tetujin's blog

映画の「ネタバレの場合があります。健康のため、読み過ぎにご注意ください。」

小説 デジャ・ヴ(グロ注意)

2006-12-02 21:45:46 | エッチ: よい子は立ち入り禁止
2.メッシーナへ
タカオカの話に、彼と向かい合わせて座っていたシラカワ・アヤカとスガヤ・ヨーコは、おびえた様子で互いに顔を見合わせた。ぼくらは、ローマ・ティブルティーナ(Tiburtina)駅から、シチリアのメッシーナへ向かうインテルシティ(IC)の車内にいた。20:55出発予定のこの列車は、イタリアの国らしく15分遅れて出発し、予定では翌朝5:20にメッシーナ中央駅に到着予定である。列車の6人がけのコンパートメントに乗り込んだのは、一人旅中のぼくと、ティブルティーナ駅でばったり会ったタカオカ・シンヤとニシザキ・ヒロミツのバックパッカーコンビ。そこに、女性の2人組のシラカワ・アヤカとスガヤ・ヨーコが加わった。
ローマからイタリア半島の突端の町パレルモへ鉄道の旅を目指していたぼくは、駅のインフォマシオンでウロウロしていたタカオカに行き先を聞かれ、「シチリア」と答えた。ローマからどこへ行こうか思案中で、観光スポットなどの情報を欲しがっていたタカオカとニシザキに、ローマから9時間、1泊ホテル代を浮かせられると説明したら、「じゃあ一緒に」ということになった。そして、ぼくら3人がいっしょになって駅の構内をウロウロしているところへ、彼女ら二人組みが同じように声を掛けてきて結局、総勢5名のグループとなってシチリアを目指すことになった。ただし、アヤカとヨーコは、シチリア島の入り口メッシーナを基点としてタオルミーナなどの観光地を巡るつもりらしい。ぼくらも、急遽、行き先をパレルモから少し手前のメッシーナに変更した。
やはり、9時間もの時間同席する人は、安心のおける人々であってほしいもので、連れが外人などの特殊な場合以外は日本人旅行者が数名のグループをつくって列車に乗ることが多い。ただ、そうすると、残念なことにせっかくの外国語の学習の機会を逃してしまう。ぼくは、ほとんどイタリア語ができないが、他のコンパートメントで乗り合わせた旅行者同士が繰り広げるであろう、暖かい感じの交流をあきらめなければならなかった。もちろん、イタリアの中年男の機関銃のようなおしゃべりに捕まった日には、やや閉口してしまうが。
コメント
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