成人と小児では、急性白血病は病型の頻度も治療成績も異なります。同じ範疇の病名を名乗っているのは誤解を生むとさえ思いますが、良い成績は手本として、治療法の確立に向けさせる効果はあります。私は、内科医で成人の白血病に対する治癒的治療法の確立をライフワークとして恩師の下で今も研究、診療を続けています。再発後も長期生存可能な時代がとうとう来た、開いたと実感させてくれる患者が増えてきました。
急性骨髄性白血病再発後、完全寛解に到達し、強化療法、維持療法を経て、無治療で10年を経過した患者が近況報告がてら元気で来院され、感慨深いものがありました。
血液疾患を専門とすると決めた70年代は、やっと初回寛解に到達するのに四苦八苦しました。
治癒を目指して治療しても再発し、適応がある少数の患者には骨髄移植を選択したりしましたが、再発後は不帰となるという現実を受け入れざるを得ない時代が続きました。
成人急性骨髄性白血病治療法開発に関しては、パイオニアとして先頭を走ってきたと自負していますが、再発したら惨めなジリ貧状態という結末が長らく続いてきたのです。初回治療終了後、無治療期間に再発した症例は、初回と同じか、もっと良い成績をあげられるというところまできたのだと、さまざまな思いが交錯し、感慨ひとしおでした。