9日の文部科学省学校基本数調査速報で、不登校が5年ぶりに増加したという報道があった。
2006年度、病気や経済的な理由で学校を年間30日以上欠席した小中学生(不登校児)は、5年ぶりに増加に転じ、12万6764人(前年比3.7%増)。中学生は、35人に1人で、過去最高の割合(なんと、1クラスに1人ということ)。
そんな教育の荒廃の中、大阪地裁で病弱のある子どもの貝塚養護学校への転入が認められる判断がなされた。大阪市立貝塚養護学校は、大阪市教委が昨年突然学校指定の取り消しを行った学校。寄宿舎のある病弱の特別支援学校で、これまでも不登校の子どもや軽度発達障害のある子どもを入学させ生活教育の取り組みをおこなってきた。
「学校指定の取り消し」撤回をもとめて、実践を深めと運動を広めてほしい。
【2007年8月11日 日経ニュースより】
ぜんそく児童の養護学校入学認める――大阪地裁、仮処分決定(8月11日)
病弱児向け特別支援学校「大阪市立貝塚養護学校」への入学を断られた大阪市住吉区の男子児童(7)の母親が、児童の就学先として同校を指定するよう市側に求めた仮処分の訴えで、大阪地裁は10日、就学先として指定するよう市教育委員会に命じる決定をした。
西川知一郎裁判長は「男児のぜんそくは継続して医療や生活規制が必要な程度で、学校教育法の『病弱児』に該当する」と認定。「男児が十分に適応できず不登校になった小学校は、男児に対する適切な就学のための環境が整備されているとは認めがたい。貝塚養護学校を指定することが特別支援教育制度の目的に沿う」と指摘した。
【朝日新聞】
小2男児の養護学校転入拒否 大阪市に受け入れを命じる2007年08月10日
いじめで心身症が悪化するなどして不登校になった小学2年の男子児童(7)が、病弱な小中学生を受け入れている大阪市立の養護学校への転入を拒まれたのは不当だとして、母親が市に転入を認めるよう求めた行政訴訟で、大阪地裁(西川知一郎裁判長)は10日、男児を受け入れるよう市に仮に義務づける決定をした。弁護団によると、男児は夏休み明けの9月から転入できる見通し。
西川裁判長は決定理由で「男児の症状からすれば養護学校の就学環境が適切だ。男児の不登校が続く可能性は高く、転入には緊急の必要がある」と指摘した。
決定によると、大阪市住吉区に住む男児は昨春に地元小学校へ入学後、いじめや放課後の掃除で持病の心身症や気管支ぜんそくが悪化して不登校になった。大阪市立で唯一の病弱児向け支援校「貝塚養護学校」(大阪府貝塚市)への転入を求めたが、市教委は今年3月、「病弱児と認められない」と拒否した。
市教委の担当者は「主張が認められず残念だ。決定の内容を十分検討して対応を決めたい」としている。