むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『蟻の兵隊』池谷薫(新潮文庫)

2023年02月25日 | 読書
日中戦争のゴタゴタが戦後まで尾を引いて、現場と当局の見解の違いが問題になった事例です。
日中戦争は誰と誰が何のために戦いっているのか解らないおかしな戦争でした。
はじめは、中国の国民党と日本軍の戦争だったのですが、この国民党が、日本の軍事学校で学んだ指導者が多く親日派が多いため、日本軍と仲間意識が強かったりします。
しかも、国民党は、軍閥(IS、イスラム国みたいな軍対主体の地方政府のようなもの)の寄せ集め感が強かったため統制も取れていなかったようです。
そこに、欧米の思惑(中国の植民地化と共産党の押さえ込み)や、ソ連の後押しをうけた中国共産党の八路軍の精力もあり、複雑怪奇な様相を呈していました。
終戦直前に、ソ連軍が満州に進行、さらに八路軍の精力が拡大したと思ったら、いきなり終戦で中国大陸で巨大勢力だった日本軍が消滅したのだから、さあ、たいへん。軍閥の中には、日本軍と共同し共産党と戦いたい勢力もあり、それに引きづられる形で残留する日本兵が出てきました。
その残留が個人の意志なのか、組織的な軍の命令だったのかが争点になっています。
そこで、現場から見た光景と、当局が調査した結果が大きく食い違っていることが問題の長期化となっています。

こういう話は、よくあることで、誰かが損な役回りをこなし、人知れず泥をかぶっている人がいるのです。そういう人をバカにしたり、あざ笑ったりする人もいます。この本のように声を上げることによって、そういう人たちに光があたることになります。
誰も気がつかないところで埋もれている犠牲者にも感謝する心と持ちたいと思います。



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