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てらまち・ねっと



 新潟県知事選は選挙期間後半の猛追で野党候補が勝った。しかも、原発再稼働反対と争点を明確にしたからこその逆転。再稼働には県の同意が必要だから決定的。
 「無党派層が動けば政治は変わる」との評価も出ている。
 安倍政権、自公政権は原発がネックとなることが明確になりつつある。
 相変わらず民進党は連合が自民候補を応援したことで自主投票、最後に蓮舫代表が応援に入る、というきわどさ。

 そこで、状況を報道から記録するとともに、原発推進の読売、産経などの主張も記録しておく。

 ロイター★≪新潟県知事に反原発派の米山氏 「柏崎再稼働は認めず」/再稼働反対を鮮明にしている無所属の新人で医師・弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が前長岡市長の森民夫氏(67)=自民、公明推薦=を抑えて初当選した。・・東電に対して厳しい姿勢を取ってきた泉田裕彦知事の立場を引き継ぐ姿勢を改めて強調した。≫
 
 tbs★≪新潟知事に米山氏「原発再稼働認められない」/安全審査が大詰めを迎えている柏崎刈羽原発の再稼働について、JNNの調査では61%が反対しています。再稼働には新潟県の同意が必要で、米山氏も慎重姿勢を取るものとみられています。≫

 日刊ゲンダイ★≪新潟県知事選 安倍内閣の原発政策と謀略に有権者が鉄槌/無党派層が動けば政治は変わる/投票率は、前回の43.95%から10ポイント近く上昇した。無党派層が選挙に行って怒りの一票を投じれば、巨大権力がどんな汚い手を使っても太刀打ちできないということが証明された。これは大きな希望になる。権力の横暴を有権者の良識が止める。この国の民主主義は首の皮一枚でつながったのだ。政府の原発推進政策にとって目の上のタンコブだった泉田を出馬断念に追い込み、余裕をかましていた自民党は、原発慎重派の米山が猛烈な追い上げを見せたことに焦り、なりふり構わぬ選挙戦を展開した。・・問題は、この選挙結果で今後の政治がどう変わるかだ。安倍独裁政権の暴走が止まるのか。野党共闘は次のステージに進むのか。民意無視で再稼働ありきの悪魔的な原発行政は、本当に見直しを迫られるのか≫

 読売▽≪新潟県知事選 柏崎再稼働は冷静に議論せよ≫
 産経▽≪原発の「知事リスク」強まるか 中長期的なエネルギー政策の立案困難に/原子力規制委員会の安全審査に合格しながら、地元の判断で原発が動かせなくなる「知事リスク」が再び顕在化しそうだ。定期検査中の九州電力川内原発1号機(鹿児島県)などにも影響が広がれば、中長期的なエネルギー安定供給にも支障が出る恐れがある。≫

 ブルームバーグ★≪東電株急落、一時8.6%安/新潟県知事に原発再稼働反対の米山氏 同社の株価は、原発再稼働に慎重だった現職の泉田裕彦知事が出馬撤回の意向を示したことで8月31日に急騰していた。≫

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●新潟県知事に反原発派の米山氏 「柏崎再稼働は認めず」
        ロイター 2016年 10月 17日
 10月17日、東京電力柏崎刈羽原発(写真)の再稼動問題などが争点となった新潟県知事選挙は16日、投開票され、再稼働反対を鮮明にしている無所属の新人で医師・弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が初当選した。

[新潟市 17日 ロイター] - 世界最大の原子力発電所、東京電力(9501.T)柏崎刈羽原発の再稼動問題などが争点となった新潟県知事選挙は16日、投開票され、再稼働反対を鮮明にしている無所属の新人で医師・弁護士の米山隆一氏(49)=共産、自由、社民推薦=が前長岡市長の森民夫氏(67)=自民、公明推薦=を抑えて初当選した。

米山氏は同原発の再稼働について、「約束した通り、皆さんの命と暮らしを守れない現状で認める事はできない」と明言。東電に対して厳しい姿勢を取ってきた泉田裕彦知事の立場を引き継ぐ姿勢を改めて強調した。

同選挙は3期12年務めてきた泉田知事の任期満了に伴って行われた。泉田氏は8月末に出馬見送りを表明、原発推進派には柏崎刈羽再稼働への道が開けるとの期待が広がった。しかし、選挙戦中盤以降、再稼働反対を掲げる米山氏が急速に支持を広げ、森陣営の楽観ムードは一転。石破茂氏ら自民党国会議員の応援も功を奏さず、米山氏の勝利が決まった。

原発再稼働は、地元県知事の同意がなければ実施は極めて難しい。米山氏の当選により、いまも全7基が停止している柏崎刈羽原発の再稼働問題の先行きは一段と不透明感になる可能性がある。

今回の選挙結果について、元経産省官僚で原発再稼働に批判的な古賀茂明氏は、「柏崎刈羽だけでなく、全国の原発再稼働に影響を与える結果だ」と指摘。その一方で「県議会は圧倒的に自民党。県議会と完全に対立すると(政策が)動かなくなる」と述べ、同原発再稼働をめぐる賛成派と反対派のせめぎ合いはさらに続くとの見方をしている。

新潟県選挙管理委員会の開票結果によると、同知事選の投票率は53.05%。米山氏は52万8455票を獲得し、52.2%の得票率だった。

●新潟知事に米山氏「原発再稼働認められない」
      tbs 17日
 新人4人の争いとなった新潟県知事選挙は、野党3党が推薦した米山隆一氏が初当選しました。一夜明け、米山氏は、柏崎刈羽原発の再稼働について改めて現状では認められないとしました。
 初めて原発が争点となった新潟県知事選。野党3党が推薦の米山隆一氏が、自・公推薦の前長岡市長・森民夫氏を破り、初当選しました。
 一夜明け、20日ぶりに愛犬の散歩をしたという米山氏。原発の再稼働について次のように話しました。
 「訴えさせていただいた通り、県民の生命や暮らしが守れない現状において『原発再稼働は認められない』というふうに考えております」(米山隆一氏)
 安全審査が大詰めを迎えている柏崎刈羽原発の再稼働について、JNNの調査では61%が反対しています。再稼働には新潟県の同意が必要で、米山氏も慎重姿勢を取るものとみられています。

 「我々の考え方と違う方向に行った場合は、チェックをして是々非々で対応していきたい」(自民党新潟県連 柄沢正三幹事長)
 新潟県議会は、53人中、自民党議員が3分の2を占めていて、厳しい舵取りが予想されています。

 「与党が支援した候補が敗れたことは大変残念なことであります。結果が示された以上、米山新知事、そしてまた新しい新潟県政に対して、国として協力していくことは当然のことだろうと思います」(安倍晋三総理大臣)
 安倍総理は、国会答弁で新潟県知事選挙の結果についてこのように述べました。

●新潟県知事選 安倍内閣の原発政策と謀略に有権者が鉄槌
         日刊ゲンダイ 2016年10月17日
・・・・・(略)・・・
「県民の安全を最優先し、原発再稼働を進める国に対してモノを申してきた泉田知事の不可解な出馬取りやめに、県民は疑問を感じていたはずです。その結果、泉田路線を継承すると宣言した米山氏に支持が集まった。決定打になったのは、13日に安倍首相が官邸で泉田知事と面会したことでしょう。敵対するなというドーカツなのか、何らかの密約で懐柔しようとしたのか、いずれにせよ、自民党と原子力ムラは汚いという印象を県民に与えた。こうした権力をカサにきて新潟県民をバカにするような動きが、寝た子を起こすことになったのではないでしょうか」(政治評論家・野上忠興氏)

■無党派層が動けば政治は変わる
 新潟県知事選の投票率は53.05%と、前回の43.95%から10ポイント近く上昇した。無党派層が選挙に行って怒りの一票を投じれば、巨大権力がどんな汚い手を使っても太刀打ちできないということが証明された。これは大きな希望になる。権力の横暴を有権者の良識が止める。この国の民主主義は首の皮一枚でつながったのだ。

政府の原発推進政策にとって目の上のタンコブだった泉田を出馬断念に追い込み、余裕をかましていた自民党は、原発慎重派の米山が猛烈な追い上げを見せたことに焦り、なりふり構わぬ選挙戦を展開した。


 終盤には、「共産党・生活の党・社民党主導の知事では、県政が大混乱し、新潟県は国から見放されてしまいます!!」「赤旗を県庁に立てさせてもいいのですか?」などと書いたビラが全県にまかれた。これが自民党の法定ビラというから驚く。

 念のため言っておくと、新潟県旗はもともと赤い。的外れな中傷は、県民の反感を呼んで、自民が白旗を揚げる要因になるだけだった。

 党幹部も大量投入。古屋選対委員長は告示後3回も新潟入りし、「エネルギー政策も原子力政策もただ反対、批判するだけでは何も生まれない」「何よりもこの知事選で絶対に勝たなければならない」と叫んだ。二階幹事長も12日に新潟を訪れ、土地改良関連団体や建設業協会など企業・団体を回って締め付け、支援を要請した。
・・・(略)・・・
原発再稼働の是非が正面から問われ、争点そらしができない選挙で、野党と脱原発の民意が勝った画期的な選挙なのです。米どころの新潟ではTPP反対の声も根強い。自公推薦の森氏がアピールした公共事業バラマキに対する批判もあった。足元が定まらない民進党が自主投票にしたことで、安倍政権との違いを明確に打ち出せたことが勝因です。旧来型の利益誘導政治に鉄槌を下し、横暴政権に対峙するモデルケースになり得ます」

 問題は、この選挙結果で今後の政治がどう変わるかだ。安倍独裁政権の暴走が止まるのか。野党共闘は次のステージに進むのか。民意無視で再稼働ありきの悪魔的な原発行政は、本当に見直しを迫られるのか。
・・・(略)・・・
「会社の存亡がかかっているから、東電や原子力ムラは、あらゆる手を使って柏崎刈羽を動かそうと画策してくるでしょう。ただ、7月の鹿児島県知事選でも九電・川内原発の一時停止を求める三反園訓氏が当選していて、これだけの民意が示された以上、あまりにも強引な進め方はできなくなったと思います」(横田一氏=前出)

 当然、原発推進の安倍官邸にも大打撃だ。ただでさえ、支持率が下落傾向にある中で、安倍自身がわざわざ泉田と会うなどシャシャリ出てきたのに惨敗。痛恨の新潟ショックだ。

「民主主義を愚弄してきた政権の自業自得ですよ。世論をバカにしてはいけない。傲りには必ず綻びが生じることを示した選挙結果でした」(野上忠興氏=前出)

 こうなると、大メディアが煽りまくっている解散どころの話じゃなくなってくるのではないか。
「自民党に真っ向から対抗する勢力があれば、民意の受け皿になる。物事の強引な進め方や国会論戦での詭弁を見て、安倍政権の一党独裁がいかに危険かということを有権者も理解してきたはずです。新潟の選挙結果は、巨大与党の暴走に一石を投じ、今後の政局に少なからぬ影響を与える。田中角栄本がブームになっているタイミングで、新潟から新しい政治がスタートすることには、歴史的な必然性を感じます」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)

 民主主義を守る戦いは、なんとか第一関門を突破した。こうなったら、支持率を急落させる二の矢、三の矢が必要だ。一強多弱といわれていても、支持率が下がれば、さすがに好き放題はできなくなる。パフォーマンスとイメージ戦略だけの無能政権なんて、有権者の怒りの前にはひとたまりもないのだ。

●新潟県知事選 柏崎再稼働は冷静に議論せよ
   読売 2016年10月17日
安全性が確認された原子力発電所は、着実に再稼働する必要がある。新知事には、冷静な検討を求めたい。
・・・(略)・・・

●【新潟県知事選】原発の「知事リスク」強まるか 中長期的なエネルギー政策の立案困難に
      産経 2016.10.17
 新潟県知事選で東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働に慎重な米山隆一氏が初当選したことで、原子力規制委員会の安全審査に合格しながら、地元の判断で原発が動かせなくなる「知事リスク」が再び顕在化しそうだ。定期検査中の九州電力川内原発1号機(鹿児島県)などにも影響が広がれば、中長期的なエネルギー安定供給にも支障が出る恐れがある。

 「今回の結果を見て、(鹿児島県の)三反園(訓)知事はどう反応するだろうか」

 九電関係者は戦々恐々としている。

 三反園知事は今年7月、「川内原発の停止」を公約に掲げて知事選に初当選すると、2度にわたって九電に川内原発の即時停止を要請した。知事に原発を止める法的権限はなく、九電は即時停止には応じなかったが、今後、新潟県知事選の結果に意を強くした三反園知事が再び強硬姿勢に出る可能性もある。

 一方、柏崎刈羽6、7号機の安全審査は終盤に入っており、合格は早ければ来年の見通しだが、米山知事の同意を取り付けるのは難しくなった。再稼働の遅れは東京電力ホールディングス(HD)の経営再建に打撃となるため、17日の東京株式市場では、東電HDの株価終値が前週末比33円(7.9%)安の385円と急落した。

 大手9電力が規制委に安全審査を申請した原発は26基で、現時点ではそのうち2基が運転中。政府は原発を重要なエネルギー源と位置づけ、平成42年度に電源比率に占める割合を2割強まで回復させる目標を掲げており、知事リスクが“伝染”すれば中長期的なエネルギー政策が土台から揺らぎかねない。

 経済産業省幹部は「知事の説得はどの原発でも大きなネックになる。(新潟のように)議論すらできない状況が全国に広がることは避けたい」と漏らす。

●東電株急落、一時8.6%安-新潟県知事に原発再稼働反対の米山氏
        ブルームバーグ 2016年10月17日占部絵美、稲島剛史
一時8月30日以来の安値、泉田知事の出馬見送り発表以前の水準
政府の原発比率引き上げ目標に影響も:専門家

東京電力ホールディングスの株価が急落している。16日の新潟県知事選挙で同社の柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に反対する医師の米山隆一(49)氏が当選したことで、原発再稼働による収益の改善が遠のくとの観測が強まったことが売りを誘った。
  東電HD株は17日、一時前週末比8.6%安の382円と8月30日以来の水準まで下落。同社の株価は、原発再稼働に慎重だった現職の泉田裕彦知事が出馬撤回の意向を示したことで8月31日に急騰していた。

  知事選は共産、自由、社民3党が推薦していた同氏と、与党が推薦した森民夫(67)前長岡市長との一騎打ちとなった。新潟県選挙管理委員会がウェブサイト上で発表した資料によると米山氏の得票数は52万8455票、森氏は46万5044票だった。
  東電HD広報担当の宇佐美博之氏は17日、新潟県知事選の受け止めについて「福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を踏まえ、柏崎刈羽原発で講じている安全対策などについて引き続きしっかり取り組んでまいりたい」とコメントした。現時点では同社幹部と新知事の面会予定は決まっていないという。

  米山氏は「福島原発事故の検証なしに再稼働の議論はできない」と訴えていた泉田知事の路線を継承。NHKの報道によると、米山氏は当選後に「原発再稼働の話がきっとすぐに来るが、約束したとおり命と暮らしを守れない現状で認めることはできないとはっきり言わせていただく」と支援者らに話した。選挙公報などによると同氏は魚沼市出身。東京大学医学部卒で、1999年の東海村の臨界事故時には放射線医学総合研究所当直医を担当していた。
政府、考え方は変わらず

  米山氏のこういった発言に対し、菅義偉官房長官は17日午前の会見で「原発の再稼働については何よりも安全が最優先」とし、「原子力規制委員会において新規制基準に適合すると認められた場合にのみ、その判断を尊重して地元の皆さんのご理解を得ながら再稼働していく。その考え方に変わりない」と述べた。

  東電HDにとって同原発6、7号機の再稼働は最大で年2400億円の収益改善効果をもたらす。原油価格の下落により2016年3月期の営業利益は3年連続の増益となったが、ひとたび高騰すれば燃料費の増大は大きな圧迫要因となるため、原発再稼働は経営の安定化につながる。膨らむ廃炉の費用も東電HDの経営に重くのしかかっており、広瀬直己社長は今月、廃炉費用を一括計上すると債務超過に陥る可能性があると窮状を政府に訴えていた

エネルギー政策にも影響
  今年4月に東電HDの格付け見通しをポジティブ(格付けはBBマイナスに据え置き)に見直した米S&Pグローバル・レーティングの柴田宏樹主席アナリストは「アップサイドの見通しが難しくなった」と述べた。信用力や格付けを安定化させるためには、業績改善と資金調達の安定化の2つの視点が重要だと指摘する。しかし、業績の改善が期待できる原発再稼働が今回の知事選で遠のいただけでなく、当初は16年度中を目指していた社債発行の再開にも暗雲が立ちこめていると話した。

  エネルギー関連のコンサルティング会社スキッピングストーンのトム・オサリバン氏は電子メールで、再稼働に懸念を示す米山氏の知事就任で、柏崎刈羽原発再稼働の「不確実性が高まった」とコメント。原発事故以降、日本全体で原発再稼働のペースは「残念な状況」にあり、「2030年度に原発の構成比率を20%を上回る水準に引き上げ、エネルギー自給率の改善も目指すという政府の方針にも影響を与える」と指摘した。

  ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリストのジョセフ・ジャコベリ氏は、米山氏の当選による柏崎刈羽原発の再稼働の遅れは「恐らく数年間」に及ぶ可能性があると指摘する。これまで原発に代替する原油や天然ガス、石炭などの燃料費用は総括原価方式により電力料金に転嫁でき、電力会社のコスト負担軽減は容易だった。「今後、電力システム改革の進展とともに同制度が廃止されると、電力小売り事業の競争力の観点から、コストをどう管理するかということが東電にとって重要な課題となる」とコメントした。

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