島村英紀 「火山と日本人」 を読んで
『世界』12月号
須山敦行
感想メモ
◎ 専門の学者が「分かる」ということは、偉大なことだ。
私たちが、それを「知らない」ということは、重大なことだ。
読んで「分かる」、読んで良かったと言うことが、なんとスッキリすることなんだろう、と改めて感じさせられた文章だ。このために、『世界』を読むのをやめられないのだ。
◎ 経済学などが、このように「分かった」ことは無い。
自然科学のレベルに、近づいてもらいたいものだ。
◎ 「火山」についての、教科書のような文章だ。
是非、「ブックレット」にして欲しい内容だ。
是非、学校で、教える内容にして欲しい。
こういうことを学ぶのが、学校だろう。
◎ 結論は、
① 火山の噴火は予知できない。
② 日本はまれにみる火山国だ。
③ 「次の」噴火がどこで起きるかは、分からない。
④ 「いずれ噴火しても不思議ではない活火山」は多い。
⑤ アイルランドに学び、日本人は地震や火山とともに生きていく知恵を持たねばならない。
⑥ 噴火の避けられない日本で、原発をもつことは無謀なことだ。
ということだ。
引用メモ
《アイスランドに学ぶ》
アイスランドも日本と似て火山が多くて地熱が豊富な国だ。この国の電力は地熱発電と水力発電ですべてまなかっている。いや、電力は余っていて「輸出」さえしているのだ。もちろん電力を「輸出」することは簡単ではない。だがこの国ではボーキサイトを輸入して、大量の電力を使って製錬してアルミニウムにして輸出するという方法で、余った電力を「輸出」しているのである。このほか一時は市内バスは水素で動いていた。水素は水を電気分解して作るもので、水素ガスの自動車は有害な排気ガスを一切、出さない。なお、このプロジェクトは一段落して、いまは一般用の電気乗用車の普及を図っている。原子力発電所はもちろん、化石燃料を消費して二酸化炭素を出す火力発電所さえひとつもないアイスランド。日本が見習うべきことは多い。
◎ 「電力」の「輸出」とは、このようにして行われるのだ。
日本に住む私たちは、地震や火山とともに生きていく知恵を持たなければならないだろう。
東日本大震災以後、日本に原子力発電所があるべきかどうか、議論が盛んになっている。地球物理学者から見れば、モザイクの成り立ちをもつこの火山列島で、これからも「大噴火」や「カルデラ噴火」、そして大地震が避けられない日本で、原子力発電所を持ち、その廃棄物を数万年の単位で長期間にわたって管理しなければならない核燃料を扱うことはなんとも無謀なことに見えるのである。
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