江戸時代、難破漂流し、アリューシャン列島に流れ着いた大黒屋光太夫一行。
飢えと渇きと寒さで次々と倒れる人たち。
ロシアの商人に助けられ、カムチャッカ半島から、極寒のシベリアを経て、ペテルブルグまで旅をし、女帝に謁見し帰国を願いでます。
交通機関や通信手段が発達した現代でも難しく思われるスケールの旅です。
特に印象深いのは、世界一の低温を記録した地域の暮らしぶりです。
マイナス50度の世界は、少しの油断で、凍傷にかかり、死の危険にさらされます。
ロシア帝国の目論見と、ロシア人の人情と、何も持たず、人のほどこしを当てにするしかない漂流民の光太夫たちの生き残り帰国しようとする希望が交錯していきます。