大阪あたりの一角にある商店街「夢見通り」で繰り広げられる人々の暮らしを10編の短編小説をオムニバス形式で連ねています。
一つ一つの物語の主人公は異なるのですが、夢見通りに住む人々がいろいろと絡まって、群像劇の装いです。
それぞれの登場人物は、それぞれのキャラクターに影響を受けながら成長し変化していくのですが、他の登場人物も変化してくところがみそです。
動かないのは夢見通りだけ、人々は皆、それぞれ、違う方向へ動き成長するのですから、おさまりがよろしくありません。
複雑で混とんとして動き続ける人の心が悲しくもあり楽しくもありたくましくもあります。
人は皆、永遠に未完成。
宮本輝の小説では、異色作でしょうが、これが一番好きという変わり者が多いというのも、うなずけます。