北朝鮮の主力産業は麻薬、偽札それに拉致の三点セットだと断じる「産経抄」は北朝鮮高官の日本滞在を睨んで小気味が良い。
横田めぐみさんの結婚相手が、DNA鑑定で韓国の拉致被害者、金英男さんだったことが判明した。
「太陽政策」だと嘯き北に擦り寄ってきた盧武鉉政権は北に遠慮して、自国の拉致被害者には頬被りを決め込んできた。
韓国は伝統的に家族を大事にする国柄と聞く。
北に向かって息子の名を呼ぶ老いた母の映像は韓国の世論を動かしつつある。
北の悪事に韓国メディアもやっと目覚めてきたようだ。
横田夫妻も韓国に渡って「親戚」に逢いに行く予定だという。
この二つの被害家族家族の対面こそ「北の悪事糾弾」の日韓世論、いや、世界の世論を喚起する千載一遇のチャンスだ。
◆産経抄 平成18(2006)年4月13日[木]
極悪非道のマフィアといえば麻薬、偽札、誘拐の三点セットと決まっている。シチリアのマフィアは、イタリアの独裁者ムソリーニに追い立てられて米国に渡った。以来、米司法当局はこの増殖したマフィアとの戦いに明け暮れる。
▼北朝鮮の主力産業も麻薬、偽札、拉致だから、こちらは「マフィア国家」と命名して何の不都合もない。米政府は昨年秋、ついに偽札づくりの証拠をつかみ、マカオの銀行に制裁を発動した。そのマフィア国家の幹部が、東京で開催の国際会議に参加した。
▼ここで北の幹部が、「制裁を解除しなければ六カ国協議に参加しない」などとうそぶいた。米国のヒル国務次官補は「ヘッ」と無視した。当然だ。マフィアが組織犯罪の取り締まり側に公然と取引を持ちかけたのだ。「逮捕しないだけありがたく思え」と、米国に代わって小欄がいう。
▼ヒル次官補はもっと品よく、凍結された北朝鮮口座は二十三億七千万円だと暴露した。北の財布は政府、軍、金正日一族の三つに分かれ、一族の財布が一番大きいらしい。マカオの口座はこの一族の分だった。ここから盆暮れの“もち代”が高官に配られる。カネの切れ目が縁の切れ目だから金総書記は焦った。
▼凶悪犯罪の「拉致」でも、日本政府は北に観念しろと迫った。横田めぐみさんの結婚相手が、DNA鑑定で韓国の拉致被害者、金英男さんだったことを突き止めたのだ。北朝鮮生まれの工作員だとウソをついた北も困ったが、彼らに甘い韓国はもっと困った。
▼韓国には四百八十六人の被害者がいる。融和路線の盧武鉉政権は北に配慮はしても自国の拉致被害者には目をつむってきた。日韓の国民が共闘すれば、盧政権も対北包囲に引き込まれよう。
やはり自国民が拉致されたと判明すると、メディアも北に尻尾を振る盧武鉉政権を批判せざるを得ない。
子を思う親心は韓国も日本も変わりはない。
日韓世論の爆発を期待したい。
韓国主要紙の最近の報道を貼り付ける。
◆朝鮮日報 4月12日http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/12/20060412000025.html
◆中央日報 2006.04.13 08:05:55
【社説】北に強制拉致された金英男さん、是非送還を
日本人拉致被害者横田めぐみさん(死亡と主張)の夫が、高校生だった1978年に韓国で拉致された金英男(キム・ヨンナム)さんという日本政府の発表は非常に衝撃的だ。
この驚くべき内容は彼ら夫婦の娘と金さんの親の遺伝子検査結果で明らかになったものだ。16歳という幼い生徒を拉致して対南工作教官に育てた北朝鮮政権のやり方にも言葉が出ないほどだ。
拉致事実が明白に表れた以上、北朝鮮は認めて、謝罪をすべきであろう。「捏造」云々言って片付けようとすることではない。
何より今回の事件をめぐる韓国政府の無責任な対応や態度が国民の怒りを買うだろう。日本は自国民の拉致に対して北朝鮮の最高統治者の自認、謝罪をさせている。
日本はここで止めなかった。めぐみさんの娘と会って、遺伝子検査に備え、彼女の髪の毛を確保する機敏性を発揮している。「キム・チョルジュン」という北朝鮮人がめぐみさんの夫だと通報を受けると彼にも会って関連資料を得た。彼が78年ごろ韓国で拉致された5人のうちの1人だという情報を手に入れると、彼ら親の体細胞も提供してもらった。これほどに執拗で緻密に対応した結果、彼の身元を正確に明らかにできたのだ。
一方、韓国政府はもみ消すのに汲々としていた。「拉致被害者家族の集い」がキム・チョルジュンは韓国人という情報を与えたのに、確認するどころか目をつぶった。日本政府から正式な通報を受けてからも「実は確認後、対策を用意する」というのんきなことばかり言っている。
日本は4年にわたって南と北を往復し、自国民の身元確認と送還のために方々走っている間、韓国政府は「南北関係改善障害」とばかりうたってきたのだ。自国民の保護という国家の1次的義務をこれほどまでに疎かにする政府は「政府」といえない。日本を含む国際社会が韓国政府をどう見るか恥ずかしくないのか。
28年間、末の息子を思って血の涙流していた老母が「死ぬ前に息子と孫娘に会いたい」と絶叫した。政府は拉致された英男さんを送還するのにあらゆる手段を動員しなければならない。北朝鮮も最小限、人道主義次元ででも決断を下してほしい。
◆東亜日報[オピニオン]APRIL 08, 2006 03:05
横田めぐみさん
スパイ小説よりさらに奇妙なストーリだ。1977年、日本の新潟県で女子中学生の横田めぐみさんが拉致される。彼女は北朝鮮の工作船に乗せられ、北朝鮮に連れ去られる。対南工作部署に配置された彼女は、金チョルジュンと結婚することになる。金チョルジュンは1978年、全北群山市仙遊島(チョンブク・クンサンシ・ソンユド)で失踪した高校生の金ヨンナム(当時16歳)のことだった。北朝鮮が対南工作に利用するため、韓国と日本で、何の罪もない人を拉致していた時代だった。1986年に結婚した2人の間に、金ヘギョンという子が生まれる。
◆02年、日朝首脳会談の時、北朝鮮は「横田が自殺した」と発表した。しかし、日本の家族は信じなかった。金容淳(キム・ヨンスン、03年死亡)労働党秘書が、1997年、「横田めぐみは生きている」と述べたという報道もあった。さらに彼女が金正哲(キム・ジョンチョル、金正日の次男)の家庭教師を5年間もしていた」という主張も出た。北朝鮮が「余りにも多くのこと知っている」彼女を日本に返すのを憚って、死んだと言い紛らしているということだ。それから、夫の金チョルジュンも「偽」かも知れないと疑った。
◆金チョルジュンの髪の毛を得ようとしたが、北朝鮮は、「特殊機関員であるため駄目だ」と断った。すると、日本は諜報作戦のように彼の生体情報を抜き出した。彼を面談しながら、家族写真に薬物を塗って指紋と皮脂を採取した。また、彼と握手する前に、手に薬物を塗って体液を採取する方法も使った。結果は金ヘギョンの本当の父親だった。日本は金チョルジュンが韓国から連れ去れた「金ヨンナム」だということを知っては、今年2月、群山の両親に会って、遺伝子情報を得た。日本は最近、孫娘の金ヘギョンと群山の「祖父母」の遺伝子情報が一致するという事実を確認したと報道した。
◆北朝鮮は苦境に立たされている。ドル偽造で悩まされ、日本内の対北朝鮮世論の悪化に悩んでいるところに、韓国でも拉致被害者問題が浮上すると見られるからだ。「拉致」という言葉が出ると、口を塞げて追い出そうとする北朝鮮がこの科学的な証拠の前で、どのような出方をするのか知りたい。「天網の目は粗いが決して悪人を逃しはしない(天網恢恢疎而不漏)」という言葉が思い浮ぶ。北朝鮮の自業自得だ。
金忠植(キム・チュンシク)論説委員skim@donga.com
◆ 韓国放送公社KBS 2006-04-12 17:05:15 Updated.
金英南さんの母 「一日も早く会いたい、ヘギョンとも」
北韓にら致された横田めぐみさんの夫とされる男性が、78年にら致された韓国人の金英南(キム・ヨンナム)さんである可能性が高いという日本政府からの連絡を受けた全羅北道全州市に住む母親の崔桂月(チェ・ゲウォル)さん(82)は12日、ソウルの市民団体事務所で記者会見し「一日も早く息子と再会したい」と涙で訴えました。
崔桂月さんは、この中で「死んだと思っていた息子が北韓で生きているとは、孫娘となるヘギョンとも一日も早く会いたい」と述べました。
一方、韓国のら致被害者団体は、「政府はら致被害者問題の解決に向けて今月21日に予定されている南北閣僚級会談の際に議題に取り上げ、国民とら致被害者の家族が納得できる成果をあげてほしい」と求めました。
韓国のら致被害者団体は今月20日、アメリカのワシントンで横田めぐみさんの家族とともにら致被害者問題解決に向けた抗議行動を行う予定です。