の現状である。

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