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「火事場泥棒」という言葉は、人が災難で窮地に陥っている時、その弱みに付け込んで悪事を働く行為を例えて、日本人の感覚では最も恥ずべき行為だと言われている。
アメリカが広島へ原子爆弾を投下するのを待ち構えていた、それまで日本とは交戦していなかったソ連が、日ソ不可侵条約を踏みにじり、日本へ宣戦し、満州(現在の中国北東部)へ侵入、樺太(サハリン)へも侵攻した。
典型的な火事場泥棒である。
だが、今日の「火事場泥棒」の話題は中国である。
中国・四川大地震で救援物資の横流し疑惑が相次いで浮上し、住民の抗議行動も起きている。中国政府は被災生活で募る住民のストレスが不正をきっかけに暴発し、社会不安を招くことを警戒している。
香港紙などによると、四川省徳陽市羅江県で21日、軍関係者による救援物資横領に反発した住民ら1000人以上が抗議行動にでて警官隊と衝突。軍関係者は横領の疑いで公安当局に拘束された。
「哀悼日だった。絶対に許せない」。抗議の現場に居合わせた主婦は怒りが消えない。住民らは取材に対し「救援物資の管理が不十分」と当局への批判も口にした。だが取材を監視する県当局者が現れると「政府は(被災者のために)よくやっている。悪いのはほんの一部。誤解するな」と叫び、「本音」を隠した。(共同)
◇
中国では「火事場泥棒」ならぬ、「震災泥棒」もあるらしい。
いや、これだけではない。
今回の四川大地震で中国の知られざる(知っている人も多くいた)本質を世界にさらけ出してくれた。
公務員たちが救援物資を横領していると、警察に説明を求め、それが数千人の規模に発展したという。
肝心の警察自体も信用できないというが、阪神淡路大震災の時は一件の略奪も起きなかったという日本の方がむしろ不思議なのだろうかか。
各地で学校の倒壊が相次いだことについては、インターネット掲示板を中心に、「おから(豆腐殻)工事が原因だ」との声が上がっている。「おから工事」は、汚職などが原因で建築費を安くあげた手抜き工事のことだ。多くの地方で、幹部が使用する建築の耐震性は厳格に守られるが、学校など民衆のための建築では手抜きが横行している。
◇
程度の差こそあれ賄賂の無い国は無いだろう。
だが犯罪としての賄賂はあっても、賄賂がその国の文化や伝統となっている国は中国を除いてないだろう。
中国四千の歴史とは「賄賂文化の歴史」であり中国の伝統とは賄賂の伝統である。
その連綿たる伝統を受け継ぐ現在の中国で「火事場泥棒」や「汚職」、「横領」が蔓延るのも中国四千年の歴史なのだろう。
「清官三代」という言葉が中国にはあるらしいがここで言う「清官」とは日本的感覚の「清廉潔白な官」の意味ではない。
「清官三代」とは、高潔な役人でも一族が三代働かなくても楽に生活出来るだけ賄賂で蓄財するのは当然だという考えのことらしい。
高級役人になるには超難関である科挙の試験を合格しなければならず、
若者が一族全ての期待を担って、科挙合格を目指して全人生をかけたのはこの賄賂の役得があるからだ。
将来の天下りの役得のためキャリア公務員を目指した日本の若者にも共通する点があるが、・・・いやいや、日本と中国とでは汚職、賄賂の桁が違う。
何しろ「火事場泥棒」と「清官三代」の伝統の国と日本を比べるのは失礼という程質量ともに程度が違う。
日本人の尺度で彼等の伝統を測るのは礼を失するということなのだ。
【おまけ】
役人の賄賂のため可愛い子供が犠牲になった、・・・子を思う親の気持ちはいずこも同じ。
土下座で済むなら安いものとでも思っているのだろうか。
【おまけ】その2
黄砂だったらクシャミで済むが、
放射能雨が舞い降りてきたら、工藤静香も呑気に歌っておれないだろう。⇒工藤静香 黄砂に吹かれて
⇒放射性物質、7個回収 四川大地震で被害の北川県・セメント工場
【おまけ】その3
国際派時事コラム「商社マンに技あり!」の引用です。
http://www.f5.dion.ne.jp/~t-izumi/平成20年5月27日発行
四川省災害復興でますます増える手抜き工事
四川省大地震で、鉄筋ぬきの手抜き建築の悲劇が世界中に
知れ渡り、数多くの家族を涙の河に突き落としたからには、
今後はこれを教訓に手抜き工事の取り締まりが強化されて、
次なる災害に備えることだろう……
……と、日本人なら考えるのだが、それが通用しない異文
明の地こそ中国であることを、ある新聞記事が改めて思い知
らせてくれたので、ご紹介したい。
■ もういちど大地震が起きるまで ■
いわく、
被災地復興で手抜き工事は激増するだろう。
今回手抜き工事が明らかになっても、誰も罰せられていな
いから。
大地震がいちど起きれば、そのあと相当の期間は同じ大地
震は起きまいと、業者は達観している。
手抜き工事は、もういちど大地震が起きない限り発覚しな
いのだから、被災地復興は手抜きをしても大丈夫。
復興建設こそ、質より量が優先されてしまうのだ ――
そんな、驚きのインタビュー記事を、中国・広東省の『珠
江晩報』紙が5月26日に配信していた。
長い記事ではないので、全文を訳してご紹介する。
(中見出しはコラム子がつけた。原文にはありません。)
記者名は「潘多拉(はん・たらつ)」とある。
おそらくペンネームだ。
= =
≪ すすむ災害復興 工務店社長が警告
地震救済作業が急がれるなか、復興建設も計画実施の段階と
なった。
わたしの知り合いの工務店社長もおかげで仕事にありついて
いる。
さっそく質問してみた。
「今回の地震で倒壊した建物の多くは学校で、たくさんの生
徒たちが悔しい思いを残して死んでいった。
あれはやはり、世に言われる <豆腐渣工程(おから工事 =
手抜き工事)> だったのでしょうか」
■「正直、無理だね」■
工務店の社長の答えはあっさりしたものだった。
「倒壊した建物のプレハブ建材には鉄筋が1本も入ってなか
ったろう。訊くまでもないことだろうよ。
べつに工務店のおやじでなきゃ分からぬものでもあるまい。
バカでも一目見りゃすぐ分かることさ」
そこでわたしは言葉を継いだ。
「それなら今後の復興建設では、業者さんたちはこれを教訓
にして <おから工事> の根絶に努力することでしょうね」
工務店社長は苦々しそうな笑いをうかべた。
「正直、無理だね」
わたしは仰天した。
「よりによって災害復興というのに、また <おから工事>
をやるだなんて!
報いが怖くないんですか?」
■ 賄賂の連鎖でうまれた「裏ルール」■
「報いだって? 地震そのものだろ、報いって。
地震以外に、何の報いがあるってんだよ」
工務店社長いわく、耐震基準を下回る工事をするのが土建業
界の「裏ルール」になっているという。
建設業者、デベロッパー、オーナー会社から、計画・開発・
入札・建設・監督に何らかのかたちで関わる人たちまで、
それぞれ気がついては いても あえて口には出さず、
それぞれの段階で賄賂を貰い受けさえすれば、誰も追及など
しない。
工務店社長が心配しているのは、災害復興にあたって手抜き
工事がさらに増えるだろうということ。
広い面積にわたり大規模の工事を、限られた時間内に集中し
て仕上げなければならない。
計画・入札・管理監督のそれぞれの局面が繁忙化し、仕事量
もふえて、いきおい管理監督も行き届かなくなる。
そうなれば、建設業者・デベロッパーが手抜き工事をしても
見つかるリスクは低い。
■ 建設業者の確率論 ■
そして、建設業者・デベロッパーからすると、そもそも或る
場所で大地震が起こる確率というのは低いのだから、
ましてや同じ場所で短期間の間に再び大地震が起きる可能性
はもっと低い。
そう判断して 一部の建設業者・デベロッパーは なにはばか
ることなく安心しきって「手抜き」のやりたい放題なのだ。
工務店社長の分析は、たしかに論理が一貫していて、まさに
建設業界の実情を反映したものだった。
そらおそろしいばかりだ。
わたしは絶望の思いでたずねた。
「もう、どうしようもないのでしょうか」
■ 目の前にある手抜き工事の厳正処罰が先だ ■
工務店社長は表情をやや和らげて言った。
「なんとかならんわけでもない。
取り締まりが本気で行われるかどうかだな」
工務店社長いわく、1998年の洪水のとき、江西省の九江
で長江(揚子江)の堤防が決壊し、朱鎔基総理が激怒して堤
防工事の「手抜き」ぶりを非難したことがあった。
ところがそのときも、誰かが責任を追及されたなどという話
は聞こえて来なかった。
今年はじめの中国南部の雪害でも、電線関連の「手抜き」が
見つかったが、責任追及の話は聞こえてこない。
過去の失敗に懲りないかぎり、それを教訓にして慎重になる
わけもない。
もし今回の復興工事でさらに手抜きを増やしたくなければ、
先ず初めに地震によってさらけ出された手抜き工事の数々を
厳正に処罰するしかないな。
それ以外に方法はないな……。
■ 目覚めよ! ■
復興工事で手抜きがさらに増えるだろう、とは!
これは、良心がまだ残っている工務店社長の警告だ。
施策策定部門・管理監督部門の官僚・事務官諸氏には、この
声が聞こえているか? 目が覚めてくれたろうか?≫
= =
以上が『珠江晩報』紙の記事である。
地方レベルの目をおおうべきモラルの低さを、高い理想を
掲げて取り締まってくれる存在としての都の皇帝。
これが、中国の代々の王朝の存立を支えた中国人民の幻想
だった。
だから、地方役人の悪辣に苦しむ民が、皇帝に訴え出るた
めに上京するという伝統は、中国で脈々として今日まで受け
継がれている。
今日の北京の中央政府は、苦しみの日常からの突破口を求
める地方の人民から救い主に見立てられ、幻想を抱いてもら
うことで成り立っているところがある。
■ 幻想が崩れるとき ■
しかし悲しいことに共産党の北京政府もまた、賄賂の連鎖
にからめとられ、地方の隅々にまで張り巡らされた親分・子
分関係の頂点に位置しているに過ぎない。
毒入り餃子の件にせよ、数多くの手抜き工事にせよ、処罰
らしい処罰が一向に行われない。
それは、数え切れないほどの人々が賄賂に絡めとられてい
るからだし、犯人らが親分のまた親分のまた親分の共産党幹
部の庇護をしっかり受けているからだ。
子分を救ってやるのが親分の甲斐性(かいしょう)。
子分をいかに救ってやれるかということもまた、中国では
権力闘争の一形式なのである。
(そしてたまに捨て石になる子分もいる。)
親分・子分関係の頂点、賄賂の連鎖の頂点に中国共産党の
中央組織が君臨していることが人民の目に明らかになったと
き、中華人民共和国を支える幻想ががらがらと音をたてて崩
れる。
(それがこわいから中国ではメディアへの規制が激しい。)
崩れるのは、学校の建物だけではないのだ。
『珠江晩報』の潘多拉(はん・たらつ)さんの声を聞け。
工務店のおやじの声を聞け。
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