産業廃棄物の扱いに関して、事業者が自分の敷地内で放置する場合など、法の網がかかりにくいとされる実態が多くありました。行政や警察も及び腰。
しかし、最高裁は、2月20日、厳しい判断を示しました。工場敷地内つまり所有地内で3ヶ月放置したことについて、「野ざらしは、不法投棄にあたる」としてくれました。
● 野ざらし産廃「所有地内でも不法投棄」最高裁が初判断
工場で出た産業廃棄物を敷地内に野積みしたことについて、最高裁が「産廃に管理の手を全く加えず野ざらしにするのは、たとえ一時的でも保管とは認められず、不法投棄に当たる」との初めての判断を示しました。 ・・・ 環境省産業廃棄物課によると、大規模な産廃不法投棄の発覚は、2004年度は673件、計41万トン。業者側が「一時保管」と主張して違法性を認めないケースは多いといい、同課では「最高裁決定は、行政が不法投棄者を処分する際の手助けになる」としている。(2006年2月22日 読売新聞から)
●平成18年02月20日 野ざらし 廃清掃に違反
廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件 (最高裁判所 平成16年(あ)第1683号 平成18年02月20日 第二小法廷決定 棄却)
判決全文はこちら
●(判決の要点) 理 由
1 本件の事実関係は,以下のとおりと認められる。
(2) 本件工場では,アルミニウム再生精錬過程から,汚泥,金属くず,鉱さい,がれき類等の産業廃棄物が排出されていたが,昭和51年ころから,これらの産業廃棄物のうち廃棄物処理業者に処分を引き受けてもらえないものを工場敷地内に掘られた素掘りの穴に埋め,穴が一杯になると表面を覆土し,あるいはコンクリート舗装するなどした上,新たに掘られた他の穴に同様に廃棄物を投入するということを繰り返すようになった。
(3) 本件工場で排出された廃棄物は,その都度本件穴に投入されるのではなく,いったん本件穴のわきに積み上げられ,ある程度の量がたまったところで,ショベルローダー等により本件穴の中に押し込んで投入するという手順がとられていた。そして,本件穴のわきに積み上げられた廃棄物について,これが四散したり含有されるフッ素等の物質が空中や土中に浸出したりしないように防止措置を講じ,あるいは廃棄物の種類別に分別するなどといったような管理の手は全く加えられず,山積みの状態のまま相当期間にわたり野ざらしにされていた。
(4) 産業廃棄物合計約9724kgを平成13年8月10日ころから同年11月28日ころまでの間,前後7回にわたり,同工場従業員らをして本件穴のわきに運ばせ,同所に無造作に積み上げさせた。この各行為が,廃棄物をみだりに捨てた行為として起訴されたものである。
2 本件各行為は,本件汚泥等を工場敷地内に設けられた本件穴に埋め立てることを前提に,そのわきに野積みしたというものであるところ,その態様,期間等に照らしても,仮置きなどとは認められず,不要物としてその管理を放棄したものというほかはないから,法16条にいう「廃棄物を捨て」る行為に当たるというべきである。また,産業廃棄物を野積みした本件各行為は,それが被告会社の保有する工場敷地内で行われていたとしても,生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし,社会的に許容されるものと見る余地はない。したがって,本件各行為は,同条が禁止する「みだりに」廃棄物を捨てる行為として同条違反の罪に当たることは明らかである。
| Trackback ( )
|
 |
|
|
|
|