戦争も外交も、外国との関係を調整する手段であるという事実から論ずれば、クラウゼヴィッツが『戦争論』で言う「戦争は政治(外交)の延長である」は外交の真理を突いていて正しい。
日本が主権国家を自認するならば、主権国家は何ものからも指図を受けることのない至高の存在である故、他国が日本に命令・指示することはできない。
だとすれば、日本が外国との関係を調整するためには、話し合いで一致点を求めるには外交か、力ずくで戦争に訴えるしか解決の方法はない。
だが、戦争がハイリスクでハイコストであることは貴重な歴史の教訓である。
そこで可能な限り外交で問題を解決するのが世界の常識と成っている。
だが、建前上は友好を掲げた外交でも、法衣の下に鎧をちらつかせるのが外交の常道であり、恫喝や圧力を伴わない外交は常に相手の意のままに従う屈辱的結果に終わる。
「相手の嫌がることはしない」という平和ボケ首相は論外としても、外交の裏には軍事力による恫喝や圧力で自国の有利な条件に導くのが外交の要諦である。
首相の靖国供物奉納に「不満」 中国、日本に表明
【北京23日共同】中国外務省の姜瑜副報道局長は23日、麻生太郎首相の靖国神社への供物奉納に対し、外交ルートを通じて日本側に「不満」を表明し「誤った行為」が日中関係に深刻な影響を与えるとして歴史問題での慎重な対応を求めた、と発表した。
姜氏は21日の定例記者会見でも、日本側に慎重な対応を求めるとの見解を表明したが、歴史問題に対する中国国内での根強い対日批判に配慮し、あらためて抗議したとみられる。
姜氏は「日本政府が歴史問題を適切に処理することが日中関係の政治的な基礎」と指摘。日本側はこれまでの中国側との約束を守り「言行一致」で対応すべきだとしている。
2009/04/23 14:03 【共同通信】
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中国様にご注進するのをお手柄と思う共同通信なので、報道内容をそのまま鵜呑みにはし難いが、
もし共同が報じる通り中国が不満をあからさまに表すようだったら、安倍首相はそれに対して毅然とした態度で反論しておくべきである。
今回の靖国神社への供物奉納は「国のために戦って亡くなった方々に敬意を表し、ご冥福をお祈りするため奉納した」という日本国民なら当然の行為であり、本来なら首相自ら靖国神社に赴いて参拝すべきが首相自身の本音であったはず。
その証拠に、麻生首相は過去に総務相当時は参拝していたが、首相就任後は靖国参拝について「首相の立場は個人的信条と異なっているが、状況を見て判断したい」と中国の立場に「適切かつ慎重に」考慮した今回の奉納という譲歩ではなかったのか。
一方が譲歩したら相手も相応に譲歩すると考えるの日本人的美徳ではあるが、外交、特に中国を相手の外交に日本人的美徳は屁のツッパリの役目も果たさない。
こちらが譲歩すれば、その分だけ自分の条件のハードルを高くするのが、中国外交であるということは今回の中国の「不満」や「誤った行為」の文言で明確である。
中国の立場を考えて「適切かつ慎重に対応」した結果、遺族やの国民の強い要望に対し供物奉納という妥協の手段で我慢してもらったのだ。
その「熟慮・・」結果を、「誤った行為」と断じるなら、小泉前首相が言った「何をしても(中国から)文句が出るなら8月15日に参拝した方がよい」という名言を思いださす必要がある。
小泉元首相に倣って、麻生首相自ら「来る8月15日には靖国参拝をする」と宣言することだ。
さうすれば、靖国参拝は攻守所を変えて、今度は日本側の強力な外交カードになり得る。
「つべこべ抜かすと靖国に参拝するぞ」と。
小泉首相時代に、靖国問題は外交カードにはならないと悟った中国だが、ここに来て残り少なくなった外交カードみ再度靖国を組み入れようとする魂胆が見て取れる。
その中国の目論見を後押しするのが、次に引用のニュースだ。
情報戦も戦争の延長戦だと一つければ、中国は一方ではお特異の友好平和を唱えながら、他方では常に情報戦の攻撃の的を日本に絞っている。
言論の自由を認めず、自国を批判する論調は厳しく規制する一方では、このように日本を非難誹謗する映画などの上映は野放しにしている。
その点、外国人はおろか日本人まで日本を貶める出版や映画を野放しにしている日本は情報戦では中国に対し連戦連敗の体たらくである。
残虐強調…中国映画「南京」公開 暴行・殺戮シーンに観客悲鳴
2009.4.22 19:06
【上海=河崎真澄】いわゆる「南京虐殺事件」をテーマにした中国映画「南京!南京!」(陸川監督)が22日、上海など中国各地で公開された。事件をめぐる認識は日中で異なるが、全編を白黒フィルムで製作するなど記録映画に似せた手法が使われ、観客には映画の内容が、さも“史実”であったかのような印象を与える演出となっている。
陸監督など平均35歳という若い中国人スタッフが4年をかけて製作した。「従軍慰安婦」とする中国女性を多数出演させ、暴行や殺戮(さつりく)シーンをことさら残虐に強調した。この日、初上映された上海市内の映画館では20代の若者がめだち、女性への暴行、大衆の殺害シーンでは観客の悲鳴や激しい怒りの声が渦巻いた。
一方、主人公の若い日本兵を上官の命令で虐殺を強要された「軍国主義の被害者」と描くなど、反日一辺倒ではないストーリーに仕立てた。この日本兵が最後に中国人を逃して自殺するシーンがあり、映画を見たOLの陳維蔚さん(29)は涙をふきながら、「日本人の人間としての一面も見て印象が変わった」と話した。
さらに、29日には「南京虐殺事件」を扱った中独仏の共同製作映画も公開されるほか、来月4日には1919年に中国全土で起きた大規模な反日運動の契機となったデモ「五・四運動」から90周年を迎える。このため日中関係筋では「一連の動きが日中間の新たな火種になる恐れもある」として神経をとがらせている。
Y! 2009/04/23(木) 14:42 | ||
陸川監督の映画『南京!南京!』の試写会が17日に浙江省の杭州大会堂で行われ、会場は杭州の観客たちの熱気で包まれた。ある観客が日本人俳優の中泉英雄さんに、この映画に出演した気持ちをたずねた時だった。会場からは「打倒帝国主義」や日本語で「バカ」と罵る声が上がった。 麻生首相の靖国奉納に話題を戻す。 中国のイチャモンに対して、麻生首相が毅然と反論できるかどうか。 これが、靖国問題という外交カードを、再度中国の手に渡すか、それとも日本が奪還するかの分水嶺になる。 麻生首相よ次のように反論せよ。 「これ以上他国の内政干渉をするなら、自国民の要望通り靖国に首相自ら参拝するぞ」と。 |