ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

梅原利夫『人間を探す旅』つなん出版

2009年08月24日 07時52分33秒 | 
オーストラリア行きの機内で、梅原利夫『人間を探す旅』(つなん出版、2007年)を読んだ。
和光大学の教育課程の研究者・梅原利夫の還暦を契機として、自分を振り返ったエッセイ集。期待したのだが、ようするにこれまで書いたもののよせあつめ。戦後教育課程研究の証言としての意味は少ないように感じた。

概要は次の通り

まえがき
自分との出会い
教育研究との出会い
青年たちとの出会い
闘う人々との出会い
平和の取り組みと出会い
梅原利夫・略年譜
あとがき

榊原洋一『子どもの脳の発達 臨界期・敏感期-早期教育で知能は大きく伸びるのか?』(講談社+α新書)

2009年08月04日 11時16分22秒 | 
榊原洋一『子どもの脳の発達 臨界期・敏感期-早期教育で知能は大きく伸びるのか?』(講談社+α新書)に目を通した。
最近の脳科学の話かと思ったら、そうでもない。早期教育の脳科学的根拠とされる考え方を批判的に考察し、「臨界期」「敏感期」についてその意味を考察したものである。まずは井深大の幼児教育論の流行を検討し、次に「臨界期」の概念の登場を、ローレンツ、ヒューベル、ハッテンロッカー、グリーノウ、レネバーグ、クラウスの論に即して紹介している。ちなみにそれぞれの業績の特徴は以下のようなもの。
ローレンツ(インプリンティングの発見)
ヒューベル(猫の視覚遮断実験)
ハッテンロッカー(シナプスの数を数えた)
グリーノウ(ラットのニューロン樹状突起の枝分かれの環境による相違)
レネバーグ(言語獲得の臨界期)
クラウス(新生児愛着理論)
その上で、臨界期の問題を検討し、その結果を一般化や人間への適用を戒めている。同時に、早期教育の有効性と弊害の可能性を述べている。構成は次の通り。

はじめに
第1章 早期教育はなぜはやるのか
第2章 臨界期の登場
第3章 臨界期神話にメスを入れる
第4章 早期教育の有効性と弊害の可能性
脳の発達と早期教育-あとがきに代えて

オオカミに育てられたアマラとカマラについても取り上げている。榊原もこのアマラとカマラの発見については疑っている。榊原の説は、虐待や放棄の可能性であり、極端なネグレクトによって言語や知的発達の障害を起こしたものと考えているようである(pp.99-104)。

久保田競・宮井一郎『脳から見たリハビリ治療』(講談社ブルーバックス)

2009年08月03日 16時09分50秒 | 
久保田競・宮井一郎『脳から見たリハビリ治療』(講談社ブルーバックス)の「クリストファーリーブの部分(第1章「リハビリのスーパーマン クリストファーリーブ」)を読んだ(突然の死/落馬事故で四肢麻痺/車椅子のヒーロー/リハビリテーション開始/本格的なリハビリテーション/指が動いた/何が起こったのか/MRIによる証明/歩けた!/志なかばにして)。クリストファーリーブに関する本は、『車椅子のヒーロー』『あなたは生きているだけで意味がある』の2冊がでている(後者は知らなかった)。それに基づいて、クリストファーリーブの落馬からリハビリの概要を記してものである。
それ以外は、脳卒中とリハビリテーションに関するものなので、読もうとは思わないのだが…。目次だけあげておこう。

はじめに
第1章 リハビリのスーパーマン クリストファーリーブ
第2章 脳卒中とリハビリテーション
第3章 リハビリで脳が変わる
第4章 治療の現場
第5章 どんな病院で治療を受けるのがよいか
おわりに

正高信男『天才脳は「発達障害」から生まれる』(PHP新書)

2009年08月01日 11時16分27秒 | 
脳科学が流行だ。今日のオープンキャンパスでの模擬講義も「脳科学から見た発達障害」がテーマである。その準備もあって(とはいえ、講義はN先生がしてくださるのだが…)、正高信男『天才脳は「発達障害」から生まれる』(PHP新書、2009年)を読んだ。考えようによると、脳のなんらかの障害が発達障害を生むのであるが、ベクトルを逆さまにして発達障害によって脳のある部分が活性化し、飛び抜けた能力が育つというもの。
精神医学でいうところの「病跡学」。いってみれば「精神的に傑出した歴史的人物の精神医学的伝記やその系統的研究をさす」、「簡単にいうと、精神医学や心理学の知識をつかって、天才の個性と創造性を研究しようというもの」。
正高信男は、霊長類研究所に所属し、認知神経科学を専門とする。この本の構成は次の通り。

はじめに
ケース1 キレやすい信長
ケース2 かたづけられない北斎
ケース3 てんかんもちの熊楠
ケース4 野口英世の放蕩癖
ケース5 サバイバーとしての中内功
おわりに