ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

『ビブリオ古書店の事件手帖Ⅱ 扉子と空白のとき』2020年7月 メディアワークス

2020年09月21日 14時48分07秒 | 

Kindleではじめて、本を読んだ。これまで、紙の本でないと読書はできないと思っていたのだった。しかし、本の処分にも手がかかるので、気軽によんでみたいものは、電子書籍で読むことにした。風呂でスマホをもって読むスタイル。

これまで、このシリーズは、文庫でよんできた。スピンオフ以外は読んだと思う。とはいえ、それは、ブックオフ行きだったので、今回はKindleにした。主題は、横溝正史。古書店主の栞子は、これま相方だった「俺」は結婚していた。「俺」は、どうも本を読むのが苦手のよう(読みの障害:学習障害があるようにも想像している。でも、栞子さんの本のストーリーの解説を聞くことで本の世界の深まりを理解している)。

この本は、ある本・小説を中心に置いた架空の物語であり、その意味で二重構造の小説入門である。こんかいは、戦後、復員ものの推理小説か横溝正史が中心となる。その未発掘だった小説『雪割草』、それとよく知られた『獄門島』をはさんで、再度『雪割草』のその後編となる展開。

一カ所だけ障害関係の記述があったので栞をつけておいたのだが、しかし、Kindleの栞の操作方法がわからず、どこの箇所だったか見返すことができない。まあいいよ。『ビブリオ古書店の事件手帖』の公式サイトには以下の紹介がある。

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ビブリア古書堂に舞い込んだ新たな相談事。それは、この世に存在していないはずの本――横溝正史の幻の作品が何者かに盗まれたという奇妙なものだった。
どこか様子がおかしい女店主と訪れたのは、元華族に連なる旧家の邸宅。老いた女主の死をきっかけに忽然と消えた古書。その謎に迫るうち、半世紀以上絡み合う一家の因縁が浮かび上がる。
深まる疑念と迷宮入りする事件。ほどけなかった糸は、長い時を超え、やがて事の真相を紡ぎ始める――。


二宮敦『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』新潮社、2016年

2020年09月13日 10時38分24秒 | 

二宮敦『最後の秘境 東京芸大 天才たちのカオスな日常』があったので、手に取って読んでしまった。以前、読んだことのある感覚は残っていたのだが、それでもおもしろいので読んでしまった。物忘れが厳しくなっています。認知にきているのかな。目もかすむし、二度目のほうがある程度、昔読んだ感覚があるので、目がかすんでも読み飛ばしにストレスがないのがいいのかもしれない。いずれにしても、眼科に行かなければと思っている。

ブログを点検してみても、この本のことは書いていないので、紹介しておこう。ようすぐに、東京芸術大学の学生さんたちのインタビューでそ「芸才の大学の日常が綴られているということだ。執筆のきっかけとなったのが、作者の妻がこの大学の学生で時々素っ頓狂なことをすることだった。目次は次の通り

不思議の国に密入国/才能だけでは入れない/好きと嫌い/天才たちの頭の中/時間は平等に流れない/音楽で一番大事なこと/大仏、ピアス、自由の女神/楽器の一部になる/人生が作品になる/先端と本質/古典は生きている/「ダメ人間製造大学」?/「藝祭」は爆発だ!/美と音の化学反応

この見出しだけだとなにもわからない。想像できるのは「ダメ人間製造大学」くらいかな。大いなる無駄、というか度量の深い文化というか、自由というか・・・もともとは良妻賢母の伝統を受け継ぐ中堅の女子大学につとめるものとしては、このような世界があることを女子学生さんたちにも触れてほしい。とはいえ、この東京藝術大学も、美校と音校とはまったく別の日常生活原理が働いているという。美校の自由さに対して、音校は徒弟的な関係、教員と学生の人間関係の在り方がかなり違うし、学生の日常生活も異なっている。「音楽」は「楽」でもないような、東京芸術大学の音楽を出た人たちと接すことがあるが、ちょっとめんどくさい。

しかし、本書は、美術にせよ音楽にせよ、それぞれが突き詰められ、それらが統合され、新しい世界をつくっていくその種とその土壌、いってみればカオスなのだが、それがこの大学にあることの一端を示している。

2014年のインタビューだから、5年以上たっているが、この人たちはいまはどうなっているか?また、コロナ禍のなかで、いま、東京藝術大学に従前のカオスはあるのか? 国立大学法人化されて第3期も2021年度でおわろうとしている。教養や文化を軽視する政治家が、お友達優遇の政権を継承しようとしている今日、それに抗して、忖度なしに本音で人間性を研ぎ澄まそうという芸術のありようを見据えて、人間性の解放とそれをはぐくむ土壌が広がることを願ってやまない。

 

 


映画「復活の日」(小松左京原作)

2020年09月11日 10時52分19秒 | 映画

新型コロナウィルスで感染症の恐怖を味わっていることもあって、それを予言したといわれる小松左京原作「復活の日」が注目を集めている。たしか、NHKの番組でも取り上げられたように記憶している。

小松左京については、文庫版の自伝が出ているので、1930年生まれ。生きていれば、90歳。大野松雄さん・田中杉恵先生と同じ年齢である。戦中勤労動員、戦後三高に入学してすぐに、新制大学になり再度兄弟の文学部を受験するということになった。そんな激動の時代を生き、高橋和巳などとともに文学部で学ぶ。たしか、卒論はイタリア文学だったか。その後、編集の仕事などをして作家として独立。「日本沈没」などのSFの世界を構築。堺屋太一などと、万博などをプロデュースしたこともあったか・・・。

「復活の日」は、1964年刊行され、映画は、角川が1980年に製作した。いつ映画館で見たのかわすれてしまったが、草刈正雄とオリビアハッセーのことをうっすらと記憶している。オリビアハッセーはこの後、布施明と結婚したと思う。今回はAmazonPrimeの映画で見た、というより聞いた。英語が多かった、多岐川裕美なども登場していた。はじめのところで、アメリカのメリーランド大学のウィルス研究所が登場するが、このメリーランド大学の図書館に占領期の検閲の図書が所蔵されているのかとふと思った。

映画のストーリは追えていないが、ところどころチラ見する程度だった。SFとは縁遠いのだが、原作もよんでみようかと。