日々のことを徒然に

地域や仲間とのふれあいの中で何かを発信出来るよう学びます

おいしい

2020年04月15日 | 地域

 市内で60年続いた日本料理店が今月末で閉店、そのわけは店主ご自身の高齢化を理由に決断されたという。現役時代には外勤したとき昼食、同期との宴会、出張で来た人が瀬戸内の魚を希望すれば案内、そんなことで何度か足を運んだ店。退職してからは暖簾をくぐることはなかったが、店の前を通るとき店主の味を懐かしく思い出していた。

 ある時、出張で来た本社の同僚を案内した。刺し身を口にした同僚が「やっぱり瀬戸内海の魚はおいいしい」と口にした。「お客さん、どんなにおいしいですか」と店主から問われた。続けて「ネタに自信はありますが、経験のため皆さんに聞いておりまして」と真剣な顔だった。同僚の答えは忘れたが、代替わりして間もなくのころだった。

 「おいしい、ジューシー、うまい」など食べ物レポ番組で聞く第一声。次を待つが第一声を説明する形容詞が出てこない。一流のものだからうまいのは当たり前、どんなにおいしいのか、うまいのか見ているほうは待っているが出てこない。「おいしい料理をいただいて、おいしいだけでは言葉として貧弱です」と評した文を読んだことがる。和食料理店主の、どんなにうまいのか知りたい気持に通じる。 

 「引き際が肝心だ」、ある地位から身を引くときに使う。店主の「高齢化」が閉店というその裏には、いくつもの成し遂げたという思いがあり、引き際とされたのだろう。最近、自治体の起業支援で今風の飲食店が幾店も誕生している。そうした背景が伝統ある店舗を閉めさせることになっていなければいいのだが。本当にご苦労様でした。
コメント
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