六カ国協議 「東アジアの情勢は奇奇怪怪」 2007-03-23
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履行期限危ぶむ声も 膠着続く6者協議
2007年03月22日11時41分 朝日新聞
マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)から中国銀行への約2500万ドル(約29億円)の送金問題で6者協議の膠着(こうちゃく)状態が続く中、各国からは前回協議で合意された「初期段階の措置」の60日以内の履行について、先行きを危ぶむ声が出始めた。また米国のヒル国務次官補は22日午前、「(送金の)書類面で進展があったようだ」と述べ、中国側から説明を受けるため釣魚台国賓館に向かった。
22日に帰国するロシアのロシュコフ外務次官は同日午前、「60日の合意が守れないことは明らかだが、1、2カ月遅れようと、このプロセスは続けていかなければならない。金融問題がこの1、2日で解決するとは思えない」と記者団に語った。日本外務省幹部も「期限はずれるだろう。北朝鮮が約束通りやるとは思っていないし、60日というのはあまり気にしない」と話した。
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北朝鮮資金返還問題
米国の金融制裁を受け、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連50口座の資金2500万ドル(約29億4000万円)を全額返還することで米朝が合意。同資金は中国銀行にある北朝鮮の朝鮮貿易銀行口座に移されることになった。しかし、北朝鮮は20日、資金返還が確認されなければ協議に応じられないと主張して、首席代表協議出席を拒否した。
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◆ 味方と思っていた国が敵国と手を結ぶ。
これを突然知らされたら衝撃を受ける。
およそ70年ほど前、ナチス・ドイツは、日独共同の敵と思われていた共産・ソ連と突然「独ソ不可侵条約」を締結した。
「欧州の情勢は奇奇怪怪」の名(迷)文句を残して内閣総辞職をした平沼騏一郎首相を現代のメディアは笑えない。
外交の場の駆け引きはメディア報道では見えない部分も多い。
六カ国協議で、同盟国アメリカは当初米朝の二国協議には応じないと強気だったのが二国協議どころか二国合意までしてまい、挙句の果ては凍結資金まで解除してしまう。
敵と思っていた北朝鮮と簡単に仲良くするなんて。
それはないですよ、アメリカさん。
70年前の「欧州の情勢は奇奇怪怪」という名言も
「東アジアの情勢は奇奇怪怪」に置き換えられてしまう。
六カ国協議で、核を外交カードにゴネ続ける北朝鮮の態度は「想定内」だとしても、アメリカの強硬姿勢の腰砕けは「想定外」であった。
だが、北のゴネ得にアメリカが屈服してしまったのか。
米国が北朝鮮の主要バンク・BDAを「マネーロンダリング(資金洗浄)懸念対象」として名指ししてから約1年6カ月。
アメリカは綿密な調査を経てBDAを、「資金洗浄機関」に正式に指定し、凍結されている北朝鮮の資金2400万ドル(約30億円)の取り扱いについて関与しない方針を決めた。
米国の方針は、BDAで資金洗浄した国は北朝鮮であって、
BDAはこれに関わっただけなのに、
結果的に北朝鮮は資金を回収し、BDAは銀行にとって死刑にも等しい取引き停止で破たんに追い込むと言うことだ。
言っていることが解り難い。
悪事の限りを尽くした極悪人には隠匿財宝を引渡してお咎めなし、
一方隠匿を手伝っただけの小悪党には死罪を与える。
お奉行さま!
それで一件落着ではあまりにも不公平じゃありませんか。
3月15日の時点で朝鮮日報は北朝鮮とアメリカの駆け引きを次のように分析していた。
先ず北朝鮮側の得とは、
①BDA調査終結を主張⇒六カ国協議を空転⇒米朝直接交渉を引き出した。
②BDAを口実に時間を稼いだ後、核実験に成功。
③結局、凍結された資金を回収。
で、アメリカの得は、
①BDA調査を通じて10万件を越える北朝鮮の金融取引を捕獲。
②各銀行と北朝鮮の不法な金融取引を遮断。
③北朝鮮による偽ドルの新規製造に歯止め。
なるほど両国のメリットだけなのか。
いや、両国には損もあると言う。
北朝鮮の損は、
①資金洗浄国として国際金融取引きを困難にした。
②金正日の秘密資金が公になった。(アメリカに把握された)
アメリカの損は、
①結果的に凍結口座を解除して、アメリカの信頼感を失う。
②不法行為に政治的妥協で決着をつけ一貫性を失う印象を世界に与えた。
ところが本日3月23日現在、BDAの北の資金は未だに送金されておらず、代表はさっさと帰国してしまった。
銀行の事務手続き上の遅れだと言われているが、「中国の商業銀行である中国銀行はBDAに凍結されている北朝鮮資金の受け入れを拒否している」(朝鮮日報)と言う報道もある。
中国銀行では「違法活動に関連した凍結資金を受け入れれば、国際金融界での信頼が下がるのでは」と懸念しているという。
だとしたら、アメリカは北に対して寛大な態度を示すと見せて、結局は北の手先になる銀行は国際金融取引きから締め出すぞと言った脅しのメッセージを世界に発したことになる。
直接制裁の荒業を引っ込めてジワッと効いてくる「三年殺し」の必殺技を使ったのだろうか。
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米財務省が解除発表
資金洗浄は違法性認定 BDAと取引禁止
【ワシントン=立尾良二】米財務省は十四日午後(日本時間十五日未明)、金融制裁により北朝鮮関連口座を凍結しているマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)に対する違法行為の調査結果を発表し、北朝鮮への制裁を事実上解除する姿勢を示した。
財務省は、BDAが北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)などを黙認していたなどとし、米国の金融機関にBDAとの取引禁止を正式に命じた。BDAは米金融システムと直接、間接の取引ができなくなる。その一方で同省は、北朝鮮関連口座の取り扱いはマカオ当局に一任すると表明し、制裁解除を容認した。
マカオ当局は二〇〇五年以来凍結している北朝鮮関連口座、総額約二千五百万ドル(約二十九億三千万円)の解除を判断するが、全面解除になるかどうかは不透明な部分もある。
リービー米財務次官(テロ・金融犯罪担当)は記者会見を開き、財務省とマカオ当局による十八カ月間の調査の結果、「BDAが北朝鮮関連の顧客たちの違法行為を、意識的に見逃してきたことが確認された。わいろを得て、ほとんど監視や制御をせず、北朝鮮側に金融システムを利用させた」と指摘した。財務省は〇五年九月、BDAを「資金洗浄が懸念される主要銀行」に指定し、マカオ当局と協力して金融犯罪の実態を調べてきた。財政難の北朝鮮は、核問題をめぐる六カ国協議の場などを通じて、金融制裁解除を再三要求。米国は先月の同協議で北朝鮮が核放棄に向けた「初期段階の措置」を受け入れたことから、制裁解除に応じる姿勢を示していた。(東京新聞 2007年3月15日)
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