三木孝浩監督作品について考えてみた。
以前より漫画やラノベ原作の青春物を得意にしている職人監督と認識していたが、テレビ会社と東宝が組んで安価に量産する、低リスクそこそこリターン物件の請負人程度にしか評価していなかった。
若手の俳優女優を使えばコストが抑えられるし、原作ものであれば品質も潜在的消費者もそれなりに担保できる。舞台が宇宙や外国なんてことも少ないから制作コストもかからない。送り出す芸能プロダクションとしても、核になる主役の子を中心にこれから売り出そうと企んでいるその他大勢をお披露目するにはいい機会だ。
ここ十年ばかりこの手の作品が飽和状態なので、全部映画館で観るまでの食指は動かないのが現実。
そこで、本来ならオリンピックに湧きたっていただろう四連休の後半、梅雨空で散歩する気も起きず配信サービスで三木監督作品を観続けた。
「陽だまりの彼女」原作が面白かったのでお話は知っていた。向井康介・菅野友恵脚本、上野樹里・松本潤主演。前に断片的にCS放映を観たような気もする。
「アオハライド」青春をアオハルと読んでみれば、題名に納得。吉田智子脚本、本田翼・東出昌大主演。幼馴染、ツンデレと少女漫画の王道だな。
「青空エール」原作は河原和音。だから舞台は北海道。持地佑季子脚本、土屋太鳳・竹内涼真主演。これまた、野球と青空と応援する女子、王道だ。
「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」題名が複雑で理解しにくい。吉田智子脚本、小松菜奈・福士蒼汰主演。ラブコメというよりファンタジー系のラブロマンスだ。
以前も、吉田智子脚本、能年玲奈・登坂広臣主演「ホットロード」と登米裕一・持地佑季子脚本、新垣結衣主演「くちびるに歌を」を観ているから6作を観たことになる。
凄いなと思ったのはどの作品も眠くならなかったことだ。同じようなスタイルなのにそれぞれみんな面白かった。「くちびるに歌を」は以前にも書いたけど好きな作品。そして今回「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」に痛く感動してしまった。時空を超えたロマンスを描いた傑作は結構多いが、これはまた新手のお話だった。分かりづらい題名がすっきりと馴染んで女の子の哀しみに涙は止まらない。最近お気に入りの小松菜奈を愛でるにも最良のコンテンツだと思う。
面白いなと感じたのは脚本家の選び方。全14作品の内、吉田智子と4本、持地佑季子と3本、登米裕一高橋泉とは各2本タッグを組んでいる。職人監督には珍しくこだわりがあるのかもしれない。
初期の3作、最近の5作も機会があれば観てみよう。
追記
プライムビデオですずちゃんの「先生!」を観た
やっぱり上手い。原作も河原和音ということもあろうが、高校生の未熟な恋心にオジサンまた感動してしまった
そんな2022年の秋