可燃性のウレタンフォームを木造住宅の壁に発泡施工するには、それまでの難燃性を重視してきたグラスウール断熱材よりもはるかにリスキーな断熱工法でした。
また飛散防止などの養生が必須となることから、とても費用も掛かります。
私は、あえてこのウレタン断熱材を木造建築への使用に拘ったのには極めて高い気密性と断熱性能を確実に担保できて、経年変化が極めて少ないとの確証があったからです。
原液メーカーの研究所だけでなく、会社の研究室で何度も繰り返して加熱試験、燃焼試験、引張強度試験、落下実験などを繰り返し、ヒトの住む家に使えると判断しました。
グラスウール断熱材の熱伝導率(λ)は、0.04(ちなみに空気のλ0.02)です。
私達が使用する樹脂断熱材エアクララは0.021、つまり倍の断熱力があると云う事です。
これを人の住む木造住宅に安全に使用するには何重もの対策が必須となります。
私が、この可燃性の樹脂スプレー発泡断熱工法を創設したのは32年前の平成元年でした。
この断熱工法で家づくりを行ったお施主様は、その快適性をとても評価してくれました。
しかし、同時に公的機関に断熱工法の認定申請を行いましたが、ことごとくNGでした。
見た事も聴いたこともない可燃性の断熱工法は、受付の段階からダメ出しを受けたのです。
それまでの断熱基軸は、グラスウールを使用する事で基準がつくられていたようです。
そこに可燃性の樹脂スプレー断熱工法などは、ダメだし要件満載と見えたのでしょう。
平成3年に現在の国土交通省の出先機関「IBEC」に認定申請を受け付けて頂きました。
それからもまた苦難が続きで審査審議官は断熱気密などを調査研究する大学の先生方です。私は、燃え難さや火炎を防ぐファイヤーストッパー等のエビデンスを揃えておりました。
平成4年には、先生方に現場を検証して貰う事となり、関東や中越に建築した「#ファース工法」8棟の家を体感や検証して頂き、平成5年4月に日本で初めての認定となりました。
それ以後は、堰を切ったように樹脂スプレー発泡工法が乱立し始めています。
私は、必ずしも安全や経年変化が担保されない工法も多いことを危惧しています。