ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

池井戸潤『七つの会議』集英社文庫

2016年03月27日 22時46分10秒 | 
土日と職員旅行で金沢(山代温泉)へ
車中で、池井戸潤『七つの会議』集英社文庫を読み終わった。
8章構成で、クライムノベル、とはいえ、企業の組織の隠蔽体質と危機管理が、それぞれの個人の内面をくぐらせながら記されている。
安保法制下の大学でも同じようなことが起こっているとふと思ったり…。それで、身近に感じるのだ。
個人の嫉妬、敵愾心、企業の論理、組織の非常さ…「世の中の80%の人はよいひとだ」とはいえ「その80%の人はよいひとをつらぬけない」のである。

乙川優三郎『ロゴスの市』徳間書店、2015年

2016年03月11日 23時48分07秒 | 
東日本大震災5年目の3月11日

東京の光明特別支援学校での映像資料調査にいった。
その帰りに、乙川優三郎『ロゴスの市』(徳間書店、2015年)を読み終わった。
男と女の緊張感あふれる関係の糸、男は翻訳家、女は通訳、共通するのは英語と日本語の緊張。
知的で、そして緊張感あふれるものがたりは、久しぶりに味わった。
言語のおもしろみ。

女のかける言葉が、同時通訳になり、その後、望まぬ結婚のあとに、かわっているように感じる。
男は、沈んでいきつつ、そして闇の中に入ってしまうとき。

やはり、女は、男を愛しながら、秘密をかたらずに、そして逝ってしまう。
その気配が感じられるので、読み進められなかったのだが…、やはり。

出久根達郎『古本供養』河出書房新社、2008年

2016年03月03日 22時32分20秒 | 
出久根達郎『古本供養』(河出書房新社、2008年)は、本をこよなく愛する出久根の作品。いろいろなところに書いたものを集めたもの。
その中に、「芥川を読む」がある。
芋粥、戯作三昧、地獄変、葱について書かれている。気になる作品であるが、いやな気分になるという。
出久根は、形式の多様性を追求し、技巧の中に美を見る芥川が好きではないようだ。
とはいえ、書かれていない、描かれていないものが、いいかえれば意図的に隠されているものがもよおす掻き立てる心の乱れを、芥川の作品は生起させるという指摘をしているようにおもう。
文学という創造は私たちに想像の翼を与えてくれる。書かれていないものが書いていること、語っていないものが語っていることへ想いを及ばせることが想像ということなら、それには、書いていないこと、語っていないことこそが重要なのである。