『世界』を読む会

寅さんの博も読んでいる『世界』を読んで、話し合おう。

東久留米の『世界』を読む会・zoomの5月例会は、4名でした。

2022-05-17 13:52:55 | 日記
東久留米の『世界』5月例会の報告
 
 東久留米の『世界』を読む会・zoomの部は、11日(水)、7時より行なわれました。4名の参加でした。
 
 以下のような意見が交流されました。
 
■第一テーマ ・東大作「世界大戦をどう防ぐのか」
・最悪のパターン(世界戦争、核戦争)を回避するのがまずは大切だろう。
・Amazonの自動配信のプーチンを描いた映画(『アメリカが最も恐れた男〝プーチン〟』?)を見たが、それによるとプーチンは子ども時代にいじめられたようだ。それと現在の「力が正義」という振る舞いは関係があるように思った。
・〔p.54〕以下の五つのシナリオの中では、③の「プーチン体制の崩壊」が一番望ましい。ロシアでの反戦でもで多くの人が拘束されているようだが、当局が対処できない程のものになれば、と。逮捕される危険があるのだから、身の安全な日本からの気楽な考えかなと思うが。
・日本人の私に何ができるのかと考え、仕事帰りにスタンディングをしたりするが、ロシア大使館にFAXするとか、停戦を仲介してくれそうな国の大使館にFAXするというのも検討している。
・ラトビアを拠点とするロシア語で発信している「メドゥーザ」という独立系メディアに寄付しようと思って、仮想通貨のビットコインを買ってみた。
・インターネットは政府が遮断してしまうが、電波は国境を越えるので、ロシア近くのラジオ局、テレビ局にがんばってもらえたら、と思った。
・実際になりそうなのは、②の「汚い妥協」というものかな。
・「汚い妥協」というが、それしかないのでは。③「プーチン体制の崩壊」は、戦争をしている国でその体制が壊れるということは、最近どこでもないことだ。経済制裁にしろ、外から圧迫されればされるほど、国内で結束するのでは。
・⑤の「中国やトルコの仲介で」というのも、②の「妥協」のことだし、妥協点を絞り込んで行くことがポイントではないか。
・ロシア人が380万人も国外へ逃亡している、ということに注目する。③「プーチン体制の崩壊」も、全くないとは言えないかも。
・「プーチンがいなくなれば」と思っていたが、塩川論文や西谷論文を読むと、単純ではないなと思った。プーチン体制が崩壊すると、イラクのようになるのでは。ロシアというものが非常に混沌としているように感じられる。
・妥協というのは、NATO問題に加盟しないことと、ドンバスの独立的な扱いのことで、「譲れない」という人もいるが、出来ないことではないと感じる。
・当初やっていたように見えた停戦交渉がここへ来て、まるで見えなくなっているのはどうしてだろう。
・停戦に向けて、有利な状況をつくろうとする事があるが、ウクライナが意外に強く、しかもNATO側の支援が増強されている現状が、停戦に向かいそうもない状況につながっているように感じる。
・停戦に向けようというより、ウクライナを戦わせようということになっている。
・停戦の仲介をするとなると、「中国」が最も力と立場を持つ存在だ。「中国」をどう捉えるかは、とても重要な問題だ。
・〔p.60〕、プーチンがシリアやチェチェンで「間違った教訓を得た」とあるが、チェチェンでとんでもないことがあったということのようだが、しっかりとした把握が自分の中にないのを感じた。
・大ロシア主義というのは、プーチンのみでなく、ロシア人の中にあるものだ。ロシア人の遅れた民族性が、この戦争支持の背景にあるようだ。プロパガンダのせいだけではない。
・「民主主義国家vs専制主義国家」ではダメで、「最低限の国際ルールを守る国vs.守らない国」という対立軸で捉えることが、解決への道だというのが筆者の主張で、賛成だ。
・難民の扱いで、これまでの対応と比べると、政治的なダブルスタンダードで、アメリカ追随だなと思う。
 
■第二テーマ ・豊下楢彦「沖縄返還交渉の歴史的陥穽」
・条約とか交渉とかのややこしい論文だが、沖縄県民の苦労を思えば理解を深めなければ。
・日本という国は、交渉が苦手なのかな。
・今朝の朝日新聞の世論調査で、「基地が今のままでいい」に沖縄で19%、本土では41%とあったが、本土メディアの発信の弱さの結果ではないか。
・〔p.143〕国連の「軍縮アジェンダ」とあったが、読んでみたいと思った。
・「サンフランシスコ条約第三条」の「信託統治」を巡ることが問題だという論文だが、こういう事を知らなかった。アメリカの沖縄統治は、法的には無根拠のことだったんだ。
・「統一見解」(政府)三項で、第三条が守られなくても統治を認めることをしてしまったのだ。
・法的根拠を放棄して、返還は「お願い」になってしまって、その過程で国民に嘘をついて「密約」で、アメリカが自由に使える基地を残してしまった。
・返還前の沖縄は「無憲法の空白地帯」になっていたのだ。
・〔p.143〕で、ウクライナ問題に触れて、「近隣領域に脅威となるような兵器を配備するな」という大切な原則を主張しているのは重要だ。
・沖縄の苦悩が非常によく分かった。条約三条を巡る経緯が、戦争中、続いて米軍統治(軍事植民地)、復帰したら更に悪化という苦難の歴史を感じさせる文章だった。
 
■第三テーマ ・芦部信喜「新憲法とわれらの覚悟」
・23歳の若い人の文章を『世界』で読むのは珍しく、いいなと思った。
・〔p.193〕「主体的意識の覚醒」とあるが、「主体性」を育てることは大切だ。
・〔p.195〕「新憲法をしてその成果を発揮せしむるものは国民の正しき政治活動以外はない。」とあるが、どんなことをすれば「国民の正しき政治活動」になるのだろう。投票する以外に何をしたらいいか考えたい。自分は家に立憲野党のポスターを貼る小さな政治活動をしているが。
・〔p.198〕「聖なるもの」を読者に考えさせる結びがいいと思った。
・戦争が終わって一年目にこれだけの文章を書く素養を、戦争中に温めていて、このような「憲法の覚悟」を書いたとは、自分と比べてすごいなと思った。
・背筋をピンと伸ばして戦後を生きる意気込みを感じる。
・あの憲法学者の権威の芦部先生が若いときに、こんな文章を書いたんだと興味深かった。
・日本国民が憲法を担うレベルになっていない。戦後のスタートで筆者が訴えたことは、そのまま今の人に伝えたいことだ。
・「被治者根性」、「政治への無関心」「権力への畏服」「尚武の風」というような日本人批判の視点は、面白い。「尚武の風」とあるが、世界は「文」が「武」に負けているなと思っている。
・七〇年以上経って、「お任せ民主主義」レベルで、とても民主主義社会を作っているとは言えない。
・日本人には自分の人生を公=国と一体化する所が払拭されていない。
・21年11月15日の文章ということは、11月3日の憲法発布のすぐ後の文章だということだ。若い学者の情熱、意気を感じる。
 
◆5月号のその他のお勧めは
 ○ 須山 「ウクライナ戦争を止めるための提言」  和田春樹
 ○ 巻  「自壊する地方自治」          片山善博
                 でした。
 
◎ 東久留米の『世界』を読む会、6月例会のお知らせ
 ●日 時 6月8日(水) 午後7時
 ●zoomでのオンライン開催
 参加希望の方は、メールを下さい。案内を送ります。
 ●持ち物 雑誌『世界』6月号
 ○共通テーマ
  ・「核兵器禁止条約という現実的選択」     川崎 哲
  ・「「新しい資本主義」とはなにか」     佐々木隆治
  ・「リベラル政党の「可能性」と「不可能性」」
                       杉田 敦×齋藤純一
 ※ 第2水曜が定例です。ご承知ください。
 ※ 他に、昼の部として、第3水曜、4時から会場で行なう会もあります。
 ● 連絡先 須山
              suyaman50@gmail.com
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