読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

普段に生かす日本の台所道具

2011年04月25日 19時33分08秒 | ■読む
吉田揚子取材・文、佐野絵里子絵、技術評論社刊
木製まな板、包丁、竹ザル・かご、シュロのたわし、すり鉢など、日本の伝統的な台所道具を取り上げています。私の世代は、取り上げているもののほとんどを実際に目にして使ったこともありますが、若い人達は目にしたことがないものが多いのではないでしょうか。鰹節削りは結婚後何年かした際に、美味しいお茶漬けを作りたくなって買いました。桐の米びつは、姉からもらったものを使っています。
本書は、そうした道具の概略、選び方、使い方、手入れの仕方、物によっては生産者の声、更に、それらの道具を使っての料理の仕方など、多面的に道具を取り上げています。まだお若い方と思いますが、便利な日常生活、そして、その背後の使い捨ての文明社会に対する問題意識から、こうした伝統の台所道具を使い始めたようです。私の育った昭和30年代には、選択のしようが無かった手作りの料理と作り方が、今の時代だからこそ価値があると訴え掛けているようです。つまり、かつて、自らの手で使いこなした道具の背後に秘められた生き方が今の時代に求められるとの主張です。
現代のように変化の激しい時代にあって、生きる上での基礎となる食生活を他人任せにしないで、自ら吟味して再構築することは、贅沢で、自らの生き方を見直す良い方法であろうかと思います。
本作の魅力は、以上のような問題意識と多面的な取り上げ方だけでなく、イラストの力も大きいと思います。女性ならではの、柔らかでありながら、リアリティのある図柄が素敵です。
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URL => http://ameblo.jp/hikidashino-oku/
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評価は4です。

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