ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

出久根達郎『古本屋歳時記 俳句つれづれ草』河出書房新社

2016年05月17日 22時51分40秒 | 
出久根達郎『古本屋歳時記 俳句つれづれ草』(2011年)をよんだ。
俳句が、はじめに記されて、折々のエピソードが綴られている。

残念ながら興味深いものはあまりなかった。「古本屋」と銘打たれているが、古本のはなしはあまりなかったからか?
風呂に入りながら、1日一話ずつ読んできたが、記憶に残ったものがない。


森博嗣『喜嶋先生の静かな世界』講談社文庫

2016年05月17日 21時11分00秒 | 
本作は元大学で研究者をしていた森博嗣の自伝的小説といわれている。
大学院生の目から、学問の指導教員であった喜嶋先生の研究者としてのあり方に焦点を当てて、語られる。

論文の美しさを説き、学問には王道しかないという喜嶋先生の指摘には、人文社会科学系の研究者の饒舌とはことなった、ものごとの本質を直線で示す姿があり、学問分野は違うものの考えさせられるものがある。

多くの研究者は40歳までには、研究者ではなくなる。
「一日中,たった一つの微分方程式を睨んでいたんだ.あの素敵な時間は,いったいどこにいったのだろう?」
様々な雑務や講義,研究費獲得に時間を取られてしまう現実は、どの学問分野でも同じ事かもしれないし、今はもっと厳しいものがあるのかも知れない。
そうだ、もう、わたしは研究者ではない!

しかし、一度、「素敵な時間」の感覚を取り戻そうと思うと、もういまの生活を捨てなければならない。

これから研究に携わろうとする学生には,その面白さと厳しさを教えるものであり、ぜひよんでほしいものである。


わたしは、それと同時に、もうひとつの観点から、この小説が、「突き抜けた」ものと生活のねじれた関係を、記していることも興味深いと感じている。
複雑な、しかし不思議な感覚にとらわれるものである。