自己同一化の欲求
須山敦行
想田和弘さんの
「自己同一化の欲求 宇宙まで広げてみては」
に学ぶ
「どうせ自己同一化するなら、いっそのこと人類や地球、宇宙などと自己同一化することはできないだろうか。」
この言葉を、受け売りしたいと思いました。
ちょっと長い引用ですが
「 人はアメフトのチームだけでなく、自分の属する村や家族や会社や学校、派閥や国などに自己を拡張し、同一化する。というより、同一化したがる。人間が独りでは生きていけない社会的動物である以上、それはたぶん、生存にとって必要な本能なのだろう。伝統社会が崩れ個人がバラバラになった現代社会では、人々はなおさら、自己を同一化できる対象を渇望しているのかもしれない。
気をつけなければいけないのは、そうした人間の根源的な欲求を、政治的に利用しようとする輩が絶えないということである。欧州での極右政党の躍進、英国の欧州連合(EU)離脱決定。いわゆる「イスラム国」の台頭。隣国に対する敵対感情や不安を煽る安倍政権。米大統領選挙でのトランプ現象。
どうせ自己同一化するなら、国や民族や宗教などといったチマチマしたものではなく、いっそのこと人類や地球、宇宙などと自己同一化することができないだろうか。そうすれば自分と属する集団が異なる「敵」もいなくなり、戦争のしようもなくなるだろう。
それは夢物語だろうか? 僕はそうは思わない。実際、日本でも戦国時代に敵対し合っていた「国」同士が、今は仲良く共存している。敵と味方を分ける線引きなど、実に恣意的なのである。」
▶ 想田和弘 「自己同一化の欲求 宇宙まで広げてみては」(朝日新聞2016年11月9日夕刊)
熊谷晋一郎さんは、ヘイトスピーチする人たちのことを
「自分を集団的価値と同一化して」
「より弱い立場、より障害化された人々を排除することで
自分の価値を高めようとする方向」
と指摘しました。
▶ 熊谷晋一郎「『語り』に耳を傾けて」 (『世界』2016年10月号p.41)
現代は、「自己同一化」がキーワードになる、と思いました。
野見山曉治さんの
「私は日本に生まれた世界の一市民です。」
▶ 野見山曉治 (「しんぶん赤旗日曜版」2016年10月9日号)
も、同じテーマですね。
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