奈良障害フォーラム(2016年2月21日)
奈良障害フォーラムにおあつまりのみなさま、お忙しいところ、おいでいただきありがとうございます。
ふりかえてみますと、東日本大震災直後の2011年3月19日、「障がい者制度の改革を推進する地域フォーラム・奈良」として開催され、それからはや5年目となりました。はじめての地域フォーラムは、当時障害者総合福祉部会委員だった荒井知事にも来ていただき、奈良教育大学講堂でシンポジュームを開催し、深めたことを今思い起こしています。
それ以後、毎年、こういった形のフォーラムの場を設定し、組織としての奈良障害フォーラム準備会を経て、ようやく障害者権利条約批准1年目の昨年1月に奈良障害フォーラムが正式に発足しました。NDF結成総会では、障害者権利条約の批准の2年後に、国連障害者権利委員会に、政府報告が出されることになること、奈良の障害のある人の現状と声を集約していこうと話し合いました。
それから1年たち、政府の報告がすでに準備され、先日、パブリックコメントがありました。日本障害フォーラムは、総括的に次のようなコメントしています。
全体にわたって日本の法制度や実施した事業の紹介で終わっており、権利委員会のガイドラインが求めている内容とは程遠いものとなっています。ガイドラインは、その国の障害者の生活状況がわかるように、達成できたことと達成できてないことを「正直に」報告することを求めています。達成できていないことは率直に取り組むべき課題として明記すべきです。
報告自体は、条約の条項に即して、政府がやってきたものを概括的に記述されています。これもあれもやりましたというようなものです、省庁別の施策の羅列の印象が強いのですが、細かい施策に目がうばわれてしまい、全体の問題、障害者のある人達の権利がどのように保障されているか、権利条約の趣旨に即してどのように拡げていく課題があるのかが抜け落ちてしまいます。権利の総合保障の観点が重要です。
そのためにも、こまぎれではなく、障害のある人のまるごとの生きることをトータルに捉える事が必要です。障害も多様です、当事者、家族や関係者の方々、施設や事業所の関係者の方々、広く県民が手をつなぎ合っていくことが本当に重要な課題だと考えています。
あと、1ヶ月後には、障害者差別解消法が施行されることになっています。合理的配慮の提供なども含めて、関係者が理解し合い、合意しあって、障害のある人にとって豊かな奈良にしていくきっかけを作っていただきたいと思います。
本日は、障害者団体の皆さん、奈良県の行政に携わる方々、議員の皆さん、多くの方々に来ていただいています。いろいろな立場に人たちが、広場をつくりながら、障害のある人達のくらしのなかみを作るための議論を深めていただきたいと思います。
その基本的な視点を、障害者政策委員会の委員でもある、竹下義樹弁護士にお話しいただくことになっています。よろしくおねがいいたします。フォーラムで議論していただき、その後、奈良障害フォーラムの総会とさせていただきます。半日ですが、よろしくおねがいいたします。