フランスはどこに行っても食べ物は美味しいと言われているが、中でもリヨンは食道楽の町として名高い。《フランス料理大使》ポール・ボクセはリヨン生まれと聞くし、世界的に名高い料理競技会もリヨンで行われているそうだ。
わが友セルジュ君は、最初の夜家庭料理でもてなしてくれて、次の日は、昼食を19世紀から続く老舗ビヤホールとして名高い『ブラッスリー・ジョルジュ』へ、夕食は『SUD』という素敵なレストランへ案内してくれた。
料理も確かに美味しかったが、記憶に残るのは、ブラッスリー・ジョルジュではリヨン市長と隣の席になり、親しく話し合う機会を持てたこと、SUDでは待望の赤ワイン『エルミタージュ』を飲むことが出来たことだ。
そもそもブラッスリー・ジョルジュは500名近くは入るような大きな店、その満員の中で、ちょうど行き合わせた市長が隣の席になるのは相当な確率ではないか? すぐに気がついたセルジュ君が、「日本から来た客人が貴方と話をしたいと言っている」と持ちかけると、社会党員と聞く気さくな市長はわれわれの席へ入ってきて、いろいろと話した。(写真)
後でわかったが、横浜市と姉妹都市であることでもあり、何度も日本に来ており、次の訪日ではぜひ会おう、などとなったが、相手は覚えているのだろうか。さすがに付き添い数名の中にはカメラマンもいて、バチバチと写真を撮られた。
なにかマスコミの片隅にでも載ったのだろうか・・・?
SUDでは、私がエルミタージュを飲みたいと言っていたので、セルジュ君がワインリストから見事に探し出してくれた。フランスワインは、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュが三大産地となっているが、東南部ローヌ川沿いのコート・デュ・ローヌ地方も『ミュスカデ』や『エルミタージュ』など得がたい名品を産出している。その地に行く以上、是非とも飲みたいと思っていたエルミタージュにありつけて大満足であった。2005年物でやや若かったが、持ち前の重厚な赤ワインの味をたっぷり味わった。
これこそ旅の醍醐味である。