旅のプラズマ

これまで歩いてきた各地の、思い出深き街、懐かしき人々、心に残る言葉を書き綴る。その地の酒と食と人情に触れながら…。

コロナウィルスにつぶされた二つのイベント

2020-03-15 14:10:33 | 文化(音楽、絵画、映画)


 わが家はこの春、二つのイベントに取り組んでいた。私が計画した「純米酒を楽しむ会」(4月4日)と、娘が主宰するオペラ普及集団ミャゴラトーリの支援者の会(3月14日)である。前者には61名、後者には40数名の参加者が見込まれていた。これを襲ったのがコロナウィルスである。正確に言えばコロナを恐れる自粛ムードである。
 先ずは私の純米酒会について。
 本家の中国ではほとんど収まってきたようであるが、イタリアやイランを中心にまだまだ感染が広まっているので、決して軽視するつもりはないが、日本の感染者数は714人、死者21人(いずれも14日現在)で、この感染者比率は0.0006%で限りなくゼロに近い。増え方を見てもほぼピークアウトしたのではないかとみられ、私は4月4日の挙行を決めていた。加えて、政府をはじめとした自粛ムードの中にあっても、43名の人が参加の意思表示をしてきたのからだ。
 ところが一方で、「もし何かあったらどうする」とい不安の声は消えず、「どうしても4月にやらなければならない会でもなく、延期しよう」という常識論も根強い。日本にあって714人が感染したが、その中の7,8割はすでに治っているのではないか? 国やマスコミは、何故かその数は報道しないが、治癒者を差し引けば患者は2,3百人ではないか? 参加者がその人に触れる確率は、限りなくゼロに近い。
 しかしゼロではない。上記の常識論には最終的には勝てない。会は秋に延期した。
 娘の「支援者の会」はもっとひどかった。6月にオペラ公演を控えそれもにらんで設定したこの会は、この機を外すと行えない。娘は、予防対策に万全を図りながら、何としても実行すべく取り組んできたが、5日前になって、会場側から「使用禁止」の通告を受けたのだ。もはや打つ手なし、中止を余儀なくされた。参加希望者の期待を裏切っただけでなく、練習を重ねてきたミニコンサート出演予定の4人の歌手とピアニストは、その瞬間ノーギャラとなったのだ。
 結果的には、心ある参加予定者をはじめとした支援者から、かなりの額のカンパが寄せられ、娘はそれらを充てて予定したギャラをすべて払うことに決めたようだ。そのいきさつを涙ながらに報告してくれた娘の姿を見て、コロナ(それに伴う自粛ムード!)ごときで文化の灯は消えない、とつくづく思った。


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