とてもとても乏しい経験だけど、このオジサンにも遠い昔「思い、思われ、ふり、ふられ」たことだってあるから、彼等のことを理解できないわけじゃない。そのことだけは最初に知ってて欲しいな。
咲坂伊緒原作漫画、青春(アオハル)三部作の最終章なんだそう。読んでいないのでふ〜んとしか言えない。夏休み三木孝浩監督作品いっき観で、「アオハライド」を鑑賞したのでなんとなく雰囲気はつかんでいたから過剰な驚きも失望もない。監督も同じだし花丸は厳しいけど四重丸なら付けてもいいかな。
ラストシーンが早朝の高台に男女四人横並びって、原作がそうなのか三木監督の趣味なのか分からないけど、ザ・アオハルだなとくすぐったい思いがしたよ。二作品とも全く同じだったからもう何年かすると区別がつかなくなる恐れがあるぞ。
主人公のヒロインは浜辺美波で、彼女を精一杯持ち上げた作品なんだと思っていたけど、四人の感情が平均的に描かれていた。浜辺美波を見せようとした映画なら失敗だと思う。
彼女より福本莉子演じるお友達由奈の恋愛話の方が魅力的だし、応援したくなっちゃうからだ。学園祭のさなか、一度失恋した相手からまさかのどんでん返し告白シーンはオジサンだって泣いちゃったもん。良かったね、由奈ちゃん。心からそう思ったよ。
最後には浜辺美波演じるヒロイン朱里も意中の想いを告げることができましたってなるけど、どことなく有り合わせ感が漂ってしまい本心とは思えなく感じちゃった。朱里の性格描写はしっかりできていたのに、どうしてここが納得できないシーンになったのかは、伏線にあたるお祭り浴衣シーンにあると思っている。そっと心寄せるあの彼に浴衣姿を見せたい乙女心、暗闇の境内のはずれで交わされた会話、「わたしと付き合いませんか?わたしのこと好きなんじゃありませんか?」。朱里が放つ言葉に心細い震えが感じられなかった。この娘本当に彼が好きなんだろうかとあの時感じてしまった思いが最後まで払拭できなかった。
それでも美波ちゃんは美しいし、莉子ちゃんは可愛いし、十分堪能して映画館から真夏の太陽の下へ出て参りましたとさ。