小杉健治『声なき叫び』双葉社、2016年
「自転車で蛇行運転をしていた青年が、警察官に捕まり、取り押さえられているときに死亡した。
警察官の暴行を目撃した複数の人間がいるにもかかわらず、県警は正当な職務だと主張するのだった。
青年の父親の依頼で水木弁護士が動いたのだが……。 」
ここまで、警察・検察、そして裁判所はやるかというほどの書きぶり・・・。しかし、現実にあった知的障害のある青年を襲った事件に素材をとっている。安永健太さんの事件であり、警察に暴行をうけて死亡した安永さんの事件である。
2007年9月25日、佐賀でおきた安永健太さん死亡事件は、2012年9月、刑事事件の判決で警察側の無罪が確定しました。しかし、刑事事件が無罪でも、民事訴訟において警察の行為が違法と認定される場合はあります。そのためご遺族は民事訴訟での審理を求めましたが、2014年2月佐賀地裁判決、2015年12月福岡高裁判決はいずれも警察に違法はないとの判決を下しました.「障害」の本質とは何かを問い、障害者権利条約を批准した国にふさわしい結論を切に願います。そのため2015年12月25日、ご遺族は最高裁判所に上告しました。