ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

びわこ学園での取り組み2つ

2024年10月15日 14時58分58秒 | 絵本

重症心身障害児療育関連の取り組み(いずれも無料)

★滋賀県重症心身障害児者を守る会主催 「療育にどう生かす? 絵の本の読み方♡楽しみ方」研修会 2024年11月18日(月曜日)

講演(10時半から12時半)と「絵の本ひろば」(13時半から15時半) 場所 びわこ学園センター草津 会議室

★びわこ学園後援会・社会福祉法人びわこ学園主催 「いのち」の想いにふれる映画上映会 2025年1月25日 12時30分開場 13時開演

映画『大好き 奈緒ちゃんとお母さんの50年』 場所 旧大津公会堂

 


かがくいひろしの世界展

2024年08月28日 17時05分38秒 | 絵本
「かがくいひろしの世界展」(神戸ファッション美術館)にいってみた。
 かがくいは、1955年2月生まれ。障害のある姉を4歳の時に亡くし、その後、美術の世界に。東京学芸大学の美術科に進み、1980年に養護学校の教師に。障害児教育の中で、絵本の世界が広がっていく。
 特別支援学校を50歳で早期退職。絵本のプロに。しかし、54歳で、すいぞう癌に倒れ、逝去。
「もし、教師をしていなかったら、絵本を描くようにはならなかったでしょう。子どもの喜びは、自分の喜びでした。それが絵本をつくる原動力になっています。どんな時代が来ようとも、子どもの笑い声をききながら、ふんばってあるいていきましょうね。」(『かがくいひろしの世界』ブロンズ新社)
 生きていれば、僕と1歳違いだから、70歳になろうというところ。つくりたかった絵本、つくろうとした絵本はたくさんあった。創作ノートをみなながら、未完の絵本を想う。

『さっちゃんのまほうのて』のたばたせいいちさん逝去

2020年06月11日 09時22分03秒 | 絵本
 「おしいれのぼうけん」などで知られる、絵本作家の田畑精一(たばた・せいいち)さんが2020年6月7日、老衰のため亡くなった。89歳だった。葬儀は近親者で営み、後日お別れの会を開く。
 31年大阪生まれ。京都大学中退後、人形劇に打ち込み、その後、古田足日(たるひ)さんと出会い、子どもの本の仕事を始めた。保育園の取材をもとに古田さんと共作した「おしいれのぼうけん」(74年)は、累計発行部数が230万部のロングセラーに。そのほか、先天性四肢欠損の障害がある少女を主人公にした「さっちゃんのまほうのて」、「ダンプえんちょうやっつけた」などの作品がある。
 松谷みよ子さんらと「子どもの本・九条の会」の代表団の一員となり、日中韓の絵本作家による平和絵本シリーズの呼びかけ人になるなど、反戦活動にも力を注いだ。
(朝日新聞電子版、一部改変)


かこさとし『未来のだるまちゃんへ』(文春文庫、2016年)

2018年06月05日 14時30分38秒 | 絵本

加古里子、2018年5月2日逝去。本屋でもちょっとした追悼のコーナーがあり、そこで、かこさとし『未来のだるまちゃんへ』(文春文庫、2016年)をみつけた。自伝的な読み物、子どもへの思いがこめられている。さっそくよんで、講義でも取り上げることとした。

目次

はじめに

第一章 僕が子どもだった頃

子どもたちが先生だった/だるまちゃんには子どもたちの姿が宿っている/だるまどんと不肖の父/大人と子どものすれ違い/里山のふるさと/自然が教えてくれたこと/なつを先生のおっぱい/戦争のあしおと/状況と銀ちゃんのこと/東京の子供たち/あんちゃんの思い出/僕の最初のお師匠さん/のらくろ敵討ち/マインファータ、マインファータ

第二章 大人と子どものあいだ

飛行機乗りになりたかった/麻植の音楽と中村草田男先生のこと/裏側から知った戦争、兄の死/そして敗戦/僕も人生に迷っていた/ガンちゃんとデンマーク体操/ふたたび、絵を描く/子どもほど、正直な観客はいない/紙芝居と絵本の違い

第三章 大切なことは、すべて子どもたちに教わった―セツルメントの子どもたち

セツルメントの子どもたち/子どもは鋭い観察者/絵描き遊びが教えてくれたこと/個性って、何だろう/「へのへのもへじ」を世界遺産に/観察者としての覚書/子どもの秘めた思い/成長とは、自発的に花開くこと/戦後の絵本業界/生きた題材とは/

第四章 人間対人間の勝負―絵本作家として

紙芝居だった『どろぼうがっこう』/人間はみんなプチ悪/絵本作家になる/家庭人として/世の中の裏を知る/二足のわらじ/人生の残り時間

第五章 これからを生きる子どもたちへ

四〇年ぶりの続編/この世界の端っこで/見取り図を描く/震災と原発/これからを生きる子どもたちへ

あとがき/文庫版あとがき/解説 加古さんとだるまちゃん(中川季枝子)

授業論で絵本をとりあげるところで、『だるまちゃんシリーズ』『からすのパン屋さん』を紹介して、世界を広げる想像力、それと同時に、その絵本の背景となったものを読み取ることの重要性を強調した。

家に帰って、何気なくテレビを見ているとNHKの「プロフェッショナル」で加古里子がとりあげられていた。九一歳の終わりから九二歳へ、その一ヶ月間、カメラが密着した。その撮影が終わって、二一日後、加古はこの世を去った。あらためて、冥福を祈ることとなった。

現代思想や太陽のかこさとしの特集なども興味深い。買った太陽の本がどこかにはいって見当たらない―困ったことだ!


田島征彦・吉村敬子作「ななしのごんべさん」(童心社)

2010年11月15日 11時32分49秒 | 絵本

田島征彦と吉村敬子の共同の作品は、「あつおのぼうけん」と「ななしのごんべさん」がある。後者は、大阪大空襲のことを描いたものですが、脳性マヒで家にいた「もも子」と近所の双子の子どもの交流を描いたものです。その中に、就学免除の話もでてきます。

役所から、「歩かれへん子ォは、学校へこんでもよろしい」ていう、通知がきてん。
おかあちゃん、もも子は 学校へ行ったら あかんの?
うばぐるまで 外に行けるのに、学校は 行ったらあかんの?
せんそうの役に たてへんからか?

おかあちゃんは、なんにも こたえてくれへん。
もも子かて、いっしょに べんきょうしたいわ。
友だちもつくって、いっしょに あそびたいわ。


国際児童文学館の閉館に怒り

2009年12月27日 22時01分58秒 | 絵本
読売新聞より

 大阪府の財政難から橋下徹知事が来年3月末での廃止を決めた府立国際児童文学館(吹田市)が、27日で府立中央図書館(東大阪市)への資料移転準備のため閉館し、25年の歴史に幕を下ろす。約71万点の書籍・資料を収蔵する同館の廃止には、文化人や住民らから「橋下知事の文化軽視だ」として反対運動もあった。府側は「移転で利便性は増す」とするが、利用者からは「なぜ廃止を急ぐのか」との声もなお少なくない。

 1階の閲覧室は26日も、絵本や紙芝居を子どもに読み聞かせる家族連れでにぎわった。家族で訪れた兵庫県加古川市の女性(38)は「素晴らしい施設。本当になくなってしまうんですか」と残念そうに話した。

 宮沢賢治の童話集「注文の多い料理店」の初版本や、長嶋茂雄さんが表紙の「週刊少年サンデー」の創刊号など貴重な収蔵品も多く、吹田市の主婦(66)も「全国に誇れる施設だったのに」と惜しんだ。

 解雇される運営財団の職員約10人の再就職先や廃止後の建物をどうするかなども決まっておらず、向川幹雄館長は今も、「性急に廃止する必要はない。橋下知事は方針を凍結するべきだ」と訴えている。

 同館は児童文学研究家の鳥越信さん(80)が寄贈した約12万点の資料を基に1984年設立。開館直後は年10万人以上いた利用者が、最近は5、6万人に減り、橋下知事は「運営努力が足りない」と2008年6月に廃止を決めた。鳥越さんらは寄贈資料の返還を求め、民事訴訟で争っている。

『発達障害と子どもたち』を読む

2008年01月04日 22時00分40秒 | 絵本
山崎晃資『発達障害と子どもたち-アスペルガー症候群、自閉症、そしてボーダーラインチャイルド』(講談社+α新書、2005年5月)を読む。2年前の本なのだが、ずいぶん2年間で進展があったので、内容的に古いように感じる。自閉症とアスペルガーの違いや区別を論じたり、自閉症とADHDの診断の問題、明確に虐待などの問題を明示してなかったり、ボーダーライン・チャイルドなども曖昧であったりなどなど…。でも、サイエンスを強調するのではなく、なによりも子どものことを第一おき、断定せずに地道に臨床を行うという姿勢には共感を覚える。それは、著者が、児童精神医学だけではなく、東海大学附属の中学校・高等学校の校長をやった経験からなのかもしれない。

あとがきに、自閉症との出会いが書いてあって興味深い。それによると、1960年代半ば頃の、北大付属病院の精神科病棟での女児との出会いだったようである。「わたしたちはなすすべもなく、母子虚しく田舎へ帰っていった」とされている。そのころから、多くの自閉症児が外来を訪れるようになる、「昭和42年、北大教育学部の仲間の協力を得て、老朽化した北大幼稚園を期限付きで借りて、今で言うデイケアを始めました。五里霧中の毎日でした。従来のカウンセリングやプレイ・セラピー、当時、日本に挿入された行動療法にも限界がありました。私たちの療育指導は大きな暗唱に乗り上げていました」とある。
自閉症療育史としてみると興味深い。北海道大学に付属幼稚園があったことも興味深い…。

ついでに、興味深かったのが、ドイツの精神科医のハインリッヒ・ホフマンの絵本が紹介されていることである。紹介は以下のようなもの。

AD/HDの子どもの様子が世界で最初に公表されたのは『もじゃもじゃペーター』という絵本だと思います。ドイツの精神科医ハインリッヒ・ホフマンがかいたものです。その絵本のなかのひとつ、「じたばたフリップのお話」は、AD/HDの子とその母親の心理がよく表現sれています。父親が「フィリップや、今日はおとなしく食事ができるかな」という場面がありますが、父親の隣で、母親がジロッとフィリップをにらんでいます。この表情は、AD/HDの子どもに手をやき、うんざりしている心理状態をよくあらわしています。

この『もじゃもじゃペーター』の表紙は髪の毛はもじゃもじゃで爪も長くのばしている姿で、アスペルガー症候群を思わせるもの…。さっそく、生協に注文した。

おもちゃ・ちゃめっけ・めっけた

2007年07月05日 23時32分17秒 | 絵本
以前、頭をひねって、文頭・文末をしりとり形式にした小文を書いた。昨日の「おもちゃ論」で配ったもの

おもちゃ・ちゃめっけ・めっけた!

 ある5歳の子ども、小学校3年生の姉のまねをして早口言葉─「となりのかきはよくきゃくくうかきだ」。想像すると恐い話だが、当の本人、してやったりという澄まし顔。これを評して、「支離滅裂」だが、それを聞いたこのちび助は、「しりめくれてる?」。そんなかわいいお尻なら取ってやるとばかりに、どたばたと「しりとり」。表題の「おもちゃ・ちゃめっけ・めっけた」も変形のしりとり。そんな試みは、やんちゃ・むちゃむちゃ・おもちゃ。
 「おもちゃ」を創りはじめて、10年になる。もともと、障害をもつ子どもたちとともに、歌って、踊って、おもちゃも創るという大学の教官をめざしてのこと。でも、まっとうな道からはずれ、大学の先生方や学生さんたちから遊んでいると思われているらしい。そういった世間の風評にめげずに、育児や保育の文化の向上に資するものと屁理屈をこねて、はげまなくっちゃ。
 「ちゃめっけ」が、子どもの世界から薄れているという実感をもっている。保母さんたちに聞くと、人との関係を結ぶ発達の根っこが細くなっているとよくいわれる。実際、少子化社会ということで、ゆとりをもって人との関係を育む仲間を得るのも難しいし、大人の子育ての意識も変化しているようだ。しかし、子どもと大人の関係も、こまっしゃくれた子どもに媚びるような関係であってほしくない。子どものやんちゃな姿に、すかさずニヤリと次のようにいえるような大人になりたい─「めっ!」。
 「めっけた」という発見の喜びは、子どもの胸をワクワクさせる─そんな気持ちにさせるおもちゃを創ってみたい。そもそも、そのような発想は、大人の側に豊かな遊び心がないと生まれてこない。おもちゃの話題を中心にその発想を愉快に語る「おもちゃゆかい」という会を発足させたいと思っている。ちなみに、そんなこんなを詰め込んだ『おもちゃ・コミュニケーション・子どもの発達』(かもがわ出版)をご一読下されば幸いである。



おとうさんんといっしょに-世界の車いすの仲間たち

2007年04月30日 17時28分08秒 | 絵本
世界の車いすの仲間たち-障害をもつ人たちを絵本の中にたずねて

おとうさんと一緒に絵本の世界をたずねる
 障害を持つ人たちが様々なところに登場している。障害を持つ人たちの映画は大きな話題となったし、最近では知的障害を持つ人たちを主人公にしたトレンディ・ドラマが話題だ。小説、児童文学だってまけてはいない。小さい子どもたちの絵本の世界にも障害を持っている人たちが描かれてきている。
 肢体障害のお父さんと一緒に幼稚園にいく『おとうさんといっしょ』は、電動車椅子にのるお父さんと息子の交流が描かれており、街にさりげなく作業所のポスターがはってあるところなんかすてきだった。障害を持つ人たちは、いろんな所でがんばっているんだなと感じさせてくれる。おとうさんといっしょに、電動車いすに乗って、おとうさんと同じような障害のある人たちをたずねてみよう。

  ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
 おとうさんは、ぼくに「『新ちゃんがないた』『野菊』がいい」と教えてくれるんだけど、字ばっかりで、まだ学校に行っていないぼくには、よめやしない。ぼくには絵本がちょうどあってるみたい。だけど、『わたしいややねん』は、車いすしかかいてなくって、どうも、おとうさんが読んでくれてもわかりゃしない。
 『あつおのぼうけん』って本は、ぼくよりもおにいちゃんと車いすにのったもう一人のおにいちゃんが出てきて、冒険をする。ぼくも、あのおにいちゃんのように、大きくなったら車いすの友だちと冒険してみたいな。おとうさんは、僕と同じぐらいの年の子を紹介してくれた。『車いすのマティアス』っていう写真入りの絵本だ。


英語なんかこわくない!
 マティアス君は、おとうさんといっしょの脳性マヒという病気だって教えてくれた。子どもだけど、おとうさんと一緒の電動車いすを動かしているなんてすごい。
 それから、『やあすてきななかまたち』ていう写真の絵本も出してくれた。目が見えないお友達や歩行器にのったお友達の中に、「車いすにのっている子、そして車いすを押している子」の写真をみつけた。車いすを押している子は女の子だ。やさしいんだなぁ。外国のお友達の写真の絵本にも、車いすが出てくるけど。『アルプスの少女ハイジ』にも車いすの女の子が出てくるっておとうさんは教えてくれた。『アルプスの少女ハイジ』も外国のお話だ。外国には、いろんな車いすにのったお友達がいるのかもしれない。
 外国のお話を聞かせてとたのんだら、おとうさんはちょっと考えこんだようだった。
 「英語はにがてだから…」
 でも、ちょっとしてから、ぼくの顔を見ながら、はじめは小さな声だったけど最後には大きな声でこういった。
 「絵本ていうのは、怠け者のぼくでも見ているだけでいろんなことを感じさせてくれる。障害を持つ人たちを支える人だったり、家族だったり、ともに育っていこうとする人だったり、いろんな人がいるかもしれないが、いろんな感じ方を絵本の中で楽しんでみよう。すこし、よくばって、中学生までの英語で、絵本の中の障害を持っている姿にふれてみよう。英語なんかこわくない!」
 外国のお友達の本は英語で書いてあるようだ。おとうさんは自分に言い聞かせているようだったけど、外国のお友達の絵本を読んでくれるんだから、ぼくはもうけたような気がした。
 ぼくとおとうさんは、「外国の車いすのお友達」をさがして、外国旅行をした人に聞いたり、本屋さんにたずねたりした。本屋さんが、いろいろ探してくれて、注文してくれた。でも、遠い国から来る本だから、だいぶ日にちがかかるらしい。まちどおしいな。
 おとうさんは、待ってるあいだ毎日、「英語の勉強だ」といいながら、厚い本をめくりながら、横書きの記号のようなものを読んでいる。「怠け者だ」といってたけど、おとうさんは勉強家じゃないか。


金髪のかわいいおねえさん
 本屋さんに出かけてから、一ヶ月くらいたった頃だった。幼稚園から帰ってみると、おとうさんが大声でぼくをよんだ。ぼくの帰りをはやくはやくと、まっていたようだ。
 おとうさんはぼくに、「アメリカの絵本で、かわいいきょうだいを見つけた」と、早口でいった。ぼくは、なにが起こったかしばらくはわからなかった。ようやく、おとうさんが本をもってやってきてようやくわかった。本屋さんから外国の絵本が届いたんだ。その中から、おとうさんは一冊取り出した。
 おねえちゃんといもうとの絵本だ。エイミイねえちゃんは脳性マヒの重い障害を持っている。いもうとのミッチェルがおねえさん役になって、ブランコを揺すったり、時には、アルバムをひらいて、エイミイおねえちゃんとおしゃべりをする。車いすにのりながらブランコをしてるのって、すごい。アルバムを見ながら、一体なにをしゃべっているのかな?エイミイおねえちゃんは、いもうとの自転車につけた車輪つきの椅子で、サイクリングを楽しんだりする。
 おとうさんは、英語みながら、説明してくれた。

 「エイミイおねえちゃんの日々のようすを、いもうとのミッチェルが教えてくれる本なんだ。家族の中での介護の様子、訓練があること、その様子なんかを…。そして、最後のページには、お医者さんが脳性マヒについての解説してくれていて、脳性マヒについての理解を深めてくれる…」
 むずかしいことはわからないけど、淡い色の絵がぼくは気に入った。おとうさんは別の絵本を取り出して、ぼくにいった。
 「肢体不自由の子だって、いろいろたのしみたいわけさ。シット・スキーって知ってるかい?。最近日本でも話題になっているようだけど、肢体不自由の子だって冬を楽しむ権利はあるんだ」
 その本には、すわったままでスキーができるようになっていて、車いすの子がスキーをしているんだ。こんなスキーにのったらぼくだって、雪の中を転ばずにすべれるかもしれない。ぼくは、思わずつぶやいた。
 「おとうさん、スキーにつれてってよ…」
    ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 ぼくのつぶやきを聞いてかどうかはしらないけど、おとうさんはスポーツのことを話しはじめた。車いすの人の駅伝やマラソンもあるんだって。そういえば、テレビのニュースで見たことがあったっけ。すごい勢いで、車いすで走るんだ。自動車にも負けないぐらい。車いすの子も夢がいっぱいなんだね。絵本の中でも、車いすの子たちが空を飛ぶ夢を見ていた。そのうち、このおにいちゃんやおねいえちゃんの夢がかなって、車いすの宇宙飛行士も登場するに違いない。

車いすにのった動物たち
 おとうさんは、本屋さんから届いた本を次々と出して、見せてくれた。
 「この頃は、動物も家族の一員。動物たちの中にも、車いすユーザーはいるぞ。くまに、いぬさん、そしてネズミもだ。友だちに囲まれて、生活をエンジョイしている」
 『ウィールチェアーコマンドウ』は、車いすにのったくまのおはなし。『アニイとあたらしい子ども』は車いすにのった犬が主人公。そういえば、日本でも、「花子」っていう犬が、車いすを作ってもらって、走り回るという話があったし、『エミの車いす』という小学校のおにいさんやおねえさんが読む本にも、そんな話があったって、おとうさんがつぶやいていた。外国では、ネズミさんが、車いすで、ウサギとかけっこをしているし、動物の国にも車いすを使うやつはけっこう広がっているようだ。
 ぼくのうちでは、動物は飼っていないけど、ホントは飼いたいんだ。ぼくはホントに動物好きだから、こんな絵本は、なかなか楽しいと思う。でも、この動物たちの絵本は、どんなお話なんだろう?
 「早くおとうさんよんでよ。早く。おねがい。」
  ☆ ☆ ☆ ☆ 

車いすの人を助ける人たち
 おとうさんはまたちがう、うすっぺらい本を取りだした。また動物たちのお話だ。アーサー・メイヤーという人が描いた本らしい。こんどは、ウサギさんが車いすにのっている。学校のお話みたい。この学級の先生は、ネコさんで、クラスには、ブタさん、ワニさん、スカンクさん、そしてボクがいる。ボクはアライグマかなぁ。そのクラスにウサギの転入生が来るというお話だ。みんななかよしなんだね。みんなその仲間を助けてがんばってるよ。帰るときも、みんなで、車いすをおして、バス停まで行くんだ。クマの運転手さんも、ニコニコして待ってくれている。
 車いすの人たちを助ける人たちってみんな生きいきしているね。
 「はやく一年生になりたいな。このクラスみたいに車いすの子もいるかな?そしたら、ぼくはおとうさんから教えてもらって、いろいろお手伝いしちゃうんだ。車いすのお手伝いの方法がかいてある絵本てない?おとうさん…」
 おとうさんは、前からうちにあった『わたしの家族はいぬのブルース』っていう本を引っぱり出してきていった。
 「車いすの人を助けるのは、人だけじゃないんだ。犬だって、お手伝いをしてくれるんだ。どんなお手伝いをしているかこの本を見てごらん」
 その本には、車いすのれい子さんを助けている人たちのことや、ブルースという名前の介助犬のことが描いてあった。介助犬のことをパートナードッグというんだって。
 朝はブルースがカーテンを開けるし、買い物にもついていって、買いたいものを取る。家にもどると、電気もつけてくれる。れい子さんは、そのつど、英語でブルースに指示している。このブルース、生まれはアメリカで、アメリカで訓練を受けたんだって。だから、れい子さんもアメリカへいって、ブルースと一緒に生活をして、それからブルースと日本へきて、一緒に日本の生活することになったんだって。だから、れい子さんはいつもブルースには英語でおしゃべりをしている。れい子さんは、「英語が上手になりたい」と英会話も勉強しにいっている。もちろん。ブルースと一緒に…。


みなさまへ 
 絵本を紹介するのに「世界の」「外国の」というところがひっかかっている方もおられるのではないかと思いますん現場の教師の人たちに、「英文購読をやるよ」というと本当にいやな顔をされるのです。でも、ちょっと一歩を踏み出したら面白い世界が…。というわけで、障害者問題に関わる人たちも、もう少し冒険をしてみることがあってもいいのではないでしょうか。外国の絵本には、いろいろな障害のある人たちが描かれた絵本があります。それらを紹介すると、これまた面白い世界となるのではないでしょうか?

『きよぼう きょうは いいてんき』

2007年03月18日 09時33分49秒 | 絵本
「おとうさんといっしょに」の絵本を書いた脳性マヒの白石清春の作品を探していたら「こどものとも」で次のようなものがみつかった。書店で注文するか、電話で注文しないと、ネットでは注文できないようだ。
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『きよぼう きょうは いいてんき』(こどものとも年中向き 2005年6月)

白石清春文 /西村繁男絵

「今日は、いい天気だよ」と言って、手足の不自由な男の子きよぼうのお母さんが庭にござを敷いてくれました。好奇心の旺盛なきよぼうは、ござをうまく動かし庭を移動して、虫や花を観察したり、隣の子と遊んだりします。子どもらしい好奇心や喜びが、明るくほのぼのとした光や空気の中に描かれます。


わたしの母さん

2007年01月25日 22時22分07秒 | 絵本
養護学校の教師をしていた菊地澄子の児童文学『わたしの母さん』を買った(随分前にも買ったのだが、無くなってしまったからだ)。筋書きは以下の通り。

菊地澄子『わたしの母さん』(北水-以前は「こずえ」から刊行されていた)

一、授業参観日――授業参観日にきてくれたお母さんが失敗をしてしまい、高子は自分のお母さんのことが少し恥ずかしくなります。

二、ひみつ――お母さんは、自分のこと、夫のことを高子の担任の先生に打ち明けます。高子の両親には、ひみつにしていたことがあったのです。

三、日めくり暦――お母さんのやり方に、がまんしきれず、悪いとは思いながらも高子は思いをぶちまけてしまいます。

四、わたしのかあさん――田辺先生が来た日、高子は両親のひみつを聞かされ、ショックをうけますが、しっかり現実をうけとめようとしています。

五、おばあちゃんのため息――おばあちゃんが、お母さんが養護学校へ行くことになったいきさつを高子に話してくれます。話をききながら、高子はいろんなことを考えています。

六、「牛革」という字――ミチ子先生はお母さんに字典をプレゼントします。近所の人々の冷たい視線に耐える高子にも、お母さんにもそれぞれ悩みがあります。

七、若ちゃん――お母さんのことをばかにするどころか、いつも優しくしてくれる若ちゃんの姿から、高子は胸につかえていたものが消えていくのを感じます。

八、春――高子と若ちゃんの「塾」の計画も進行中、高子は家族のみんなに本の読みきかせをはじめています。高子はお母さんのことが前よりわかるようになり、高子の家に春のきざしが見えてきました。

九、けやき塾――ついに「けやき塾」が開塾。にぎやかな塾の中で、高子はお母さん、お父さん、清、そのほかいろんな人の存在の大切さを感じ、明るくがんばっていくことを誓います。

あつおのぼうけん

2007年01月09日 23時20分15秒 | 絵本
W大学の集中講義。朝早く、高速をつかっていくも、途中で考え事をしていて、尼崎・伊丹方面までいってしまった。引き返して、吹田から近畿道に乗った

集中講義をおえ、Y先生と久しぶりに話す。来年度から、「授業が減ってパラダイスだ」といっていました。各国の障害児教育の比較研究のようなものを、研究会を作ってやりたいねというような話になりました。Y先生は、フランスのことをやっていて、チャットでフランスの養護学校の先生ともやりとりをしているようだ。若いってすばらしい!

『あつおのぼうけん』(作・田島征彦・吉村敬子)は、「主任手当を京都の子どもと教育に生かす会」によって、国際障害者年を記念して企画され創られた絵本。
あつおは、海が一目で見える養護学校の小学部4年生。車いすで生活している。家が遠いので学校の寄宿舎で友達と一緒に暮らしている。「冒険の日」は好きなところへ行ける機会、その日に一人で冒険へ-そこで漁師のおっちゃんやその息子と仲良くなる。そして、あつおの勇気が発揮される時が…。

やっぱり、この『あつおのぼうけん』は、与謝の海養護学校の寄宿舎での生活のことをイメージして創られたんだろうなと思う。どうなんでしょう

みんなとはちがった人たち

2007年01月06日 23時32分50秒 | 絵本
今日は嵐のような

昨日からしている仕事で大学へ。それだけではなく、和歌山のMさんに頼まれた資料を図書館にコピーをしに…。土曜日だし、新年だしで、図書館はすいている。お目当ての資料をコピーして、書庫へ。書庫になら、1日だっていれるほど書庫が好きだ。こんな資料もある、あんな本もあると興味はつきない、人と会わなくてもいいし、喋らなくてすむ。ついでに、EUの障害者政策関係の論文もコピーした。研究室にいって、資料の整理の続きをする。7時頃までやってようやく一段落…でも、昔書いた論文の現物がなくなっているものがある。どうも、整理できない人-かたづけられない人らしい。

家に帰ると、注文していたジェニファー・エルダー(牧野恵訳)『みんなとちがった人たち-自閉症の英雄のこと』(スペクトラム出版社、2006年4月)が来ていた(この出版社の本は生協では注文ができない)。対象は、「8歳くらい~おとなまで」とある。自閉症のように、少し違った人がたくさんいるというもので、アインシュタイン、カンデンスキー、ニュートン、カント、アンデルセンなどが紹介されている。アインシュタインは、LDといわれたり、アスペルガー症候群・自閉症といわれたりといろいろで、ちょっと人とうまくいかない人も自閉症の特徴があるということになるのかもしれない…でも、集中できることなどの特徴は伸ばせば個性として光るものともなる。英雄主義はどうかと思うが、しかし、もっとポジティブに捉えてもいいのかもしれない。
この本とともに、大橋ケン『トビオはADHD』(明石書店、2006年12月)もきた。この本はまんがで、発達障害のある子の世界を描いている。

エディー・リーのおくりもの

2007年01月05日 23時05分05秒 | 絵本
 今日から講義-障害児保育でした。
 昨年末に、「たったひとつのたからもの」の一枚の写真からはじまる話をし、ダウン症のことにふれてきた。フォトコンテストで取り上げられた1枚の写真は、父親がダウン症の子どもを抱きしめていた写真。そこから、24時間テレビの合間に入れるための特別にコマーシャルがつくられた。この家族のことはいろいろな番組で取り上げられ、ドラマ「たったひとつのたからもの」もつくられた(母親役は松田聖子だった)。主役の子ども役は、ダウン症の子どもが演じたのも話題となった。今日は、その「たったひとつのたからもの」のビデオの後半をダウン症の説明の後にみんなでみた。
 残念ながら、この最後のクライマックス秋雪くんがなくなる場面が、その上に別のものを録画してしまったので見れない。「先生ダメじゃん」の声…だれか、「たったひとつのたからもの」の完全版をもっている人、お知らせ下さい。

 ところで、絵本に描かれたダウン症の子どもとしては、「ダウン症」とは一言も書かれていない"Be Good To Eddie Lee"がある。この原作を翻訳したのが『エディー・リーのおくりもの』(小学館)。帯には日本ダウン症教会推薦図書とあり、理事長が推薦の言葉を書いている(原作にはこのような説明はない)。原作の表紙の方がよかった-わかる人なら特有の顔の特徴でダウン症とほんのりとわかるからだ。エディーと友達との交流、そして森の中でいっしょにみつける「たからもの」。ダウン症の子どもの写真の絵本が外国にはあるようだ…日本では、あまり見かけないが…。写真絵本については、まとまめて紹介したいと思う。
小学館は、障害を主題とした絵本など(バリアフリーの本)を系統的に出している。この『エディー・リーのおくりもの』もその一つ。小学館のホームページから、「生活」を選択すると「バリアフリーの本」にいける。それをクリックすればその一覧が出てくる。ドラえもんがでてくるバリアフリーの本もある。

 これまで、整理してこなかったつけがまわって首が絞まっている。講義とそばうちの道具を返すこと以外、研究室でこれまで書いてきたモノの整理の仕事をしていた。やってもやっても終わらない。3連休中にやってしまわないといけないのだが