ちゃ~すが・タマ(冷や汗日記)

冷や汗かきかきの挨拶などを順次掲載

『京都上賀茂あやかし甘味処 鬼神さまの豆大福』

2025年02月06日 23時34分49秒 | 

朝比奈希夜『京都上賀茂あやかし甘味処 鬼神(きしん)様の豆大福』小学館文庫、2019年

登場する和菓子

引千切(きちぎり):京都の桃の節句には欠かせない上品な和菓子のこと。丸く延ばしくぼみを作った餅に餡やきんとんをのせたもので、その餅の一カ所が引きちぎったような形であることからこう呼ばれている。/なんでも宮中で餅菓子を作るときに手が足らず、餅を引きちぎったことから、この形になったんだとか。P.15

みたらし:黒砂糖を使った甘辛いたれのだんご。五つのだんごのうち一番上のひとつだけ離れているのは、人の形を表している。そもそもみたらしだんごは、下鴨神社境内の糺の森の御手洗池に湧き出る水の泡をかたどったのが起源だ。P.22

桜餅:関東風と関西風と異なるらしく、関西風は、つぶつぶの道明寺粉でこし餡を包む。わらに京都の桜餅の特徴としては、これを二枚の桜の葉の塩漬けで挟んであること。しかも桜餅といえば薄いピンクの餅を想像するが、京都は白に近いことが多い。P.58

玉椿:京都には欠かせない白餡を原料にした〝こなし〟と言われる生地を使ったもの。/〝こなし〟は白のこし餡に小麦粉や上用粉などを混ぜて蒸し作る生菓子。〝練り切り〟とよく似ていて見分けがつかないが、練り切りはつなぎに求肥などを使い、蒸すという工程がない。/薄い桜色をつけたこなしで餡を包み、椿の花のように成形している。P.64

三笠焼き:関東ではどら焼きというのが一般的だが―p.69

初桜:桜の花びら一枚をかたどった練り切り。P.93

菜種きんとん:餡の周りに若芽の息吹を感じる若苗色のそぼろ餡をつけ、さらには菜の花を思わせるような黄色のぞぼろ餡を散らしたもの。P.93

水無月:京都生まれの和菓子で、六月に並ぶ人気商品。〝夏越の祓え〟といって、本来は一年の半分が経過した六月三十日に穢れをはらうために食すのだが、人気があるのでいるも月の半ばから販売する。ういろうの上に小豆をのせた三角の水無月の中でも、雲龍庵のものは大きめの小豆がごろごろのっていて甘さ控えめなのが特徴だ。P.157-158

麩まんじゅう:夏の時期の和菓子。生麩で作った歯ごたえのあるつるんとした生地でこしあんを巻いた和菓子だ。クマザサで包み店頭に並べる。P.171

水ようかん:竹にはいった水ようかんは、ほのかな竹の香りも楽しめる。普通のようかんより寒天の分量を減らして作るため口当たりが柔らかいのが特徴。P.171

錦玉羹(きんぎょくかん):練り切りで金魚や恋し、水草などを丁寧にひとつづつ作り、それをほんのり青く着色した寒天に閉じ込めた、食べるのがもったいないような和菓子。少しずつ寒天を固まらせては、練り切りを置きまた寒天。そして別の練り切りを置くという作業を繰り返すので、立体的に仕上がり、本当に金魚が泳いでいるように見える。P.171-172

栗甘納豆:渋皮ごと上品な甘さに仕上げてあり、いくつでも食べられるおいしさ。P.171

お月見だんご:中秋の名月を楽しむこの時期は、お月見団子が販売される。丸くて小さなだんごを四角錐形に積み上げる地域が多いが、京都は違う。/どうやら中秋の名月は別名芋名月というらしく、里芋の形に似た細長いだんごにこし餡がまいてある。P.173

姫菊:

はさみ菊:糸切りばさみのような細工用のはさみで、練り切りの表面に一枚ずつ反ビラの切り込みをいれていく生菓子で、まるで芸術品のよう。花びらの間隔や大きさをそろえないければ美しくないので、熟練した技術が必要になる。

こなしの柿:

餡:砂糖を加えてからの練る作業が重要で、これまた職人技。気温によって練る時間を変える必要もあれば、砂糖の量によっても異なる。そして火を止めるタイミングは、…『豆に聞け』」p.268

豆大福:

「豆大福は俺たちを生かした大切な和菓子だ。」

「じいさんが俺に最初に食わせてくれたのが、この豆大福だ。これに救われて、今がある」「ふたちを拾ったときにも、これを食わせた。じいさんは、和菓子を通して俺を絶望からすくい上げてくれた」と成清と小太郎・小菊と天音の祖父との関係を語る。P.230-231