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てらまち・ねっと



 堺市の特定図書排除の住民監査請求、その監査結果は、12月28日付け配達証明郵便で昨夜届いた。
 25ページ。その核心部は5ページほど。
 それら結果を紹介し整理する。

「3 結 論
 以上のとおり、請求人が住民監査請求の対象とした事実は存在しなくなったと判断される以上、本件の住民監査請求は主張の前提を欠くこととなり、請求人の主張を検討するまでもなく理由がないものと判断される。」

 平たく言えば、住民監査請求のときには市民が心配した状況は存在した
 でも、それら懸念される事態は、その後、なくなったので請求は「棄却」する、ということ。
 裏返せば、住民監査請求しなければ、「特定図書の排除、廃棄」という懸念された事態がんどん進行していったという可能性が極めて高い。

 なぜなら館長会議などで「BL図書に該当すると思われるものについて、閉架(書庫入れ)し、今後は収集しない、18歳未満の者には貸出ししない」と正式に意思決定したから。

 しかも、司書らの主観による極めて曖昧な「BL図書に該当すると思われるもの」とした5千数百冊、これらをその扱いにしていくことも固まっていたと思われる。
 図書館は「点検するために書庫にいれただけ」ということを口実にして、「館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認」ということ収まった。

 ともかく、見事に、予想どおりに的確に決まった住民監査請求だった。
 この予想通りの「棄却」。当初の期待通りの内容。 
 つまり、「(監査の)結果は負け」だけど「(全体の)結論では勝った」。

 監査委員のまとめは
 「特定分野の図書であることを理由とした除籍及び廃棄は、行われていないし、監査請求の対象とされている図書が廃棄されていないことは監査委員においてもこの事実を確認している。」
 
 「本件図書は9月3日以降、18歳末満の者への閲覧及び貸し出しが制限されていたが、11月14日にはこれらの制限が解除された。」

 「以上のことから、請求人が住民監査請求の対象とした事実は、存在しなくなったものと認められる。」。


 監査委員がまとめた経過(監査結果の24ページにある)の要点を抜き出せば次だ。
 1.2. 平成20年7月24日北図書館書、25日南図書館に対し、市民から電話でBL図書の所蔵等についての問題提起があった。

 3. 7月25日第2回図書館事業調整会議で、昨日からの経過報告とともに、BL図書の取り扱いについて各図書館の状況と見解を聴取し、今後の取り扱い方 針等を検討。
 
 4. 7月30日 本市HP「市民の声」Q&Aに、BL図書を公費で購入した趣旨、日的、購入冊数、購入費用に関する市民からの質問。

 5. 7月31日 中央図書館から各図書館に、BL図書を特定し、開架されているものを書庫等に集めることを指示。
 (BL図書かどうかの判断基準は明確ではなかったが、書店などで分類されている著者、シリーズ名、出版社などを参考に、BL図書に該当すると思われるものを各図書館の複数の司書が判断することとした)

 6. 8月8日 館長会議で、BL図書に該当すると思われるものについて、
   すべて閉架(書庫入れ)とすること、 
   今後は収集しないこと、
   18歳未満の者には貸出ししないこと、  を決定。

 7. 8月13日 中央図書館は各図書館に、BL図書に該当すると思われるものについて、表紙及び本文のイラスト・文章表現で性描写の表現が激しいものがないかどうかの内容確認を指示した。

 8. 8月20日 第3回図書館事業調整会議において、8月8日の館長会議で決定された事項について確認し、書庫入れの作業手順等を検討した。

 9. 8月22日 中央図書館総務課は7月30日受付「市民の声」Q&Aに回答、9月2日本市HPに掲載。

 10. 8月29日 館長会議において、BL図書に該当すると思われるものについて、18歳末満の者へ閲覧・貸出しをしないことや書庫内の一定の書棚にまとめて保管すること等を内容とする「BL資料の取扱いについて」を決定。

 11. 9月3日 8月29日の館長会議の決定内容の文書を中央図書館総務課長から各図書館長あてに通知。

 12. 11月4日 本件住民監査請求が提出された。

 13. 11月14日 館長会議において、9月3日付けの「BL資料の取扱いについて」を変更し,18歳末満の者への閲覧・貸出しは制限しないことを決定。同日、中央図書館総務課長から各図書館長あてに、変更を11月14日から実施することを通知。

 14. 11月28日 館長会議において、これまで書庫内の一定の書棚にまとめていた図書は、一般図書として取り扱うことを確認。

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監査結果の 冒頭のページ  と  25ページ の 写真
  

  ●今回の監査結果は、19ページまでが住民監査請求書の転記。
     だから  住民監査請求書 は ← このリンクにあるので省く

 それに続くデータは以下のとおり
      ◎ 監査結果 ワード版 80KB
      ◎ 監査結果 印刷用 PDF版 170KB

(この問題に関連する情報は以下でリンク)
  2008.11.05ブログ⇒ ◆堺市図書排除問題で住民監査請求/上野千鶴子「日本中、どこで同じようなことがあっても、闘うだろう」
 
 2008.11.18ブログ⇒ ◆堺の図書排除、その後のこと/大阪市立図書館は排除要求を拒絶したらしい/住民監査請求陳述/市の回答

  2008.12.29ブログ ⇒ ◆堺市の図書排除リストを公開/出版社別、著者別、文庫別各社データも/排除候補に指定された割合も

●図書館「ボーイズラブ」に揺れる 堺市、市民の不信感募る  2008/12/23 18:08 【共同通信】
 「ボーイズラブ(BL)」と呼ばれる男性同士の恋愛をテーマにした小説に、堺市の図書館が揺れている。市民の声を受けて貸し出しを制限したところ、反対に「特定の本を排除するのは問題」と非難が集中し、制限を撤回。「また突然、対応を変えるかも」と市民の不信感は募っている。
 一般的にBL小説は、1冊に数ページのイラストがある。堺市立の7つの図書館が所蔵する計約5500冊のうち、100冊程度には男性同士が裸で絡み合うような過激な描写があった。 盗難も多いため、申請があれば貸し出す閉架書庫に置いていた。
 しかし、ひっきりなしに貸し出されるため、4つの図書館では誰でも閲覧できる棚に配置。7月、「子どもが見るのにふさわしくない」との声が利用者から出た。
 図書館側は、閉架書庫に戻した上で、18歳未満への貸し出し禁止を決定。これに、住民グループが「特定の本を排除したり廃棄したりするのは、図書館ではあってはならない。政治的圧力もある」と反発。有識者も賛同し、11月に廃棄差し止めの住民監査請求が申し立てられると、図書館側は一転、18歳未満への貸し出しも認めた。
 堺市は「拙速で、判断を誤った」としている。

●公立図書館のBL本(1)過激な性描写に驚き、抗議 3年越しで動いた堺市  世界日報 20.12.19 から 大阪・堺市に住む梅村秀樹さんは、地元の図書館を愛用して十数年になる。学校の講師をする関係で、よく図書館を利用するという。歴史小説などを読むのも趣味の一つだ。
 今から三年前のこと。小説のコーナーで梅村さんが何気なく本を手にして驚いた。

 表紙に、裸の男性同士がキスをしているイラストが目に飛び込んできた。裏表紙や中のイラストを見て目を剥いた。男性の下半身に顔をうずめる構図など、もっと過激な男性同士の性行為のものがあったからだ。
 それが、少女向けに男性同性愛を描いたBL本だった。BLとは、「ボーイズラブ」の略語だ。書棚を注意深く見ていくと、BL本が数十冊、いやもっと多くの数が、書棚を占めているではないか。

 ――何で、子供からお年寄りまでが利用する公立の図書館に、こんな本をわざわざ購入して並べる必要があるのか!?
 市のホームページを通じて、梅村さんは図書館に改善を申し入れた。だが、彼の要望は黙殺され、図書館は動かなかった。
 三年前のこの出来事を、梅村さんが強く後悔したのは今年の夏だった。親戚(しんせき)の娘を伴い、近くの図書館を訪れた時のこと。偶然にも、その娘がBL本を手に取り、中を開いて驚き、梅村さんに「この本はなあに?」と聞いてきたからだ。彼の顔がこわばった。

 BL本をこのまま放置しておくわけにはいかない。そう考えた梅村さんは根気強く図書館側に、改善を申し入れた。「おたくの図書館ではこんなポルノ小説を子供に貸し出して何とも思わないのか! わが子に『勉強しに行っておいで』と言って、子供がこんな本を図書館で読んでいたら、あんたが親ならどう思うんですか?」
 三年前と同様、黙殺されてはたまらない、と考えた彼は、地元の市会議員に実情を話した。

 梅村さんの抗議と、市会議員が図書館サイドに問い合わせをしたタイミングが合って、七月末に堺市のホームページで梅村さんの意見が載った。
 「このような破廉恥な表紙の本を一般図書と同じ書棚に並べて大量開架するとは、セクハラ以外のなにものでもなく、子どもに対する影響を心配する親のことをまったく考えていないという他ありません。

 また、限られた予算の中において、図書館としては他に買い揃えるべき有益な本が他にもたくさんあります。『表現の自由』ということもありますが、だからといって文化・教養の場である図書館にこのような本を置くこと、子どもに悪影響をを与えかねない本を市民の血税により大量購入し、公共の場である図書館に開架することを正当化できるのでしょうか」
  
◇   ◇
 堺市図書館で起きたBL本騒動。果たして、教育機関である公共の図書館にBL本は適切かどうか、を追跡した。(鴨野 守)
  >>この続きは連載をご覧ください

 1. 過激な性描写に驚き、抗議 3年越しで動いた堺市 08.12.19無料公開中
 2. 「青少年に見せず」と堺市図書館 「今後、収集・保存せず」 08.12.20
 3. 図書館「要望に応えた結果」 市議「ポルノと同類、処分を」 08.12.22
 4. 「特定図書排除は検閲」 外の議員を動員し抗議 08.12.22
 5. 「書庫保管で一定の配慮」と堺市 青少年への貸出を再開 08.12.23
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(まだまだ続いているらしい)


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