ここのところ、原発と活断層のことが話題になる。
この数日のエネルギー意見聴取会での原発推進勢力や「原子力ムラ」の動きと比べて、
活断層の問題では、専門家は反省を込めてか、声を大にしている。
過去に認めた原発の立地を、根底から覆すこともありうるから、
とりあえずは画期的と思ってみている。
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●志賀原発直下「典型的な活断層」 「不適格」廃炉可能性
東京 2012年7月18日
北陸電力志賀原発1号機(石川県志賀町)の直下を通る断層が活断層であると指摘されている問題で、経済産業省原子力安全・保安院は十七日、専門家会議を開き、断層の断面図などを再検討した結果、「典型的な活断層の特徴がある」などの意見が相次いだ。保安院が再調査に踏み切る見通しになった。
原発の耐震安全審査指針では、活断層の真上に原発の重要施設を建てることを禁じており、再調査の結果によっては、志賀1号機は「立地不適格」として廃炉を迫られる可能性がある。
志賀原発1号機原子炉建屋の南西角には、「S-1断層」と呼ばれる断層が走る。北陸電力は「浸食の影響などでできた断層で、地震とは関係ない」と従来の考え方を説明したが、三人の専門家が「典型的な活断層だ。あきれてものも言えない」と、地震で動く可能性を指摘した。
一方、再稼働の準備が進む関西電力大飯原発(福井県おおい町)4号機の建屋直近の断層についても、再検討された。関電は新たに3、4号機増設の安全審査に使った写真を提出したが、いずれも断層の様子が分かりにくく「資料が不十分で安全と断定できない。さらに調査が必要だ」との意見が相次いだ。
会議後、保安院の黒木慎一審議官は「複数の専門家から指摘を受けた。重く受け止める。月内に保安院の対応を決める」と発言。両原発の再調査が確実になった。
●大飯原発の敷地内断層調査不可避 相次ぐ要望に保安院近く方針
福井(2012年7月18日午前7時08分)
関西電力大飯原発(福井県おおい町)と北陸電力志賀原発(石川県)の敷地内を走る断層の活動性を検討する経済産業省原子力安全・保安院の専門家会議が17日、東京都内で開かれ、委員から現地での再調査を求める意見が続出、再調査が避けられない状況となった。保安院は「意見は重く受け止める」としており、電力会社に対し調査を指示することも含め、近く対応を決める方針。
大飯原発は3号機が今月1日に原子炉を起動し、9日にフル稼働となった。4号機は18日に原子炉を起動する予定。
会議では、大飯原発内の破砕帯と呼ばれる軟弱な断層について「活断層の可能性を否定できる情報が出されていない」として、活断層かどうかを判断するための再調査を求める意見が相次いだ。関電側は「指摘の内容を踏まえて検討したい」と答えた。
大飯原発で問題となっているのは「F―6破砕帯」で、1、2号機と3、4号機の間をほぼ南北方向に走っている。渡辺満久東洋大教授(変動地形学)らが6月に「近くの活断層と連動して地表がずれる恐れが否定できない」と指摘。渡辺氏は現地も視察し、調査すべきだとしていた。
保安院は会議で、大飯3、4号機増設時の安全審査に使った資料や、関電が13日に新たに提出した破砕帯の写真を提示した。
写真は破砕帯を確認するために掘られた試掘溝の中で作業している場面などで、破砕帯の状態が分かりづらく、専門家からは「全体像が分からない。資料の提出にかなり問題がある」「なぜ(分かる)写真を保存していないのか」と批判が集中。「これ以上の説得力のある資料は期待できない。(活断層かどうか)判断できる調査が必要だ」との意見が相次いだ。
一方、志賀原発1号機の原子炉建屋直下を南東―北西方向に走る「S―1断層」をめぐり会議では、活断層が専門の今泉俊文東北大教授が「典型的な活断層だ。あきれてものが言えない」などと述べ、過去の安全審査に問題があったと指摘。他の委員からも現地再調査を求める意見が続出し、保安院は「速やかに検討、対応する」とした。
●エネルギー意見聴取会:電力社員ら発言者から除外…政府
毎日新聞 2012年07月17日
今後のエネルギー政策について、政府が国民から直接意見を聞く意見聴取会の発言者に電力会社の社員が選ばれた問題で、政府は17日、電力会社と関連会社の社員を発言者から除外するなどの改善策を発表した。
聴取会の会場で批判が上がったためだが、そもそも聴取会は募集対象や意義があいまいだった。電力会社社員の発言には国民の厳しい目が向けられているが、問題発生後、泥縄式に対策を講じる政府の姿勢には識者から疑問の声も上がっている。
◇政府、準備不足否めず 電力会社にも批判
聴取会は今後のエネルギー政策を決める上で、政府が策定した30年の総発電量に占める原発比率を0%、15%、20〜25%とする三つの選択肢について、国民の意見を聞く場として設けられた。
14日から8月4日まで11都市で開催中だ。
発言希望者は、専用ホームページから参加会場と、どの選択肢に対して意見を表明するかを選び、表明する意見の概要を記述する。運営事務局を務める広告代理店が無作為抽選して決めるが、16日の回までは各選択肢に3人ずつの発言者を選んだ。ただ、傍聴者に対するアンケートでは0%について意見表明を希望する回答が多いため、22日の札幌、大阪両市の聴取会では、3人増やす発言者をすべて0%の意見聴取にあてる。その後は、選択肢以外の意見表明を求める声にも対応する予定だ。
15日に発言した東北電力企画部長と16日の中部電力の課長級社員はそれぞれ「個人」の立場で聴取会に応募。企画部長は「会社の考えをまとめて話す」と述べた上で、20〜25%案を支持する立場から意見を述べた。課長級社員は「福島の原発事故による放射能の影響で亡くなった人は一人もいない」「(政府は)原子力のリスクを過大評価している。このままでは日本は衰退の一途をたどる」などと持論を展開。国民の電力会社に対する厳しい視線を認識していないかのような発言に、いずれの会場でも出席者から「やらせだ」など批判的な声が飛んだ。
ただ、政府は参加対象に制限は設けていなかった。2回連続で電力会社の社員が発言したことを受け、「団体や組織のご意見ではなく、個人としてのご意見表明をお願いします」とする一文を加えることを17日決めたが、準備不足は否めない。
政府は国民に意見を求めているが、「必ずしも最終的に三つの(選択肢の)どれかということで固定しているわけではない」(枝野幸男経済産業相)として、選択肢のどれか一つを選ぶことも確約していない。聴取会などを通じ、国民の意見を政策決定にどう反映するかも不透明で、国民からの信頼を失いかねない。【久田宏、種市房子】
●経産省、電力会社の関与調査へ 原発聴取会での社員発言
朝日 2012年7月17日18時3分
枝野幸男経済産業相は17日の記者会見で、エネルギー政策について政府が国民の意見を聞く意見聴取会で、発言者に電力会社の幹部らが含まれていたことについて、「組織的に対応していたとすれば許されない」と述べ、電力会社に対し、経緯を調査する考えを示した。
藤村修官房長官と「エネルギー・環境会議」を担当する古川元久国家戦略相も、聴取会の運営方法を見直すことを明らかにした。17日中に改善策をまとめるという。
聴取会では、15日の仙台市で東北電力幹部が、16日の名古屋市で中部電力社員が、将来の原発依存度の3選択肢のうち「20~25%」を支持する発言をした。聴取会は8月上旬まで計11都市で開くが、意見表明は希望者から無作為、抽選で選んでいる。
枝野氏は「電力会社の代表として発言すれば、どのように受け止められるか。感度のなさには非常に疑問を持っている」と述べた。
●電力社員の意見表明認めず=「疑念生じさせるな」と首相指示―エネ政策の聴取会
ロイター・時事 2012年 7月 17日 21:26 JST
政府が主催する将来のエネルギー政策に関する意見聴取会で電力会社社員が原発推進の意見を述べた問題で、政府は17日、電力会社や関連会社の社員による意見表明を認めない方針を決めた。野田佳彦首相が、首相官邸を訪ねた古川元久国家戦略担当相に「聴取会に対するいささかの疑念も生じさせてはいけない」と指示した。
聴取会で意見表明する人は、申込者からコンピューターで抽選している。22日に札幌、大阪両市で開く次回聴取会からは、当選段階で確認し、電力会社などの社員の場合は参加を断る。参加を受け付けるホームページなどで、団体組織ではなく個人として意見を述べるよう要請する。
また、枝野幸男経済産業相は18日、インターネットなどを通じたパブリックコメント(意見募集)への組織的対応を自粛するよう、電力各社を指導する。
その一方で、聴取会で意見表明する人数を現在の1会場当たり9人から12人に増やす。政府は2030年の原発比率を0%、15%、20〜25%とする三つの選択肢を示しているが、傍聴者に対するアンケート調査では、0%について意見表明を希望する回答が多い。このため札幌、大阪両市の聴取会では、増やす3人をすべて0%への意見表明に充てる。
三つの選択肢以外について意見表明を望む声もあり、28日の富山市での聴取会以降は、そうした声に対応する枠も設ける。
聴取会は来月4日まで全11市で開催予定。しかし、15日の仙台市で東北電力執行役員、16日の名古屋市では中部電力課長が原発推進の意見を表明し、批判が出ていた。
[時事通信社]
●【社説】原発意見聴取会 国民的議論に値せず
中日 2012年7月18日
福島原発事故を経て、私たちは変わらなければならないはずだ。
国民的議論の上で未来のエネルギー政策を決めるというのも、その一つ。だが、政府も電力会社も、その体質は変わっていない。
これが、国民的議論の実態なのだろうか。
仙台市で開かれた二回目の意見聴取会から、迷走が始まった。
東北電力の執行役員が「会社の考え方」として、堂々と原発推進論を開陳した。翌日の名古屋でも、中部電力原子力部の課長が「放射能の直接的な影響で亡くなった人は一人もいない」と述べた。
聴取会は二〇三〇年の原発依存率について、あらかじめ政府が提示した0%、15%、20~25%の三案を支持する応募者の中から、各三人ずつを選んで意見を聞く。両会場とも、発言を希望した人は、0%支持者が圧倒的に多かった。
全国十一カ所の意見聴取会は、普通の人の声を聞く貴重な機会であるはずだ。
電力会社の幹部といえば、意見を聞いて参考にする立場である。
それが、真顔で「会社の考え」を述べるとは、考え違いも甚だしい。
消費者の心の内などわきまえない巨大電力会社の実態が、透けて見えるようではないか。
選んだ政府も政府である。このように疑問と不信を招く聴取会にしたことに、政府の不実、不熱心すら想像される。
電力会社の本店所在地に偏った会場の選び方といい、はじめに結論ありきの「やらせ」、あるいはただの「通過儀礼」ではないのかと、疑問を持たれても仕方がない。
九州や北海道で開かれたプルサーマル発電の導入をめぐる公開討論会やシンポジウムなどに、電力会社社員が動員されたやらせ問題は、まだ私たちの記憶に新しい。
そもそも、全国で百人足らずの意見を各八分間、しかも三者択一で聞いて、一国のエネルギー政策を決めようという基本姿勢に無理がある。
同時に募集中のパブリックコメント(意見公募)が、どのようにいかされるのかも定かでない。
政府は今後、電力会社の職員は意見表明をできなくし、発言者の数を若干増やす。だが、その程度では、もう国民の多くは納得しない。
国民的議論と言うのなら、今は結論を急がす、原発推進、反対、中立などさまざまな主体が運営する議論の場をもっと数多く開催し、不信の溝を丁寧に埋めていくしかない。
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