「自治体で働く非常勤職員 来春から新制度に移行」という見出しの記事がネットにあった。偏見や先入観はいけないけれど、それが日経(2019/7/24)なので意図が気になる。冒頭の数行しか出ていないけど狙いは・・・と気になっていた。
そしたら先日、基本方向が信頼に足る(という先入観をもつ)河北新報が、 ★≪国の新制度で非正規職員にもボーナス 財源は? 東北の自治体に危機感≫としていた(8月16日)。
そんなこともあって、幾つかを整理しておく。
●2020年4月「会計年度任用職員制度」導入/自治労きょうと 2018年7月15日号/(第774号)/2019年には会計年度任用職員の募集が始まる。各自治体でそれまでに制度の設計、条例改正、予算の確保などが必要/法改正の趣旨は処遇改善だが、当局が処遇改善に消極的な場合、フルタイムから短時間への置き換えや非正規職員数の削減、民間委託化の動きなど、制度の趣旨から外れる改悪も
●Q&A/非正規職員の業務を民間委託?/総務省マニュアル/自治体に混乱招く恐れも/連合通信社 2019.6.19/来年4月の実施に向けて、遅くても9月議会での条例改正/新たな一時金支給などに必要な財源をどうするかが課題/民間委託によって新制度導入を回避する動き
●【論文】「会計年度任用職員」導入による公務員制度の大転換/自治体問題研究所 2018年4月15日 坂井雅博
なお、今朝の気温は24度。予測通り雨が降り出した。昨日8月19日の私のブログへのアクセス情報は「閲覧数5,455 訪問者数1,765」。
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●自治体で働く非常勤職員 来春から新制度に移行
日経 2019/7/24
地方公務員法などの改正を受けて、自治体で働く非常勤職員の多くが2020年4月から「会計年度任用職員」に移行する。
一般公務員と同様守秘義務などを課す一方、新たに期末手当を支給できるようにする。都内自治体で関連条例の制定が広がっている。
日本最大の自治体、東京都。都の職員数は知事部局で約2万4500人、教育や警察、消防も合わせると17万人に上る。
これが対外的に公表される人数だが、これとは別に知事部局で・・・・(以下、略)・・・ |
●国の新制度で非正規職員にもボーナス 財源は? 東北の自治体に危機感
河北 2019年08月16日
2020年4月に制度が始まる会計年度任用職員の人件費負担に自治体が戦々恐々としている。制度導入で非正規の地方公務員が期末手当(ボーナス)などの支給対象となって人件費が大幅に増えるのに、国と自治体の負担割合がいまだに決まっていないためだ。東北の自治体からも「国の計画通りにやるのは困難だ」との声が出てきた。
「市の人件費は10億円近い増額になる」。7月下旬にあった秋田県副市長会の会合で、秋田市の石井周悦副市長が危機感をあらわにした。
秋田市は非正規職員2280人のうち1949人が20年度、会計年度任用職員に移行する予定。期末手当の支給で20年度の人件費は7億2500万円増額となる。翌21年度には経験年数による昇給が加わり、19年度比で9億2300万円増える見込みだ。
非正規職員が約1200人いる横手市は19年度に16億円の人件費が、20年度は22億円に膨らむ。19年度一般会計当初予算が計560億円の市で「財政的になかなか厳しい」と菊地浩昭人事課長は頭を抱える。
17年5月に地方自治法と地方公務員法が改正され、会計年度任用職員制度の20年度施行が決定した。国は関連条例の改正を自治体に求める一方で、費用分担をどうするかを明らかにしていない。
秋田県内のある市の担当者は「制度の趣旨は分かるが『じゃあ(増額分を)どこから出すんですか』と言いたくなる」とこぼす。
16年の総務省調査で非正規の地方公務員は全国で64万人に上り、地方公務員全体の4分の1程度を占めた。自治体の事務補助職員や保育士、小中学校の学習支援員などあらゆる行政サービスに広がる。会計年度任用職員の対象には地域おこし協力隊員も含まれる。
自治体は全国市長会などを通じて国に十分な財政措置を求めているが、総務省の担当者は「財政当局と調整して決める。現時点では何も申し上げられない」と言う。
[会計年度任用職員]民間企業の「同一労働同一賃金」を目指す政府方針に沿い、地方自治体の非正規職員の任用根拠として新たに位置付けられた。臨時・非常勤職員の大部分が対象となり、自治体間でばらばらな勤務条件が統一化される。期末手当などの支給によって正職員との格差解消につなげる。
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●2020年4月「会計年度任用職員制度」導入
自治労きょうと 2018年7月15日号(第774号)
・・・(略)・・・
今回の法改正は、任用根拠を厳格化・明確化するとともに、新たな一般職非常勤職員制度として「会計年度任用職員」を導入するもの(図1)。具体的にはこれまで自治体の職場で嘱託やアルバイトと呼ばれていた人たちが、新たに会計年度任用職員として「フルタイム職員」と「短時間職員」に区分される。任期は会計年度の範囲内でとなる。これまで明確な法的根拠がなかった手当の支給は、フルタイムは各種手当、短時間は期末手当のみ支給が可能となる。ただし、①専門性の高い職種の特別職非常勤職員(地公法3条3項3号)②欠員が生じた場合に限定され、フルタイムのみの任用となる臨時的任用職員(地公法22条)は、該当しない。
2020年4月1日に改正法が施行されるが、2019年には会計年度任用職員の募集が始まる(図2)。各自治体でそれまでに制度の設計、条例改正、予算の確保などが必要となる。法改正の趣旨は処遇改善だが、当局が処遇改善に消極的な場合、フルタイムから短時間への置き換えや非正規職員数の削減、民間委託化の動きなど、制度の趣旨から外れる改悪も想定される。
・・・(以下、略)・・・
●Q&A/非正規職員の業務を民間委託?/総務省マニュアル/自治体に混乱招く恐れも
連合通信社 2019.6.19
総務省は、会計年度任用職員制度の導入に関わる事務処理マニュアル(Q&A)の内容を追加し、6月10日に通知した。非正規職員を新たな制度に移行させず、これまで担ってきた業務を民間委託してもいいと読める。新制度導入に向けて準備している自治体に混乱を招く恐れはないのだろうか。
●島田市の事態を受けて
Q なぜ今、追加したの?
A 今年3月、静岡県島田市が会計年度任用職員制度を回避するため、非正規職員の業務を民間委託しようとした計画が頓挫した。与党を含む全会派が関連予算案を否決したんだ。この事態を受けてQ&Aの内容を追加した。
Q どういうこと?
A 二つの可能性が考えられる。一つは、財政が厳しいことを理由に、新制度への移行を回避してはならないことを徹底するため。島田市のような対応は駄目という意味だ。
●民間委託を諦めず
Q もう一つは?
A 現在、自治体の多くは新制度導入に向けて準備中だ。中には業務の民間委託を検討する自治体もあったが、島田市で頓挫したため、その動きにストップがかかったといわれている。総務省は以前から、民間委託推進の旗を振ってきた。今回の追加は、民間委託という選択肢があり得ることを、あらためて明らかにしたのだとみることもできる。
Q 自治体は迷うかも。
A そうだね。「十分な検討をした上でなら民間委託してもいいんだ」と受け止めないよう、自治体側に念押ししておく必要がある。Q&Aの回答の後半部分、つまり「島田市のやり方をまねるな」という点を共通認識にしたい。
Q でも、民間委託の可能性は残る。
A 効果や効率性だけで民間委託の是非を判断するのは安易過ぎる。東京の足立区では戸籍窓口業務の民間委託について、職員が委託会社社員に業務指示する仕組みが、東京労働局から「偽装請負であり、労働者派遣法違法」とされ、是正指導を受けている。公共サービスを民間委託すれば、同じ問題が起きかねない。
臨時職員、一般職非常勤職員、特別職非常勤職員と名称も任用(雇用)根拠も異なる非正規職員を一本化する新たな制度。契約期間を「上限1年」と明記するなど改悪部分がある一方で、一時金(期末手当)の支給を可能にしました。来年4月の実施に向けて、遅くても9月議会での条例改正が求められています。ただ、新たな一時金支給などに必要な財源をどうするかが課題。総務省は財源措置を行うというものの、予断を許しません。島田市のように、民間委託によって新制度導入を回避する動きも懸念されています。
●【論文】「会計年度任用職員」導入による公務員制度の大転換
自治体問題研究所 2018年4月15日 坂井雅博 自治労連新潟公務公共一般労働組合執行委員長
月刊『住民と自治』 2018年5月号 より
自治体の非正規職員は、いまや公務の中心的担い手です。2年後に実施される「会計年度任用職員」制度は、自治体職員の働き方と仕事にどのような影響を与えていくのでしょうか。
はじめに
2017年、地方公務員法と地方自治法が改定され、2020年4月から自治体の非正規職員に「会計年度任用職員」が導入されることになりました。
今回の法改定の内容は、住民のいのちと暮らしを守り地方自治の担い手である地方公務員制度の大転換です。また、公務運営のあり方そのものをも、変質させる危険性を含んでいます。
各自治体では、総務省の「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」(以下「マニュアル」)に沿って、準備がすすめられています。そこで、会計年度任用職員の導入が、自治体労働者の働き方や公務にどのような影響を与えるのかという視点から考えてみました。
地方公務員法・地方自治法「改定」の背景
・・・(以下、略)・・・
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