コロナと猛暑に悩まされた夏は例年になく長かったが、ようやく季節は巡ってきた。このところ、時折、秋の風情を感じるようになっていたが、時を待たずして、九州からカボスが、新潟から銘酒(銘柄はあえて伏せておく)が着いた。
子供の頃からの癖で、カボスの季節になるとあらゆる食菜にカボスをかける。煮物、焼物、鍋物はもちろん、味噌汁やおしんこ類に至るまで、この新鮮な香りで食べる。その合間に、いま着いた銘酒をなみなみと注いだ平盃を傾ける感触がたまらない。
ただ、昨年に続き今年も秋刀魚がない。水揚げ量激減、値段は庶民の財布の域を超える。冷凍ものならあるらしいが、それは望まない。だって“秋の風情”とは言えないから…。