連日、日本のメディアはウクライナ戦争におけるロシアの民間人虐殺を非難しているが、沖縄戦における1944年の10・10名空襲は、米軍による民間人虐殺であり、翌年の3月10日東京大空襲、さらに8月の広島、長崎への原爆投下という民間人大虐殺(ジェノサイド)へと繋がっていく。
沖縄戦で米軍による民間人の虐殺は各地で生じた。
最も被害の大きかったのは那覇市で、11日まで続いた火災により当時の市内市街地のうち9割が焼失し、死者は255名にのぼった。本島全体では330人が死亡し、455人が負傷している。
本島で全損となった家屋は11,451戸(うち那覇11,010戸[22])、半壊62戸であった。
宮古島でも民家13軒が半焼している。沖縄県の鉄道は機関車4両・ガソリンカー4両・客車6両などが中破以上の損害を受けた。
民間自動車は7割の94両が破壊された。
■日本政府が米軍のジェノサイドを抗議
日本政府は、同年12月、非軍事目標である市街地を攻撃したことが戦争犯罪に該当するとして、中立国のスペイン政府を通じた外交ルートでアメリカ政府に正式抗議した。しかし、アメリカ側は、従来の自国の解釈からすれば戦争犯罪に該当するとしつつ、それを認めると捕虜になったパイロットが訴追される危険があることや、被害実態が日本側主張通りか明らかでないことを考慮し、この抗議を黙殺した。
■沖縄メディアが黙殺する日本政府の抗議
沖縄メディアが、10・10那覇空襲の米軍によるジェノサイドを日本政府が抗議した事実を隠蔽する理由は何か。
『鉄の暴風』が「人道的な米軍」「残虐非道な日本軍」というイデオロギーを主張しているからだ。つまり、沖縄で日本軍と米軍を評価するときのバイブルが『鉄の暴風』である。沖縄における米軍の民間人虐殺は沖縄タイムスに取って不都合な事実ということになる。
沖縄戦を論じる場合「全国唯一地上戦(実際は北海道の占守島の戦いなどがある)」を強調するため、1945年の3月末米軍が慶良間諸島に上陸した時を、あたかも沖縄戦の始めのように強調する。
その結果、前年1944年の10・10那覇空襲については、ほとんど語られことはなく、翌年の3月10日東京大空襲、さらに8月の広島、長崎への原爆投下という民間人大虐殺(ジェノサイド)へと繋がっていく。