歴史の裏側で理不尽な扱いを受けた人々に光を当てた短編集です。
「磔」秀吉の命により、長崎まで送られ処刑されたキリスト教徒たち。
「三色旗」ナポレオンに祖国を占領され、イギリスに植民地を乗っ取られ苦悩する長崎出島のオランダ商人たち。
「コロリ」コレラの治療に奔走する名医が、コレラを広めていると噂を信じた民衆に嬲り殺しにされる話。
「動く牙」天狗党の前進におびえる小藩と、その駆け引き。
「洋船建造」日本と通商条約を結ぶために訪れたロシア船が難破し沈没。祖国へ帰ろうとするロシア人たちと日本の船大工が力を合わせ、西洋船を建造する。
どれも、教科書には載っていないレベルの人たちですが、歴史に翻弄されながら生きる様には心を打たれるものがあります。