竹島の海洋調査を巡る日韓の対立はチキンレースそのものだ。
「日本としては国際法に則って粛々と基本的に作業を進めていくということになる」。
今回の「作戦」の総指揮官である安倍官房長官の言葉だ。
言葉使いはソフトだが韓国側には強硬派安倍の不退転の決意が読み取れた。
韓国側にとって今回の日本の対応は「想定外」だった。
ドスをちらつかせ脅しをかければ引っ込むと思ったが、日本側の態度は従来と違っていた。
次期首相最有力候補の安倍官房長官が「作戦」の総指揮官だったのだ!
安倍官房長官は「今回のような調査は韓国側も行なっており、お互いに冷静に対応することが大切だ」と、あくまでも冷静だ。
それどころか韓国側にも冷静な対応を求め、政府として「粛々と」竹島周辺の海洋調査に着手する考えをあらためて示した。
自分に理が無い事を知りながら20隻の艦船と大砲で威嚇する従来の脅しが効かないと知って狼狽したのは韓国側だ。
日本が測量を実行して韓国がこれを拿捕したら、日本が「出るところに出て話をしよう」と言っているところ「国際司法裁判所」に引きずり出されるということは韓国自身が百も承知していた。(朝鮮日報http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/04/19/20060419000016.html)
しかし出るところに出るわけには行かない。
かといって日本が投げかけた「6月に行われる国際海洋会議に韓国名の海底地名を提出しなければ、調査船を引っ込める」と言う譲歩案を素直に飲むわけには行かない。
それまで散々日本の「旧悪」を声高に叫び,盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領までも「侵略戦争で確保した占領地に対する権利を主張する人たちがいる」よ発言するに及んでは、振り上げた拳を簡単に下ろせない。
国民を煽っているの大統領だけではない。
昨日来ソウルで日本の谷内正太郎外務次官と協議中の韓国外交通商省柳明桓(ユ・ミョンファン)も国民に拳を振り上げ誇示して見せている。
朝鮮日報 2006年年4月22日
【海洋調査】柳次官「大韓民国の存続をかけてでも」
独島(日本名竹島)近海水域における日本の海底探査計画に端を発した韓日間の問題を解決するため、交渉に当たっている柳明桓(ユ・ミョンファン)外交部第1次官が21日、これまでに例のない強硬な発言を繰り返し注目を集めた。 柳次官は交渉を控え、記者らと懇談し「大韓民国の存続をかけ、物理的な力を動員してでも(日本の探査は)防がねばならない」と話した。外交官としての33年の経歴を持つ柳次官によるこの発言は、会談会場の内外で大きな話題となった。
柳次官はまた、別の場所で「今日は手加減しない」とも話した。日本の外交官らは普段慎重な言動で知られる柳次官の「非外交的」な発言に、驚いた様子だったと伝えられる。それだけに、一連の発言は今回の事態に対する韓国政府の厳しい姿勢を反映したものとの見方もある。
簡単に日本側の妥協案を飲んだらナショナリズムでヒートアップした国民の批判の矛先が大統領に向かうのは火を見るより明らかだ。
泥沼に足を突っ込んで抜き差しなら無い状況にあるのは盧大統領だ。
今日本側から投げたボールは韓国側にある。
◆朝鮮日報 2006年4月22日
【海洋調査】盧大統領の決断が交渉左右か
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は21日、金寿煥(キム・スファン)枢機卿とチョン・ジンソク枢機卿との会談の席でも、独島(日本名竹島)近海での日本の水路測定計画を批判した。
20日の国家朝餐祈祷会でも盧大統領は日本を指し、「今、この時になっても過去の不当な歴史により取得し、侵略戦争で確保した占領地に対する権利を主張する人たちがいる」と話した。18日午後には与野党の指導部との会談の席でも、外交部が現在まで繰り広げてきた「静かな外交」の再検討を明らかにしている。
また盧大統領は、国防当局者から「準備は万端」との報告があったことも明らかにしている。日本の探査船派遣計画に初めて公式に触れたのも17日朝、大統領府でのことだった。
それだけ盧大統領は、この問題が主権に関わる問題との認識を強めている。事態への対応も、他のどの政府部処(日本の省庁に当たる)よりも強硬だ。かえって関係部処は大統領府について行くのが精一杯な状況だとある政府当局者は伝えた。したがって韓日間の外交交渉は、盧大統領の決断次第で合意もしくは決裂が左右されそうな状況だ。
◆(2006年4月22日11時19分 読売新聞)
竹島問題で日韓次官が再協議、主張対立し平行線
竹島問題
【ソウル=中島健太郎、福島恭二】竹島周辺海域での日本の海洋調査に韓国が反発している問題で、谷内正太郎外務次官は22日午前、ソウル市内のホテルで韓国外交通商省の柳明桓(ユ・ミョンファン)第1次官と再協議を行った。
谷内次官は21日の協議で、韓国が6月の海底名称に関する国際会議にこの海域の韓国語表記を提案しないと約束すれば調査を見送る考えを示したが、柳次官は調査方針の即時撤回を求めており、両国の主張は対立している。
柳次官は会談前、同ホテルで記者団に対し、「今日中に終わるかどうかは、展望するのが難しい」と語った。さらに、「譲歩する部分はあるか」という質問に、「ない」と答えた。
21日の協議では、谷内次官は、韓国語表記の提案見送りを求めたほか、係争水域に入る際は事前に相手国に通報するルールを設けることを主張した。
これに対し、柳次官は「日本が独島(竹島の韓国名)を編入したのが、植民地支配の始まりだ」と指摘し、「日本の海洋調査は科学的なものだと思っていない。直ちに調査撤回を表明するべきだ」と反論した。
韓国側はこれまでに、韓国語表記の提案については6月の会議にこだわらない姿勢を示しているが、日本側がまず調査中止を決めるよう強く求めている。
一方、海洋調査に当たる予定の、海上保安庁の測量船「明洋」と「海洋」の2隻は、22日午前も鳥取県の境港沖合で待機を続けた。