● ハニ・アブ・アサド 「がれきのただ中で紡ぎ出される希望の物語」
(『世界』10月号)を読んで 須山敦行
※ 映画は凄い。映画作者たちは凄い。
芸術とは何か。という点でも鋭い答えを突きつけている。
人間の力への感動を語っている。
とても勇気をもらった。
監督の『パラダイス・ナウ』、『オマルの壁』、そして『歌声にのった少年』は是非見たい。
●(本文から)
「『疑い』は、愛情や友情を壊し、滅ぼすことが出来るということ。」
「各国の政治指導者は互いを敵視するように仕向けているわけです。」
※ 安倍、金、習近平、みんなみんなそういう政治家ばかりだ。
「私は思うのです。
政治家が失敗した時、その後に希望を創り出してくれる存在はアートです。
アートこそが政治家に代わって皆に希望を創り出す存在であり、いわば『新しいメシア』です。」
「『あなた方は我々を分断しようとしたけど、我々は同じ一つの声を楽しめるし、愛せるし、同じ人生の質を求めているのだ。』と。」
「人生というものは、占領といった悪よりも大きなものだということです。」
「そもそも悪というものは我々人間の中にあるのです。
でも、人間の生とはその悪よりも大きい。
どんな占領政策がなされても、我々の中にはより大きな、力強い何かがある。
それは楽観主義、前向きな気持ちといったものです。
我々の中に備わっているこれらが人間を前へと進歩させてくれる力になる。」
「今の状況は確かに悪い。
でもその『悪さ』を口にするだけで何も行動を起こさないような、『甘やかされた人びと』ではなく、悪より大きい、楽観主義や前向きな気持ち、あるいは寛容さをもって進んでいく人が何かを変えて行くのです。
それが人間の進歩です。」
「人間的であることを放棄しない。
敵の似姿にならないという根源的な抵抗の姿でした。」(中村一成)
「強力な武力をもった者たちが、人間を破壊し、破滅させようとしても、人は人間性を保ち続けることが出来るのだと。」
「芸術とは自由や尊厳を求める以上、政治的にならざるを得ないというのが、私の見解です。」(中村)
「詩でも絵画でもアートは複雑ですが、伝えたいことは愛情や友情、尊厳や自由のための闘いとシンプルです。
これらは政治的であり、我々はアーティストとして政治的であることを恥じる必要はまったくない。」
「イスラエルという国は、私たちパレスチナ人のことを決して平等な存在として認めようとせず、否定しています。
我々に『自分たちは人間として失格した存在である』ことを受け入れさせようとしてくる。」
※ 朝鮮、中国に対するネトウヨにそっくりだ。
現在、地球上には、イスラエルやネトウヨと、平等を目指す人々とがいる。
「彼らの持つ飛行機(軍事力のメタファー)は強いし、彼らの経済力も確かに大きな力を持つかもしれないけれど、
美しい芸術、美しい映画は、軍事、経済力では太刀打ちできない大きな力を持っているのだから。」