狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

改正国籍法の空騒ぎ

2008-12-11 08:31:34 | 県知事選

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マスコミ情報とネット情報の落差をこれほど大きく感じたことはない。

5日に成立した改正国籍法のことである。

テレビワイドショーでは総理大臣の言葉のあら探しばかりしている一方、

ネットでは「国籍のバーゲンセール」だとして、有力ブロガーが反対運動を起こしていた。

だが、立法してしまったら今度は立法の発端となった最高裁判所に、判決の無効を訴える運動を起こすと言う。

人気ブログランキングで1位を保っている博士の独り言さんは、次のように呼びかけている。


改正国籍法
最高裁判所への訴追請求について

 先に国会で成立となった改正国籍法に関しては、最高裁判所が「国籍付与」という立法府の権能にまで踏みむものであり、そもそもが「判決」それ自体が違憲ではないか、との指摘がなされている。そこで、老舗の二階堂.COM殿、RAM殿、およびネット有志各位が、正統な国民の権利として、同判決に賛同した裁判官の罷免請求を送付することによって、同裁判の判決それ自体の『無効』を促す運動を提唱しておられることは、多くのみなさまがご存知のことと思う。

 訴追請求を提起すべきを原文を用意された有志がおられ、送付の一般的な方法として、それを印刷し、住所、電話番号、氏名(捺印)を書き込み、配達証明で下記宛先に送る方法が提案されている。勿論、書面は手書きでも構わない。訴追請求を求める書面が数多く集まれば、当該の裁判官訴追委員会において、「立件」→「調査」→「審議」→「議決」の手続きを踏まねばならないことになり、決して、無視できない請求とできる、とのことだ。もしも、同請求が5000通、1万通と集まれば、大きな力になるのかもしれない。

遂には、こんなブログまで登場する始末。

国籍法の改正 - 最悪のシナリオ


そして、「国籍のバーゲンセール」を叫ぶ有志ブロガーの懸念を表すような報道があった。

 

比で10組が国籍取得届  日本の法改正成立で
 【マニラ10日共同】未婚の日本人男性と外国人女性の間に生まれた子について、父親の認知を条件に日本国籍取得を認める改正国籍法が5日に成立したことを受け、フィリピン人の母親とその子供10組が10日、マニラの日本大使館に国籍取得届を提出した。

 日本の特定非営利活動法人(NPO法人)「JFCネットワーク」が支援。子供は2-19歳の男子で、いずれも日本人の父親が認知したという。同法成立後、フィリピンでの国籍取得届の集団提出は初めて。日本人を父親とし、フィリピン人の母親と同国で暮らす子供は推定数万人とする支援団体もあり、今後も同様の動きが続きそうだ。

 同ネットワークによると、今回の10組は、母親が以前日本で働き、日本人との間に子をもうけたが、結婚せずに帰国。母親の就労先が見つかるかどうか不明のため、子供の国籍取得後ただちに日本渡航の予定はない。

2008/12/10 19:55   【共同通信】

                    ◇

改正国籍法についてのエントリーは当日記では、

実は今日が初めてである。

有力ブロガーの熱心な反対運動にも関わらず、

保守系ブロガーを自認する当日記がエントリーをスルーしていた理由は、

反対運動が騒ぎすぎではないかという疑念をもったから。

反対運動が騒がしくなる前の10月、当日記は次のエントリーをしていた。

中国の日本侵略 人間爆弾発射!

関連の新聞記事はこれ↓

中国人同士の子に日本籍 出産直前、日本人と偽装結婚2008年10月27日3時2分
 <中国人の女が、同居する中国人の男との間にもうけた男児を出産する直前、日本人の男と偽装結婚し、生まれてきた男児に日本国籍を取得させていたことが警視庁の調べでわかった。同庁は、子供に日本国籍を与えることで、自分も日本で働き続けるのが目的だったとみている。

 男児は現在、中国で暮らしている。中国の事情に詳しい同庁の捜査員は「同じような経緯で日本国籍を得た子供が中国国内に確認されている。具体的な数はわからないが多数だ」と証言する。今回、明らかになったケースは氷山の一角とみられ、偽装結婚をめぐる新たな問題が明らかになった形だ。

組織犯罪対策1課と練馬署などによると、女は姜欣欣被告(27)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で起訴。01年10月に留学のため入国し、千葉県の私立大学に通うなどしていた。06年9月、長野県岡谷市の日本人の男(47)=同罪で起訴=との間で、婚姻届を出すだけの偽装結婚をしたとされる。

 姜被告はその2カ月後の06年11月、男児を出産。日本名が付けられ、岡谷市の男の実子として戸籍に記載された。

 しかし、男児は実際は、姜被告が同居していた不法就労ブローカーの陳錐被告(33)=入管法違反罪などで公判中=との間の子。姜被告は偽装結婚後も陳被告と暮らし、出産後は男児と3人で生活。大学へ通いながら東京・秋葉原の免税店などで働き続けていた。姜被告は「偽装結婚は日本で長く働くためだった」と供述したという。姜被告は、男児誕生から約半年後、岡谷市の男と「離婚」した。

 男は警視庁に「姜被告は初めて会ったときからおなかが大きかった」と話したという。男は、偽装結婚を仲介した長野県のブライダル会社から54万円の報酬を受け取っていた。

一方、陳被告も07年2月、長野県箕輪町の女(40)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で起訴=と偽装結婚している。

 姜被告は今年4月、出身地の中国・山東省に男児を渡航させ、男児は姜被告の親族に育てられているという。

 法務省によると、姜被告の偽装結婚に伴う罪が確定すれば、手続きを経て男児の戸籍が訂正され、日本国籍を失うことになる。しかし偽装結婚が摘発されず、偽装結婚の事実が法的に認定されない場合は子供の日本国籍は維持される。問題を解決するには摘発を続けるしかないのが現状だ。 >

                                             ◇

このニュースをNHKニュース(偽装結婚で子どもに日本国籍
10月27日 4時29分更新 動画あり
)で知ったときは、

偽装結婚で出来た子供でも、実際に夫婦関係があって子供が出来たわけだから、

その瞬間偽装結婚ではなくなり正式な結婚になるので、何が問題なのかと思った。

本来偽装結婚の相手は、お互いに心も体も赤の他人のはずだが、

中には手続き上で会っているうちに、お互い気心が通じ合って恋愛に変わっていくこともあるだろうし、

そんなテーマの映画もあったくらいだ。

ところがビックリ、今回のケースは全く想定外で初めての逮捕だと言う。

 

改正国籍法の成立を待たずとも、「国籍大バーゲン」は可能だったのだ。

偽装認知より簡易な方法で我が子に日本国籍を持たす便法があったのだ。

誰でも結婚に際し、ごく普通に結婚届けを役所に出せば、生まれてくる子は自動的に日本国籍が与えられる。

なにもわざわざDNA検査を受ける危険を犯してまで偽装認知などする必要はないのだ。

上記記事の要点は、次の二点。

①従来も問題になっていた「偽装結婚」に想定外の問題含まれている。

②それは「偽装認知」という改正国籍法が含む問題点を既に、結婚制度自体が内包している。

どのような法律にも必ず抜け穴は見つかるものだが、抜け穴が見つかったからといって、その法律自体を否定してしまったら社会秩序は保てない。

上記記事の場合、偽装結婚や偽装認知が発生するからといって、結婚制度を廃止するわけにはいかない。

従って、改正国籍法で懸念される偽装認知は、

婚外子の認知による日本国籍取得が、いかにも改正国籍法の成立によって新しくもたらされた問題のように論じられたいるが、実際はそうではない。

当局が想定外で知らなかっただけの話だ。

日本が長年保持してきた結婚制度に、既に偽装認知による国籍取得のリスクは含まれているのだ。

ならば、婚外子の偽装認知と偽装結婚とはどちらが実行者にとってより難しいか。

自治体に結婚届をする件数と、婚外子を認知届けする件数を比較すればどちらが多いか。

統計データは持ち合わせていないが、常識的に考えれば圧倒的に結婚届の方が多いだろう。

妻が外国人で夫が日本人という善男善女の結婚届けは、全国の自治体でで掃いて捨てるほど行われている。

その中に偽装結婚が紛れ込んでも、自治体窓口で偽装と見破るのは困難だ。

当然、偽装の発覚率は偽装認知の方だろう。

偽装実行者としては、よりメリットが多く、発覚率の少ない偽装結婚を選ぶ。

筆者が外国人女性で、同国人の恋人との間の子供に日本国籍を望むなら偽装結婚を選ぶ。

マニュアルは上記記事に詳しいが、偽装結婚の場合は生まれてくる子供が婚外子ではなく嫡出子であるというメリットもある。

結局、改正国籍法に関する騒動は「偽装」の点にのみ焦点が行ってしまい、

日本人の実の子供が日本国籍が取れないという人権問題を、まったく視野に入れてない論議のように思われる。


マスコミ各社がこの問題に比較的冷静な判断をしている中で、産経新聞だけが阿比留瑠比記者を中心に危機感をみなぎらした報道をしている。

阿比留瑠記者のブログ⇒国籍法改正案にかかわる国会での動き・断片情報

産経記事

改正国籍法成立 不法滞在や人身売買懸念など課題残し見切り発車  (1/2ページ)

2008.12.5 22:20

 5日成立した改正国籍法は、偽装認知による不法滞在や人身売買など、闇ビジネスの温床となりかねないとの懸念が十分に払拭(ふつしよく)されないままで、スタートすることになった。今後は、警察や法務当局による厳正な法執行・運用が求められるが、犯罪抑止が担保されるかは不透明だ。また、将来的には重国籍の容認への道を開くとの指摘もあり、施行後の経過を注視していく必要がある。(阿比留瑠比、原川貴郎)

 今回の法改正は最高裁が今年6月、「父母の結婚」を国籍取得の要件とした国籍法は、法の下の平等を定めた憲法違反だと判断したことを受けたものだ。このためか、政府や公明党は「初めに法改正ありき」で突っ走ったように見える。

 だが、過去には最高裁判決(昭和48年)が出てから刑法改正(平成7年)までに22年を要した尊属殺人罪の削除の例もある。「生命倫理上の問題も内包する法案に対する稚拙な国会運営は大いに疑問だ」などと国民新党が指摘するように、拙速感は否めない。

 また、「最高裁判決では嫡出子と非嫡出子を差別することの違憲性が問われただけなのに、改正法では実子ではなくても、日本人男性が認知さえすれば日本国籍の取得が可能になる。これは判決の趣旨から外れている」(百地章・日大教授)との指摘もある。

 国会審議では、4日の参院法務委で付帯決議の趣旨を確認しようとした丸山和也氏(自民)の発言を、法改正を推進してきた公明党の沢雄二委員長が無視し、「別にご意見もないようだから」と強引に採決に移る場面もあった。偽装認知を防ぐため、父子認知にDNA鑑定を導入すべきだとの意見も複数議員から出たが、議論が深まる前に質疑時間は終了した。

                                                 ◇

 

国籍法改正の発端となった最高裁判決の記事。

婚外子差別 国籍法は違憲 最高裁逆転判決 比人母の子に日本籍(2008/6/5東京新聞)

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