むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『気候文明史』田家康 (日本経済新聞出版)

2022年05月12日 | 読書
サブタイトルが「世界を変えた8万年の攻防」とあり、人類創世の昔からの気象変動との戦いを振り返ります。
寒冷化が起こり、生き残った人類は脳が発達していた事実があります。氷期に生き残るには知恵が必要不可欠だったのです。過酷な気候が人類の脳を発達させたのでした。
その後、温暖な時代に栄華を誇った古代文明が寒冷化とともに世界中で滅んでいきました。
寒冷化した気候は、激しい変動が起き、人類の生活を激変させて民族の大移動を促します。歴史の授業で、○○民族が入ってきて、△△帝国が滅んだなどと習いますが、なぜ、民族が移動したのかは習った覚えがありません。
それが、気象の激変が大きな原因だったようです。
地球が寒くなったり、暖かくなったりするのは、太陽の活動の強弱、地球の公転起動の形、地球の向き、火山活動、海流の変化など多種多様な要因の複合なのです。人間の英知を持ってしても予測することはできません。
近年では、1300年頃から寒冷化した時期があり、世界情勢が不安定になりました。日本でも室町幕府が滅び戦国時代で荒れました。寒冷化は、江戸時代までつづきますが、数々の飢饉に襲われながら、天下太平を謳歌したのは徳川体制の優秀さを示していると思いました。
現代は、人類史上まれに見る温暖で穏やかな時代だと言います。
ただ、温室効果ガスの濃度が飛び抜けて高くなっていて、それがどのような変動をもたらすかは未知数だと指摘しています。
温暖化をもたらすかもしれないし、急激な温暖化でグリーンランドの氷河が崩壊し大量の冷たい水が北大西洋に流れ込む事態になれば、ヨーロッパが寒冷化することも考えられるのです。
温暖な気候に支えられて人類史上最上の文明を築いている我々ですが、今後、どのような気象変動に見舞われるのか、そ切り抜けていくのか切り抜けていくのか考えさせられる内容でした。

コメント
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