首相、きょう夕に緊急事態宣言という。
4月7日午後7時放映のチャンネル桜「沖縄の声」で緊急事態宣言について論じます。
前にも書いたようにこの宣言により安倍首相に独裁的権限が与えられるわけではない。
これまで法的根拠もなく国民に要請していた「移動」「集会」の自粛を各地域の知事に権限委譲したに過ぎない。
しかも県知事自身も法的根拠は与えられたもののあくまでも要請である。要請に従わないものに対しても「是正指示」であり、罰則や強制性はない。
ただ日本人の特性として、首相の緊急事態宣言は重く受け止められ仮に強制性はないとしても「自粛効果」はかなり大きいものと期待される。
きょうの沖タイ、関連見出しを拾ってみよう。
■一面トップ
きょう緊急事態宣言
東京・大阪など7都道府県
首相表明 1カ月程度
新型コロナ 私権制限も
経済対策に108兆
GDPの3割 給付6兆円
37市町村 小中休校へ
県内 入学式半数以上が延期
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安倍晋三首相が新型コロナウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言に踏み切る意向を固めた。宣言以前とどこが違うのか。宣言が出ると、何が起きるのか。
感染症対策を強めて(1)国民の生命や健康を守り、(2)生活や経済への影響を小さくするのが法律の目的で、流行の拡大で国民生活や経済に甚大な影響を及ぼす恐れがあると首相が判断すれば、期間と区域を定めて緊急事態宣言を出せる。
安倍首相はこう述べていた。
「ぎりぎり持ちこたえている状況にあり、少しでも気を緩めれば、いつ(感染が)急拡大してもおかしくない。まさに瀬戸際が継続している」。
今後も専門家らの意見を聞きつつ、感染者の致死率や患者を受け入れられる病床数などの医療態勢をみて判断する方向だが、(1)国民の生命や健康を守り、という点ではこれまでの経緯から判断し「宣言」の要件を満たしていると考えられる(遅きに失した、という考えもある)が、ここに来て(2)生活や経済への影響を小さくするという要件も満たしたと判断したのだろう。
緊急事態宣言は、新型コロナ対応の特別措置法を根拠とする。
2009~10年の新型インフルエンザの流行時に、行事の自粛や休校の判断などが自治体で分かれ、責任の所在もはっきりしなかった反省から12年に法律がつくられ、今年3月の改正で新型コロナが対象に加わった。
宣言後に該当する地域の都道府県知事がとれる措置には、不要不急の外出自粛の要請や、イベント制限・停止の要請・指示などがある。
こうした要請や指示に従わなかったとしても罰則はない。
すでに知事が法的裏付けのない外出自粛を要請したケースはある。
だが、首相が緊急事態宣言を出したうえでの要請は、強制力がなくてもより強い心理的影響を与えそうだ。
また、知事がイベント制限・停止の指示を出した場合は事業所名が公表される可能性があり、従わないことへの社会的プレッシャーは大きい。
「緊急事態宣言」を、海外で実施される「ロックダウン」(都市封鎖)と同一視する見方もネット上などで飛び交う。
だが、二つは同じものではない。
政府の専門家会議は、海外の事例を引き合いに、ロックダウンをこう説明している。
「数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う」強硬な措置と説明。
一方、「宣言」により法的根拠与えられる特措法には、強制的に外出を禁止する規定はなく、都市封鎖するために鉄道やバスなどの公共交通機関の運行をとめる規定もない。
国土交通省は「むしろ輸送能力をきちんと維持するよう求める」と話す。
特措法は知事が「多数の者が利用する施設」の使用制限や停止を要請できると定めており、学校や劇場、百貨店、体育館、ホテルなども対象になる。
スーパーマーケットも含まれるが、食品、医薬品、衛生用品、燃料など厚生労働相が定める生活必需品の売り場は営業を続けることができる。
首相は1日の参院決算委員会で、「フランスがしているようなロックダウンができるのかと言えば、できない。誤解があるのだろう」と語った。
「宣言」以前と比べると国民生活にほとんど変化はない様に思える。
では、では沖タイ一面トップの「私権の制限」とは一体何を意味するのか。
沖タイ二面の中段に「私権の制限」という見出しで次のような記事がある。
≪緊急事態宣言下では、強制力はないが、対象地域の知事が住民に食料品の買い出しなど必要な場合を除く」不要不急の外出自粛を要請できる。学校や図書館、老人福祉施設など多数が集まる施設の使用制限の要請・指示も出せる。感染者が爆発的に増えれば、臨時医療施設を設けるため所有者の同意なく土地や建物を使うことも可能だ。また知事は業者に医薬品や食品といった指定物資の「売り渡しを要請でき、従わなければ収用も可能。保管を命じることもできる。物資の違法な隠匿や搬出は六カ月以下の懲役か30万円以下の罰金に処される場合がある。
3月には、憲法学者や弁護士らのグループが「緊急事態宣言で市民の自由と人権の幅広い制限など立憲主義の根幹が脅かされかねない」として、特措法改正の撤回を求める緊急声明を発表した。≫
なるほど、感染者が爆発的に増えれば、私権の制限もやむを得ない。
次の諸点を「私権の制限」というのか。
➀臨時医療施設を設けるため所有者の同意なく土地や建物を使うことも可能だ。
➁また知事は業者に医薬品や食品といった指定物資の「売り渡しを要請でき、従わなければ収用も可能。
③保管を命じることもできる。
④物資の違法な隠匿や搬出は六カ月以下の懲役か30万円以下の罰金に処される場合がある。
「私権の制限」として「緊急事態宣言で市民の自由と人権の幅広い制限など立憲主義の根幹が脅かされかねない」などとと特措法の撤回を求めるのは、沖タイと憲法学者やサヨク弁護士などの常軌を逸した面々くらいだろう。