ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

湊かなえ『ユートピア』(集英社文庫)とウィンストン・グルーム『フォレストガンプ』(講談社文庫)

2018年07月24日 07時53分14秒 | 

湊かなえの『ユートピア』を読んだ。交通事故で車いす生活をおくる小学生をめぐって、古くからいる住人と新しく入ってきた芸術科の住人とのあいだの心理の表と裏が物語の合間に垣間見られる。ユートピアを夢見て、車いす利用者の支援をするブランドの立ち上げなど善意の中の打算や嫉妬などが描かれて、人間関係が絡み合っていく。湊の作品は、悪意がにじみ出て、後味が悪いので敬遠していたのだが、これもあまり後味は良くない。

単純なというのは、『フォレスト・ガンプ』だ。知的障害だが、才能はあるガンプが、アメリカの一九五〇年代から一九八〇年代を駆け抜ける。アメリカンフットボール、ベトナム戦争への従軍、ベトナム反戦運動、卓球の選手、宇宙飛行士、プロレスラー、チェスをさしたり、ハーモニカを吹いたり、、、。悪意のかけらもなく、アメリカの歴史に巻き込まれていく。映画家されたこともあるが、なぜ、この小説がアメリカで、一九九〇年代半ばに大流行をしたのか、よくわからん。ちなみに、映画の主演は、トム・ハンクス。

最近読んだちょっと対比的な心理小説と行動小説の2冊。


京都戦争孤児追悼法要ならびに戦争孤児の方の証言&紙芝居お披露目会(2018年7月21日)

2018年07月22日 22時26分36秒 | 生活教育

7月21日(土曜日)「京都戦争孤児追悼法要ならびに戦争孤児の方の証言&紙芝居お披露目会」という長い名前の敗戦と戦後の出発を巡る会が、下京区の仏光寺大善院であった。戦争孤児の収容施設伏見寮の指導員だった佐々木元禧さんが、伏見寮で亡くなった子どもの遺骨・遺髪を大善院に預けたが、その事実が発掘されて「せんそうこじぞう」となり、毎年、追悼が行われてきたのだった。

八瀬学園の指導員・教員だった棚橋さんの聞き取りでご一緒した本庄先生のお誘いで参加した。ことしは、「障害をもった戦争孤児たちのこと」ということで、本庄さんがお話しされ、棚橋先生が話すという段取りだったが、棚橋先生が遅れられたので、前座で少ししゃべった。いろいろ盛りだくさんの会だったが、佐々木住職やその奥さんとも話ができてよかった。同時に、1969年に福岡教育大学の合唱団が歌った、八瀬学園から桃山学園にいって卒園して、働きながらも結核で亡くなった女性のことについて、そして歌がどのようにつくられ、その輪が広がったのかについて、少しわかった。そうした「はかない命」を忘れてはならない。

京都新聞2018年7月22日朝刊

 


沖縄スパイ戦史

2018年07月16日 15時36分30秒 | 映画

沖縄戦を振り返る時期になってきた。

『陸軍中野学校と沖縄戦』(吉川弘文館)が上梓された。

沖縄戦に動員された少年たち―プロローグ/沖縄に配置された陸軍中野学校出身者(陸軍中野学校/アジア太平洋戦争と遊撃隊/沖縄に配置された陸軍中野学校出身者)/少年兵「護郷隊」(やんばるの少年兵「護郷隊」/召集開始/陣地構築と教育訓練)/護郷隊の戦争(第一護郷隊の戦争/第二護郷隊の戦争/米兵の兄に助けられた少年兵と日本兵に虐殺された少年兵)/離島残置諜者(離島残置諜者とは/伊平屋島・伊是名島/粟国島と久米島/黒島と波照間島、そして与那国島)/大本営陸軍部直轄特殊勤務部隊(沖縄本島―剣隊/離島に潜伏した特務隊―宮古島班・西表島班)/陸軍中野学校と本土決戦―エピローグ

関連する映画がつくられた、「沖縄スパイ戦史」である。上映されるので、見てみたい。問題意識は、このブログで「沖縄」と検索するとでてくるが、戦後特殊教育の影の部分である。陸軍中野学校のエリート菊地少尉こと、沖縄では宮城太郎となのり、戦後、特殊教育の研究者として、戦中を語らずに過ごした人、どのような戦中・戦後と、その生涯だったのか?


加藤剛の訃報

2018年07月09日 23時00分13秒 | 映画

加藤剛が6月の半ばになくなっていたことが、今日、報道された。

7月7日、土曜日、あざみ・もみじの創立記念日で、大野松雄さんが編集した「今日も元気です」を見ていたときのこと、あざみ織り・一麦の焼き物などの東京での展示・即売会の場面でそのお客として来場していたのが、加藤剛だった(この展示会のエピソードおもしろいので、いずれ書いてみたい)。その場面が、「今日も元気です」のフィルムに残されていたのである。加藤の奥さんが、秋浜悟史の劇団30人会で活動していた女優の伊藤牧子。加藤剛の映像から、加藤剛の奥さんがあざみ織りのものをもってくれたり、お宅拝見などのところで、あざみ織りが絨毯にされてテレビで放映されたことなどを話をしていたところだった。

加藤剛の仕事は、「人間の条件」が原点だと言われる。その仕事の中に「砂の器」などある。ハンセン病の問題を提起した、この松本清張の推理小説の映画化についも考えてみたい。