狼魔人日記

沖縄在住の沖縄県民の視点で綴る政治、経済、歴史、文化、随想、提言、創作等。 何でも思いついた事を記録する。

玉城デニー氏、前回沖縄県知事選に圧勝の理由

2022-06-12 05:25:11 | 政治

 

 
 

 

★翁長知事の亡霊に担がれた玉城デニー氏、沖縄県知事選に圧勝の理由

2021-08-07

 

翁長知事の急死に伴い2018年に行われた県知事選は、翁長知事の「遺志を引き継ぐ」を旗印にした玉城デニー氏と佐喜眞元宜野湾市長の対決となった。

 

デニー知事は故翁長知事の「亡霊」に担がれて当選した。

デニー知事の選挙ポスターにも故翁長知事の「亡霊」がしっかり載り写っていら。

 

玉城デニー氏、沖縄県知事選に圧勝の理由

《 沖 縄 時 評 》

「翁長氏の遺志」前面に 「亡霊」と闘った佐喜真氏

◆地元2紙勝利の前回

玉城デニー氏、沖縄県知事選に圧勝の理由

知事選期間中、沖縄2紙に掲載された全面広告

 翁長(おなが)雄志(たけし)沖縄県知事の急逝を受けて行われた知事選は、翁長氏の「後継者」をうたい文句にした玉城(たまき)デニー氏の圧勝に終わった。

 前回の県知事選に引き続き、「オール沖縄」勢力が圧勝した原因は、「自民党県連の怠慢」「公明党票が逃げた」あるいは「佐喜真淳氏が“辺野古”の争点化から逃げた」などと指摘されている。

だが、玉城氏圧勝の最大の原因は、「オール沖縄」側が、翁長氏の死を「弔い選挙」とする印象操作に成功した結果に間違いない。

 4年前の県知事選の投開票が行われた2014年11月16日午後8時すぎ、仲井真弘多陣営の幹部は当確に翁長氏の名前が出た瞬間こう呟(つぶや)いたという。「マスコミにやられた」

 仲井真氏はその前年の12月、安倍晋三首相から3000億円以上の一括交付金を7年間交付するとの約束を取り付け、喜びのあまり思わず「これで良い正月が迎えられる」と呟いてしまった。沖縄2紙は、この「良い正月」発言を根拠に、辺野古埋め立て承認をした仲井真知事のことを「金で沖縄を売った史上最悪の知事」などと罵倒した。当然、知事選の期間中も沖縄2紙の反仲井真キャンペーンはやむことはなかった。

 結局、仲井真氏は約10万票の大差で完敗する。仲井真氏は対立候補の翁長氏に敗北したというより、マスコミの反仲井真キャンペーンに負けたという悔しさがあったに違いない。

 では、今回の県知事選で佐喜真氏は玉城氏を支援したマスコミに負けたのだろうか。

いや、そうではない。

佐喜真氏は玉城氏を自身の後継にするという翁長氏の「遺言」というより、翁長氏の「亡霊」に大敗したのだ。

◆陰に身潜めた玉城氏

 玉城氏は「新基地建設反対」を公約の筆頭に打ち出した。だが、「オール沖縄」は、「志半ばで命を削った沖縄の英雄」などと翁長氏の「神格化」に終始した。街宣でも、夫人の樹子(みきこ)氏や次男の雄治(たけはる)氏ら遺族にマイクを持たせ、「翁長氏の遺志の継続」を訴えた。さらに沖縄2紙の全面広告は翁長氏の「遺影」を紙面中央に掲載。遺族の写真と「翁長は心の底から沖縄を愛し、140万県民を命がけで守ろうとした」などと感情的な夫人のコメントで飾った。

 肝心の玉城氏の写真やコメントは省略し、翁長氏の「辺野古阻止」の無念を「後継者に託す」という趣旨で選挙戦を貫く徹底ぶりだった。この全面広告を見て、「これでは佐喜真さんは翁長知事の亡霊と戦ってるようだ」と苦笑する人もいたくらいだ。

 しかしそれは、単純な「弔い合戦」で片付けられる話ではない。翁長氏の無念の死によって、沖縄県民の怒りが眠りから醒め、翁長氏の「後継者」とされる玉城氏の圧勝に結び付いたと考えられるからだ。極論すれば翁長氏の無念の死こそが、玉城氏圧勝の重要ポイントだった。

 「翁長さんの遺志を継ぐ」。

これが方針になり、玉城氏は翁長氏の「亡霊」の陰に身を潜めた。

翁長氏の後継者として「亡霊」の陰に身を潜めるには、玉城氏ほど適材の人物はいなかった。新里米吉県議会議長が、8月17日に持ち込んだ翁長氏の遺言をを収録したとされる「謎の音源」の出現以来、玉城氏が立候補を躊躇(ちゅうちょ)し、再三、出馬会見を延期した時、玉城氏の背中を押したのは自由党代表の小沢一郎氏だった。

 小沢氏はかつて、「神輿(みこし)は軽くて、パーがいい」という名言を吐いた。

小沢氏が玉城氏を県知事候補として担ぎ出したのは「軽くて、パーだ」と見込まれたのだろうか。翁長氏の「亡霊」を前面に打ち出して選挙戦を勝ち抜くには、ラジオパーソナリティーで鍛えた軽い口調で有権者に接し、好感度抜群の笑顔を振りまく玉城氏ほど担ぐ神輿として適材適所の人物はいなかったことになる。

 玉城デニーという知事候補本人の「意志」以上に、「翁長氏の『遺志』」が前面に出てくる。選挙戦の主役は名実ともに急逝した翁長氏の「遺志」、つまり死者の遺志になっていた。

◆具体的政策は避ける

 では肝心の玉城氏本人はどのような言動で選挙戦に対応したか。街宣で叫ぶショートフレーズでもそうだが、沖縄2紙を飾る大見出しでも、玉城氏は具体的政策は極力避けて、「翁長知事の遺志を受け継ぐ」などと、あくまでも翁長知事が憑依(ひょうい)した「後継者」のように対応した。

 もともと、玉城氏は6年余の国会議員時代、沖縄県政を真剣に考えた様子は見られない。少なくとも、翁長氏と県政について懇談した様子は無い。時たま見られる「玉城語録」も整合性に欠け、具体的政策論では行政経験の豊富な前宜野湾市長の佐喜真氏に到底太刀打ちできるとは思えなかった。

 例えば、得意なはずの安全保障問題でも、尖閣問題を持ち出されると、「外交交渉で解決する」などと、沖縄選出の国会議員出身とは思えぬ無知を曝(さら)けだした。尖閣問題でわが国が、中国と領土権で「外交交渉」などするはずはない。仮に外交交渉を切り出したら、その瞬間「領土問題の存在」を認めたことになり、中国の思うツボである

 佐喜真氏は知事選を玉城氏と闘ったのではなく、翁長氏の「亡霊」と闘い、そして完敗した。

 玉城氏の圧勝が決定した2日後の10月2日付沖縄タイムスの社会面トップは、新知事である玉城氏が翁長氏の霊前に手を合わせる姿だった。さらに翁長氏の「亡霊」がいまだに成仏できないかのように、樹子夫人の写真と、次のような見出しで紙面を埋めている。

 「翁長さんの志に共鳴/デニーさんなら継いでくれる」

 玉城氏が圧勝した翌日、安倍首相は選挙結果の感想を問われ、「結果は政府としては真摯(しんし)に受け止め、今後、沖縄の振興、そして基地負担の軽減に努めていく」と極めて真っ当なコメントを述べた。その際、「改めて翁長知事のご冥福をお祈りしたい」と付け加えるの忘れてはいなかった。翁長氏の成仏できない「亡霊」が知事就任後の玉城氏の周辺に彷徨い出ることを恐れて、改めて「冥福を祈った」のだろうか。

 


 
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