むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン

2025年01月28日 | 読書
「メキシコとアメリカの国境が街中を2分する都市ノガレス」「韓国と北朝鮮」「ボツワナとジンバブエ」など、地理的、民俗的、文化的に差がないのに経済状態に大きな差が出ているのはなぜか? という問いから始まり、繫栄している国家と貧しい国家の極端な差はどこからくるか考察します。
この本では、今まで言われてきた地理(気候・風土)、知識、文化の違いなど、すべてを否定し、政治・経済制度1本に絞って古今東西の事例をあげ解説しています。
それによると、財産権を守る法律等を厳守させることができる中央集権、多元的な包括的(いろいろな分野、立場の人たちの意見が通る)で、創造的破壊(昔からの産業の破壊、既得権益の放棄等)を許容できる政治体制 、財産権を守り誰でも参入できる包括的な経済体制をしけた国が豊かになるとしています。
反対に収奪的な政治経済の体制からは、イノベーションが起きないため発展が見込めず、貧しいままとなると主張します。
また、収奪的な政治体制からも目を見張るような発展をしている事例(WW2以降のソ連や、現在の中国)などもありますが、既存の技術を取り入れて資本をそこに集中することにより一時的には発展できてもイノベーションが起きないため、頭打ちになると主張しています。
特に注目すべきは、中国に関して、大きな政治改革で包括的な政治体制にならないかぎり発展は限定的になるだろうと大胆な予測をしています。
この本に書いてあることを鵜のみにすると、途上国への無暗な投資は非効率であり、政治体制を見極めながら行うのが良いということになります。『ファクトフルネス』などを読んで途上国への投資は有望だと感じていたので少し考え直してみようかと思いました。


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