県、業者の鉱山開発合意 糸満 事前協議 不要に 8月にも採掘可
県は24日、沖縄戦跡国定公園内にある糸満市米須での鉱山開発を巡り、総務省の公害等調整委員会(公調委)が提示していた事実上の和解案に合意すると同委に回答した。業者もすでに合意すると回答しており、「和解」が成立することになる。県が出していた戦没者の遺骨収集や風景保護などに関する措置命令は効力を失う。県によると早ければ8月末にも業者による採掘が可能となる。(政経部・大城大輔、社会部・平良孝陽)
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昨年5月、県が出した「遺骨の有無を関係機関と確認し、採掘開始前に県へ報告、協議すること」などを課す措置命令を、業者は不服として公調委に裁定を申し出て同命令の取り消しを求めていた。
措置命令の内容が採掘への障壁となっていたが、和解により措置命令が失効することで業者は採掘を始めることが可能となる。
和解案は、工事の際に遺骨が発見されたときは、周辺半径5メートルの範囲で工事を2週間中止し、戦没者遺骨収集情報センターなどによる調査や収集を認めることや、採掘の完了した部分は順次埋め戻し、ガジュマルを植栽することなどを条件としている。一方で、採掘開始前の協議は求めていない。
玉城デニー知事は24日の記者会見で「措置命令の内容をおおむね反映していると判断した」と合意理由を説明。採掘前の協議は「これまでの公調委の審理や進行協議を通して、実質的な事前協議が行われたものと認識している」とした。
沖縄防衛局が県に提出した名護市辺野古の新基地建設に伴う埋め立て変更承認申請で、埋め立て土砂採取候補地に本島南部が入っていることから、鉱山開発を認めれば戦没者の遺骨が混じった土砂が埋め立てに使われる可能性があるとして、市民から反発の声が上がっていた。
裁定申請していた沖縄土石工業の永山盛也代表は取材に「採掘するのは遺骨が混じる可能性がある表土の『土砂』ではなく琉球石灰岩。県民として戦没者の遺骨をむげに扱うことはない」と述べ、採掘に向け県と協力する考えを示した。
(写図説明)本島南部の土砂採取を巡る和解案の受け入れを表明する玉城デニー知事=24日、県庁(古謝克公撮影)
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