鳴り物入りで発足した「沖縄・地域安全パトロール」(通称・青パト)が、事業開始翌年にはタクシーを使ったパトロール(通称・タクパト)に移行することが検討されていた。総額約50億円もの予算が計上され、「税金の無駄遣い」との批判も多い青パト事業。米軍関係者の事件をきっかけに導入されただけに、関係者は「相応の理由付けがないと、やめるにやめられない」と指摘する。(社会部・矢野悠希)=1面参照

 青パトの県警への通報件数は、2016年6月~22年4月までに1892件。7割以上が泥酔者の発見だ。約6年間で米軍関係の通報は10件のみ。米軍関係の犯罪防止に効果を発揮しているとは言い難い。

 それなのに、なぜ多額の税金を使ってまで継続しているのか。タクパト事業に関わった政府関係者は「やめるにはその代替策を用意したり、青パトなしでも犯罪発生率が上がらないことを対外的に説明できないといけない」と指摘し、「やめるかどうかは政治的判断」と強調する。

 一方、本年度から大幅に拡大する予定のタクパト事業。タクシー協会によると、県警がタクパトのドライブレコーダー映像を確認するには、タクシー協会事務局に照会する取り決めが当初はあった。しかし現在は県警がレコーダー映像の管理会社に直接依頼して捜査に使用するのがほとんどだという。

 タクパトに搭載された通報装置は毎月1台数百円の契約料がかかり、現在各タクシー会社が負担している。

 タクシー協会の関係者は「米軍関係の防犯目的のはずが、いつの間にかタクシーが県警の捜査に身銭を切って協力する事業になってしまった」と漏らす。

(写図説明)巡回に出る青パト車両=13日午後7時15分ごろ、那覇市上之屋

(写図説明)青パト通報件数の内訳

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