盧武鉉大統領の特別談話に通常は真っ先に反発しそうな産経新聞が翌日の社説では呆れ返ったのか黙殺で答えたか、と書いた。
我慢しかねたのか今朝の産経抄がその憤懣を爆発させた。
その文章の一字一句に一日我慢した怒りが漲っていて興味深い。
怒りには満ちても竹島問題の正鵠をつく軽妙な文を下記で鑑賞しよう。
◆産経抄 平成18(2006)年4月27日[木]
居丈高に言辞を弄(ろう)し、正義もどきに酔うのは「人生の一大快事」である。韓国の盧武鉉大統領のことだ。竹島の領有権にからむ日韓交渉で外務次官に合意させ、終わると相手国を罵倒(ばとう)した。でも、誇張や曲解ばかりだと、お国では「快事」でも、日本には「珍事」でしかない。
▼盧大統領は特別談話で、「日本が朝鮮半島の侵略で最初に奪った土地だ」と非難した。江戸時代から竹島を認知し、漁業を営んできた歴史には目をつぶる。何でも植民地支配に結びつけて、揚げ句の果てに「挑発には断固対応する」との虚勢だ。これを「珍事」といわずに何といおう。
▼盧大統領もツキがなかったから同情はする。ソウル大教授によるES細胞の捏造(ねつぞう)研究では、彼を国民的英雄に祭り上げてしまった。北朝鮮に拉致された韓国人が、実は横田めぐみさんの夫であるとのDNA鑑定が、あろうことか日本から届いた。盧政権の拉致被害者への冷たさがすっかりバレた。
▼そこに、竹島問題が飛び込んできたから韓国は久々に燃えた。愛国心を刺激される快感にすっかり酔ったらしい。だから日本が竹島周辺海域を調査する構えをみせると、警備艇を繰り出し「拿捕(だほ)するぞ」と沸いた。
▼ところが、せっかく拳を振り上げたのに、日韓政府が次官交渉で問題を先送りしてしまった。日本から国際司法裁判所など「出るところへ出ようぜ」といわれて分が悪くなったか。そこで大統領は、過激談話で韓国民のガス抜きを図ったらしい。
▼半島は日中の大国にはさまれた回廊にあり、昔から虚勢でしのいできた。でも日本政府はそのつど反論すべきだ。放っておくと、あの「独島(竹島の韓国名)はおれのモノだ」論が勝手に世界を歩きだす。
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4月21日の「竹島問題と歴史の法則」で次のように書いた。
≪領土の法則とは、・・・兎に角いち早く実効支配し、例えその根拠が不明(不法占拠)でも自国領土であると声高に主張し続ければ結局世界はこれを認知する≫。
ここで重要なのは「世界に認知させる」ということだ。
大体他所の国の揉め事を歴史を遡って判断してくれるような物好きな国は滅多にない。
そこでコ難しい理屈よりも判りやすい「実効支配」と「声高に叫び続ける」ことに意味がある。
韓国は実効支配の次の手を打ち始めた。
在韓外国の各高官に対して広報戦争を開始した。
標的は米国、中国、ロシア、英国、ドイツ、フランス、豪州、ニュージーランド、東南アジア諸国など。
尹炳世(ユン・ビョンセ)次官補と、対日問題主務局長を務める李赫(イ・ヒョク)アジア太平洋局長が担当する。
世界の世論と日本の国民に、日本政府の不当な仕打ちを絶えず告発していく」との盧武鉉大統領の特別談話に基づく後続措置と分析される。
◆中央日報(韓国紙) 2006/04/27 11:48
駐韓外国公館で「独島広報戦」、外交通商部が展開
【ソウル27日聯合】外交消息筋が明らかにしたところによると、外交通商部は27日から2日間、駐韓外交公館の大使・公使級高官を外交通商部に招き、1対1で韓国の「独島主権」を積極的に説明する。
対象とするのは米国、中国、ロシア、英国、ドイツ、フランス、豪州、ニュージーランド、東南アジア諸国など。説明は尹炳世(ユン・ビョンセ)次官補と、対日問題主務局長を務める李赫(イ・ヒョク)アジア太平洋局長が担当する。世界の世論と日本の国民に、日本政府の不当な仕打ちを絶えず告発していく」との盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の特別談話に基づく後続措置と分析される。
外交通商部は、既に全在外公館に盧大統領の談話内容を通知し、駐在国政府に談話の趣旨を説明させているほか、駐韓外交団にも該当国の言語に翻訳した談話内容を伝達している。外交通商部では、談話内容の通り独島は単純な領有権問題ではない、完全な主権回復の象徴だという点を強調する考えだ。
外交通商部はこれに先立ち、独島問題に効率的に対応するため、駐日公使を歴任した柳光錫(ユ・グァンソク)前シンガポール大使を対策チーム長に任命し、対日外交全般を管轄するアジア太平洋局、排他的経済水域(EEZ)交渉を担当する条約局、国際水路機関(IHO)関連業務を行う国際機関局などの業務を指揮・調整することを決定している。