チンギスカンの生涯を描いた井上靖の代表作です。
チンギスカンと言えば、ユーラシア大陸のほとんどを征服したモンゴル帝国を築き上げた英雄で、自分のY遺伝子を一番多く残した男の中の男でもあります。
父が死んだとき集落の者たちは彼の家族を捨て去っていき、母と弟・妹たちだけになった一つの幕舎から、モンゴル帝国が始まったという壮大な物語になっています。
そんなところですから、国と言う概念がなく、法もない無法地帯より物語が展開されるのですから、現代日本の価値観・道徳観などはまったく通用しません。
おどろかされることばかりでした。
若きチンギスカンは、自分に反抗する父が違う次男を殺し、次男に加担していた三男を殺さず生かします。
これによって、家族を一つにしたチンギスカンの戦いが始まります。
裏切る者もいれば、古い約束を守る者もいて、多くの価値・道徳が混とんと混ざった世界が展開されます。
これが、降伏する城の者は傷つけず味方にし、反抗する城の者は皆殺しにするモンゴル軍の方針になっていくのです。
人類初のグローバル国家(黒人、白人、黄色人が混在)を作り上げる原動力になったのでしょう。
ある意味、人間の本質を描いているとも言えますが、島国の日本人には理解しがたい大陸の気質を知る一助になりました。
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