季節の変わり目で、春ほど待ち遠しいものはない。夏と冬は、いつ変わったのかわからないことさえあるし、秋は暑さを逃れて涼を求める気持ちが強いが、秋を迎えるのは何となく寂しい。それに比して、春を迎える気持ちには希望がみなぎる。
ところが、その春はなかなか来ない。今年も、立春を過ぎてすでに1か月を経過するが、寒い日が続く。「春は名のみ」である。しかし春を求める気持ちは強く、寒さをついていろんなところに出かける。2月18日、山びこの会の2月行事「葛西臨海公園を巡るえどがわ散歩」に参加した。臨海公園には、菜の花、水仙、河津桜が満開であった。
2月25日には、府中郷土の森梅園に梅を訪ねた。なかなか立派な梅園で、中でも、しだれ梅が目を引いた。枝垂桜は豪華さを誇るが、初めて見た枝垂梅は、梅の清楚さを一層引き立て、なんとも奥ゆかしい風情であった。
ようやく3月を迎えて1日、我が家も遅ればせながら雛人形を飾った。恒例によりグランドピアノの上に飾る男雛と女雛だけであるが、今年はバックの屏風も一枚で、両側の灯篭も省略するという手抜きお飾り。それでも、レッスンに来る女の子たちには、一息の余裕を与えることだろう。それに合わせて、玄関の額絵(井堂雅夫画伯の版画)も、雪のシーから桜に変えた。
直後、孫の遥人が現れたが、これはひな祭りには関係なく、部屋の中を走り回り、椅子にふんぞり返るやら、ロバのぬいぐるみをぶん投げるやら元気がいい。5月の端午の節句には満2歳を迎えるが、一足先に春爛漫である。